2 / 19
色欲の神!降臨‼︎
俺が知らない未知なる世界
しおりを挟む
――― 自宅療養。
入院中に積んだトレーニングのお陰で、僅かながら音声まで聞こえてくるようになったから、驚きである。
そして夏休み前の療養♪
とても得した気分だ。
…感無量なり。
だが、それも数日で飽きてしまった。
「ヨウコ。なんかゲーム貸して」
ドア越しに隣の部屋に声を掛けた。
「姉の事を呼び捨てにするなや。ボケぇ」
…ほらやっぱりモヤモヤとしてる。
目を凝らして見ると、色が見えた。
…白?それはだんだんと色が濃くなってきた。
「はい。これ」
渡されたゲームを見た。
…何だ?パッケージからして怪しい…ってかコレ…。
「BLゲームじゃん…聞いた俺が悪かった」
映像が見えた。
ヨウコが部屋で、BL漫画を見ながらオナニーをしている姿が映った。
…オェっ。変なの見えた。
俺が嘔吐くとヨウコはムッとした。
「じゃあ返せ!」
ヨウコは俺の手からゲームを奪うと部屋のドアをさっさと閉めた。
「マジ…やめてくれ」
この得体の知れない能力について、ネットで調べ続けていたが、ヒットするものは何も無かった。
そして、PCの動画や写真では見えない...ということが分かった。
…実物じゃないと、この現象は起きないのか。
俺は好きなグラドルの写真を見てため息をついた。
現実はそう甘くないのである。
でも学校へ行けば、それなりに、楽しいことがありそうな気はする。
…こうなったら思う存分楽しもうじゃないか。
いつ消えてしまうかも分からない能力を最大限に有効活用。俺はまるで遠足を待つ子供の様に、学校へ行くのが楽しみで仕方が無かった。
「久しぶりですね。家に居るのも飽きたでしょう?」
退院後の初めての診察。
相変わらず主治医は優しそうな顔でにこにこしている。
「タカナシ先生ありがとうございます」
母ちゃんは深々と頭を下げ、俺の頭も下げる様に手でグイグイと押した。
「痛ってぇなぁ」
いつまでも子供扱いする母ちゃんを睨んだ。
…診察ぐらいひとりで大丈夫だって言ったのに。
じゃあお母さんは外で待ってて下さいと、主治医は笑った。
「まだ、視える?」
用事があったら呼ぶからと声を掛け、看護師が立ち去るのを確認してからこちらに向き直った。
…人払いだな…よし良いだろう。
「はい…より鮮明に、音声まで聞こえる様になりました」
主治医はびっくりしたが、また嬉しそうに聞いた。
「ねぇ。じゃあ今日の僕を見てくれる?」
じっと頭上に目を凝らす。じわじわと滲み出てくるように浮かび上がる画像は、綺麗に色がついていた。そして周囲は赤い光で縁取られていた。
…こんな真っ赤な色。この先生だけだ。
今は2-3秒集中すれば見えるようになっていた。
「先生…が、家で...今朝?…の…朝刊読んで…ます」
主治医はうんうんと頷いている。
「あれは…何処かで見た顔…?」
見覚えがある顔…もやもやとしていた顔がハッキリと見えた‼︎
「…膝の上に…かっ…看護師さんっ?!えっええええええ~‼︎」
「はい…馳目くん…もう少し声のボリューム落としましょうか?」
ニコニコしながらも主治医は語気を強めた。
…なんて事でしょう!?朝から可愛い看護師とセックスだ。
この医者めっ!親父と同じぐらいの年齢な筈だ…なのにお盛んな事だ。
「先生…が、怒られてる…の...か?」
然も、看護師さんが巨根の上でいやらしい腰つきで動いてるって言うのに、この医者ときたら、表情ひとつ変えずに新聞なんて読んでやがる。
(せんせぇ…ちゃんと愛して…下さいぃ)
看護師が、切なそうに主治医を見上げてる。その姿がまた…堪らなく…いじましい。
「看護師さんが真面目に…してって、切なく怒ってます」
主治医は腕を組みながら真面目な顔で俺の話を聴いてる。傍から見たら普通に問診されているようにしか見え無い。
…このロリ・エロ医者が!
