deity crest ~ 神の頂点 ~

零零

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混沌の章

ティルイ村

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零「…。」

村に着いて早々零は、村人達から凄い視線を集めており、
そのせいで緊張してしまっていた。

ア「だ、大丈夫か零。震えてるぞ。」

零「だだだ大丈夫だ、問題ない。」

ア「その様には見えないのだが…。」

?「おーいアギト!」

すると一人の村人がこちらに向かって走ってきた。

ア「あ、叔父さん!」

叔「お前…、こんなべっぴんさんを
  いつ仲間にしたんだ?羨ましい限りだぜ…全く。」

ア「え、いや、それはだな…。」

アギトは説明するのに精一杯なようだが、そんなアギトを他所に零は村の子供達に遊ばれる。

零「アハハハ!くすぐったいよっ」

こんな甲高い声を出して笑ったのは久しぶりで、くすぐりはどうも耐性が無いようだ。
子供達は耐性が無いことに気づき、一斉に攻めに掛かった。

ア「とまあそんな訳で……ってこら!
  神の頂点で居られる方に失礼だろう。」

それを聞いた途端に村人達の顔が一気に青ざめると共にざわつき始める。
そして丁度いい時に村の村長がやって来た。

村「おやおや、随分と騒がしくしておったのに、
  突然どうしたのじゃ。」

ア「……村長。」

零「…え、あの俺は…」

村「分かっております。貴女様のことは、
  アギトから聞いておりましたから。」

アギトは念の為に零が神の頂点であることを村長と叔父に話をしていたが、「やっぱりか…」と少々眉間にシワを寄せつつもその言葉を吐き出した。

叔「俺もさっき聞いたが驚いたな。
  まさかアンタが神の頂点とは…。」

零「……そりゃ俺も飛ばされて来た先でそんな存在だとは、思いもしなかったが…。」

村人達はその青ざめた顔のまま零達の会話を静かに聞いていた。
先程の子供達も何やら恐怖に怯える子犬のような顔に代わり、身体を震わせながら零と距離を置いた。

零「…この村に何かあったのか?
  勿論、神の頂点の件についてだ。」

ア「すまない零…村に入るには念の為説明は
  しなきゃならなくてな…。だが…。」

アギトは途中口を閉じた。いや、むしろ言えずにただその場で立ち尽くしていると、突然村長は口を開いた。

村「…随分昔の事、…とある神の頂点がこの村を訪れました。」

零や村人達はただ静かに村長の話を聞いていた。

村「当時の村人は神の頂点がやって来た事に嬉しく思い、
  その神の頂点を大いに歓迎しました。」

ア「…。」

村「だがその後、突然数百万人もの兵士達に囲まれ、
  村人は突如惨殺されたのです。」

零「…何で惨殺されたんだ?」

村「当時、この大陸を支配していた国の王様が
  神の頂点の力を奪おうと企て、この村に居た
  神の頂点をおびき寄せる為に…村の者を殺したのです。」

零「っ!!」

ア「……。」

零が神の頂点だと分かった際、
村人達が怯えていたのもこれで理解が出来る。

村「神の頂点は仇を取ってくれましたが、
  …私達からしてみて、神の頂点という最強の存在を、
  このような守りの無い村に招くのは危険だと思ったのです。」

零「なるほどな…。」

ア「そういうことだ。
  …だからあまり長居はさせてやれないが、
  せめて必要なものだけ持っていくと良いよ。 」

零「そうか、それは助かる。
  ありがとう。」

村「貴女方々が悪いとは思っていませんが、
  そこはお許し願います…。」

零「いや気にしないでいいよ。
  それに、どの道そんな結果は予想していたから。
  長居もする気も暇も無いしな。」

村「そうですか…。では、
  必要な物は私に申して頂ければ用意致しますので。」

零「嗚呼、悪いな。…んじゃあ、
  何か動きやすい靴と、回復薬と…
  あ、あと何か食べ物を…」

村「分かりました。では、村の者に
  用意させますので少々お待ち下さい。」

零「嗚呼。わざわざ申し訳ないな。」

村「いえいえっ!寧ろ私らが無礼を働いたので…
  これぐらいは当然の事ですよ。」

零「無礼とか気にしないでくれ。
  肩書きだけの一般人と思ってくれ。」

村「お気遣いのお言葉…感謝致しますぞ。」

すると村人が指定した物を持って走ってきた。

零「お、ありがとう。大事に使うよ。」

村「…お身体にどうかお気を付けて。
  アギト、ヌシも準備は整ったか?」

零「ん?」

零が後ろを振り返ると、そこには防具を身にまとったアギトの姿があった。

ア「嗚呼、準備万端だ。」

零「おおお!!これが所謂装備って奴か!」

村「ほっほっほ…!
  フェガル様は何とも変わった方ですなぁ。」

零「ん、フェガルって俺の事?」

村「はい!神の頂点の名称として
  フェガルと皆呼んでおります。」

零「なるほどね…。」

ア「村長、そろそろ時間です。」

村「おやおや、もうそんな時間ですか。
  ではお二人共、ここから先は危険な長旅…。
  無理をせずに、頑張って下さい…。」

ア、零「はい!」

ア「では皆、今までお世話になりました。
  フェガルである彼女と共に頑張るよ。」

零「短い間だったが、本当にありがとう。
  村長さんも、どうかお元気で。」

村「有り難きお言葉…。我々も地味に
  精進して参りますぞ。」

そうして零とアギトの二人は村人達に別れを告げ、ティルイ村を後にした。

零「次の目的地…えーと。」

ア「四大都市の1つ、ウェアローンだ。」

零「ウェアローン!楽しみだな。」

ア「それは俺も思うが…
  ここから先は長くなりそうだ…」

零「だな…。」
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