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か
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次の日も、謎部の面々も放課後になると少女からの依頼に懸命に取り組んだ。
少女曰く謎のかすれ声が聞こえるらしいが、この2日かすれ声というものを校内で全く聞かなかったので、彼女は幻覚症状を抱えているか虚言癖のどちらかを疑いたくはなったが、夕陽はその気持ちをおさえて声が聞こえるのを待つ。
夕陽が睨みつけてくるのを見て彼女は「え、こわーい」と発したくなったが、怒られる自分の姿が目に見えるのでやめておいた。
裏庭に待機すること1時間、周囲からは白い目で見られているかもしれないが、それでもかすり声が聞こえてくるのを待つ。
崇人は欠伸をしながら「は ん に ん は か み さ ま」と呟くものの、その話を聴く者は誰もいなかった。
神様とかいう答えに対して連は「ありうるかもしれない」と一定の理解を示したものの、絶対に幽霊の仕業だと信じて疑わない彼女とバカげた答えだとしか思えなかった夕陽は崇人の事を心のなかで鼻で笑った。
仮に崇人が何らかの宗教の教徒だとして、全ての物事が信じている宗教の神によって導かれているというと言うのであれば、言っている事自体は理解できなくもないが、あいにく崇人は無宗教であり、信じている宗教も信仰している神も存在しないのだ。
崇人が「絶対にこれは何者かが生み出した運命のイタズラなんだ」と自信満々に口にするので、夕陽は心のなかで少し呆れてしまっている。
運命のイタズラである可能性は否定できないのだが、夕陽からすれば運命のイタズラとかいうふざけたような回答は腑|《ふ》に落ちなかった。
こうして思考を巡らせていると、どこかから「おーいー」という声が聞こえてくると、彼女が
「この声だ!」
と叫び出す。たしかにかすれた声ではあったが、正体が何者かまでは分からなかった。
裏庭の直ぐ側にある雑木林の方から聞こえてくるので、恐らく声の持ち主は雑木林にいるのだろうが、雑木林に人影という人影はなかった。
雑木林に向かっている最中、崇人が「木が喋ってんだから犯人は木だよ」と騒ぎ出すので、連は思わず心の中で崇人に「ふざけるな」という言葉を投げかける。そうでもしないと、崇人のちゃらんぽらんな思考回路は治らなさそうだからだ。
雑木林に到着するが、人気は全くなかった。人語を喋る動物はこの世に存在しないので、間違いなく幽霊か何かではあろうが、夕陽は幽霊がかすり声を出しているという説を頑なに信じようとしなかった。
「これは絶対に幽霊の仕業だ」
彼女と崇人が決めゼリフのように言葉を吐くが、本当に幽霊なのかは甚|《はなは》だ疑問である。それでも木に霊力が宿っており、木が言葉を発しているという考えよりかははるかにマシではあるが。
夕陽が崇人の方を睨みつけていると、彼女が夕陽の方を見て「喧嘩はよくないよ」となだめるものの、双方とも忠告を聞いていなかった。幻想的な事ばかり考える人間と、それらの類|《たぐい》を否定する人間が分かち合えないのは当たり前であろう。
幽霊というものが存在するかは知らないが、声の持ち主が幽霊であるという可能性は高まっていくばかりだ。
雑木林に滞在すること早50分、声の持ち主が木である可能性を念頭におきつつ、木が声を放つのを待った。
木が自ら声を放つというより、木に幽霊が取り憑|《つ》いているという可能性の方がはるかに高いとは思うが、崇人はそのことについてあまりよく考えていなかった。
とりあえず「木が声を放つ」とかいう可能性は、木に顔がついているとかいう可能性とほぼ同じ、すなわち0でしかないのでそのことについて深く考える必要はないと夕陽は割り切っているのだが、彼は以外の人間はそこら辺を深く考えていないと考えられる。
木に顔がついていたとしても、あまり美しない木に人の顔を彫るという考えがわかないので考え辛いのだが。
夕陽がそんな事を考えていると、「ふーざーけーろー」という声が木の方から聞こえてくる。
どうやら木にも意識というものがあるらしく、定期ではなく不定期に声を出しているようだった。
定期的に声を出していると仮定すれば、法則を見つけ出せばいいだけだが、不定期なので法則を見つけ出すこと自体不可能なのである。
「何日前に聞きましたか?」
「8日前」
「16日前には聞きましたか?」
「いいえ」
とりあえず8日おきではないということは分かったは良いものの、他の法則性が見つけ出せなかった。
天候とは無関係であることは、もう既に分かっていたからである。
雨でも晴れでも声を発する時点で、天候による法則性は当てにならない上に、「次の日が〇〇」に目を向けても全く当てにならなかったのである。
夕陽が頭を抱えていると、崇人が「気分じゃないかな?」と言葉を呟くので、この現象を考察することがバカバカしいことであると夕陽は察した。仮に気分だとすれば、法則性を考察する価値すら無くなるからである。
夕陽は崇人の言葉に甘えて、なぜ木が声を発するのかという点に焦点を当てることにしたが、理由が全く思い浮かばなかった。
というのも、木そのものに霊気が取り憑いているのか幽霊がたまたまいるのかすら分かっていないからである。
たまたま幽霊がいるとすれば、霊力のある人間を探せばよいのだが、謎部のメンバーの中に霊力のある人間などいなかった。探偵と自称しておきながら、霊界探偵は誰もいないのである。
今日分かったことは、謎の声は2回しか聴こえなかったこと、声に周期性が全くないこと、犯人は霊的なものであるという3つだけである。
