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第1章 前書き…?

第2話 賢者だってさ

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『スキル・賢者です。』
(え、なんて?)

声が答えをくれたが、即座に聞きなおした。大量の疑問が頭の中に浮かんで、聞いたことをすぐに処理できなかったからだ。

『スキル・賢者です。』

声は丁寧に言い直してくれた。だが、色々疑問がありすぎてやはりうまく理解できなかった。それは声に対しての疑問だけじゃなく、自分の状況をやっと理解しようとしたせいで浮かんできた疑問だった。
ここはどこなのか、なぜ自分はここにいるのか、結界とはなんなのか、あのスライムはなんなのか、スキルとはなんなのか、現在の時間、これからどうするべきか…そして最も重要な質問––––––その機械みたいな無機質な声はなんとかならないのか。
そんなことか、と思うかもしれないが正直この状況でアナウンスみたいな機械声と話続けるのは結構辛かったりする。いやむしろホラーだ。脳内で響く機械声と一対一(?)は…。状況的にも辛いものがあるが、機械声があまり得意ではないから、全部の質問を終える頃にはしばらく何の音も聞きたくなくなるだろう。まあそうと決めればなんとかしなくてはならない。失敗する可能性も大いにあるが、いや、絶対声を変えてもらおうと意気込んで賢者に問いかける。

(賢者、その…声、機械声どうにかならない)
『はい、可能です。』
(まじですか)

反射的に聞き返す。こんな簡単だったのか。

『どのような声がよろしいでしょうか』
《こんな声はどうでしょう?》
(それだとちょっと大人っぽすぎる)
[こんな声では?]
(…男声反対)
〈ではこんな声では?〉
(決・定)

結果的に可愛い少女の声になった。ただ、質問に移る前にもうひとつ解決したい問題があった。

(賢者)
〈はい〉
(話し方変えて欲しい)
〈少女の声にあった話し方にしてみたのですが、どうでしょう?〉

賢者の話し方は、少しだけくだけた感じになってが増した気がする。ちなみにタメにするように言って断られた。

(で、色々聞きたいんだけど)
〈すみません、それより先にあそこに倒れている人をどうにかした方がいいのでは?〉
(倒れてる人…まためんどくさそうな)

どうやら賢者と格闘(?)した後は倒れた人をどうにかしなければならないらしい。

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