そうなると、崇人も夕陽も連も考えていることは珍しく一致しており、何を考えているかは明日になって分かることであろう。
少女曰く謎のかすれ声が聞こえるらしいが、この2日かすれ声というものを校内で全く聞かなかったので、彼女は幻覚症状を抱えているか虚言癖のどちらかを疑いたくはなったが、夕陽はその気持ちをおさえて声が聞こえるのを待つ。
夕陽が睨みつけてくるのを見て彼女は「え、こわーい」と発したくなったが、怒られる自分の姿が目に見えるのでやめておいた。
裏庭に待機すること1時間、周囲からは白い目で見られているかもしれないが、それでもかすり声が聞こえてくるのを待つ。
崇人は欠伸をしながら「は ん に ん は か み さ ま」と呟くものの、その話を聴く者は誰もいなかった。
神様とかいう答えに対して連は「ありうるかもしれない」と一定の理解を示したものの、絶対に幽霊の仕業だと信じて疑わない彼女とバカげた答えだとしか思えなかった夕陽は崇人の事を心のなかで鼻で笑った。
仮に崇人が何らかの宗教の教徒だとして、全ての物事が信じている宗教の神によって導かれているというと言うのであれば、言っている事自体は理解できなくもないが、あいにく崇人は無宗教であり、信じている宗教も信仰している神も存在しないのだ。
崇人が「絶対にこれは何者かが生み出した運命のイタズラなんだ」と自信満々に口にするので、夕陽は心のなかで少し呆れてしまっている。
運命のイタズラである可能性は否定できないのだが、夕陽からすれば運命のイタズラとかいうふざけたような回答は腑|《ふ》に落ちなかった。
こうして思考を巡らせていると、どこかから「おーいー」という声が聞こえてくると、彼女が
「この声だ!」
と叫び出す。たしかにかすれた声ではあったが、正体が何者かまでは分からなかった。
裏庭の直ぐ側にある雑木林の方から聞こえてくるので、恐らく声の持ち主は雑木林にいるのだろうが、雑木林に人影という人影はなかった。
雑木林に向かっている最中、崇人が「木が喋ってんだから犯人は木だよ」と騒ぎ出すので、連は思わず心の中で崇人に「ふざけるな」という言葉を投げかける。そうでもしないと、崇人のちゃらんぽらんな思考回路は治らなさそうだからだ。
雑木林に到着するが、人気は全くなかった。人語を喋る動物はこの世に存在しないので、間違いなく幽霊か何かではあろうが、夕陽は幽霊がかすり声を出しているという説を頑なに信じようとしなかった。
「これは絶対に幽霊の仕業だ」
彼女と崇人が決めゼリフのように言葉を吐くが、本当に幽霊なのかは甚|《はなは》だ疑問である。それでも木に霊力が宿っており、木が言葉を発しているという考えよりかははるかにマシではあるが。
夕陽が崇人の方を睨みつけていると、彼女が夕陽の方を見て「喧嘩はよくないよ」となだめるものの、双方とも忠告を聞いていなかった。幻想的な事ばかり考える人間と、それらの類|《たぐい》を否定する人間が分かち合えないのは当たり前であろう。
幽霊というものが存在するかは知らないが、声の持ち主が幽霊であるという可能性は高まっていくばかりだ。
雑木林に滞在すること早50分、声の持ち主が木である可能性を念頭におきつつ、木が声を放つのを待った。
木が自ら声を放つというより、木に幽霊が取り憑|《つ》いているという可能性の方がはるかに高いとは思うが、崇人はそのことについてあまりよく考えていなかった。
とりあえず「木が声を放つ」とかいう可能性は、木に顔がついているとかいう可能性とほぼ同じ、すなわち0でしかないのでそのことについて深く考える必要はないと夕陽は割り切っているのだが、彼は以外の人間はそこら辺を深く考えていないと考えられる。
木に顔がついていたとしても、あまり美しない木に人の顔を彫るという考えがわかないので考え辛いのだが。
夕陽がそんな事を考えていると、「ふーざーけーろー」という声が木の方から聞こえてくる。
どうやら木にも意識というものがあるらしく、定期ではなく不定期に声を出しているようだった。
定期的に声を出していると仮定すれば、法則を見つけ出せばいいだけだが、不定期なので法則を見つけ出すこと自体不可能なのである。
「何日前に聞きましたか?」
「8日前」
「16日前には聞きましたか?」
「いいえ」
とりあえず8日おきではないということは分かったは良いものの、他の法則性が見つけ出せなかった。
天候とは無関係であることは、もう既に分かっていたからである。
雨でも晴れでも声を発する時点で、天候による法則性は当てにならない上に、「次の日が〇〇」に目を向けても全く当てにならなかったのである。
夕陽が頭を抱えていると、崇人が「気分じゃないかな?」と言葉を呟くので、この現象を考察することがバカバカしいことであると夕陽は察した。仮に気分だとすれば、法則性を考察する価値すら無くなるからである。
夕陽は崇人の言葉に甘えて、なぜ木が声を発するのかという点に焦点を当てることにしたが、理由が全く思い浮かばなかった。
というのも、木そのものに霊気が取り憑いているのか幽霊がたまたまいるのかすら分かっていないからである。
たまたま幽霊がいるとすれば、霊力のある人間を探せばよいのだが、謎部のメンバーの中に霊力のある人間などいなかった。探偵と自称しておきながら、霊界探偵は誰もいないのである。
今日分かったことは、謎の声は2回しか聴こえなかったこと、声に周期性が全くないこと、犯人は霊的なものであるという3つだけである。
そうなると、崇人も夕陽も連も考えていることは珍しく一致しており、何を考えているかは明日になって分かることであろう。
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