「わわっ…看護師さん…毛が…無い...の?」
そこで突然医者が本気出す。
(あああん。せんせぇ…)
突然主治医は立ち上がり、駅弁スタイルでファッ●。
「先生…デケェ…」
巨大なイチモツが、絡みついた液体でテラテラと艶やかに看護師のピンク色の襞の間で大きく前後し始めた。看護師は歓喜に喘いでいる。
「あーっと。それ以上は見なくて良いから!」
主治医は慌てて止めたが、やっぱり嬉しそうにキラキラと目を輝かせていた。
「いやはや…凄いね」
…性癖?を知られて嬉しいなんて…この医者何者だ?
「幻覚・幻聴とかじゃ無いから、精神科とか掛からなくって良いと思うけど…一応掛かってみる?」
主治医はPCの画面を見ながら続けて言った。
「それとも脳神経内科にしてみましょうか?お勧めの医師が居るんだけれど…。」
「いいえ…結構です」
お勧めって…ここはレストランか何かっすかね?
俺はきっぱりと断った。
また下手に検査で異常が見つかって再入院なんてことになったら、たまらない。
「だよね…。」
主治医はにっこり笑った。
…だったら聞くな。
PCにささっと入力を済ませて、こちらを向いて微笑んだ。
…こうして見ると、大人の色気があるイケメン医者なのにな…これでロリ…だもんな。
俺は主治医の顔をまじまじと見た。
「また外来へ来た時に教えてね。ではお大事に」
主治医は、あっさりと言うと看護師に声を掛けた。
…おっといけねぇ…忘れるところだった!
「あ…先生。俺アスモデウスについて調べてみたんです」
呼ばれて来た看護師を、ごめんなさいまた後で呼びますと言い、主治医は再び俺と2人きりにしてくれた。
「そうですか…」
主治医はゆっくりとこちらに向き直ると、座っている椅子が軋み小さな音を立てた。
「悪魔と取り引きした覚えは無いのに、不思議な能力を授かった人って居るんですかね?」
「うーん。どうだろうね…歴史上の人物の中にも悪魔と取り引きをして、天才的な能力を得たと呼ばれる人達はいるけれど…」
主治医は顎に手を添えて考え込んだ。
「例えば…ゲーテで有名になった錬金術師のファウストとか、作曲家でバイオリンの名手のパガニーニとか…伝説だけで、本当に契約を交わしたのかどうかも実際は分からないですね」
「…。」
…そうだ。どれも伝説の域を超えない話なんだ。
「方法すらもはっきりと分からないですし…馳目くんの場合は、事故で頭を強く打ったことに起因するとは思うんですけれど…」
主治医は再びモニターに向かい、俺の画像をチェックしていた。
「うーん。何も異常は見当たらないんですよね。まぁそんなに気になるなら、やはり脳神経内科を受診してみますか?頭痛もあるんだよね?」
主治医の“推し”は一先ず遠慮しておいたほうが良いに決まってる。
「あ…いえ。頭痛は、随分と楽になりましたし、受診とか検査とか…暫くは…良いです」
俺は慌てて遠慮した。もう本当に病院は懲り懲りなんだ。
「そうですか…」
主治医は少し残念そうだ。
「君の場合はいつでも再診に来ても良いからね…面白いから」
…全く…おかしな医者だ。
非科学的な事を普通の医者なら信じないだろう。
それなのに、主治医は、真面目に話を聞いてくれる以上に興味を持ってくれた事に好感が持てた。
「学校…行きたく無いだろうけど、行って良いですよ」
主治医はPCに向き直ると静かに言った。
「あっ…と。それから彼女には会えましたか?」
「彼女?」
…先生。俺。ドウテイですよ。
「ええ。最初の頃に、お見舞いに見えてましたけど…馳目くんも隅に置けませんね。あんな綺麗な彼女がいるなんて…では、お大事に」
主治医は看護師を呼んで、書いていた書類を渡した。
…同級生の誰か来たのか?
思い当たる子が1人居る…けど…まさかな。
普通の人間には無い、第六感と性経験透視能力
俺は、この不思議な能力を“Sexth Sense”と命名した。
―――朝
今日から、久しぶりの学校。でも直ぐに夏休みに入ってしまう。
人生で初めて、夏休みが残念に思った。
「あら…佑。自分で起きてくるなんて珍しいわね」
弁当を作ってる母ちゃんは、俺に背を向けたままだ。
いつもと変わらぬ1日の始まり。
…いや違う!
俺はこの日を心待ちにしてたんだ。
友人達の性事情が分かると思えば、股間も胸も膨らむってもんだ。
「うん。学校が楽しみで…。」
テーブルの前に座り、スポーツ新聞を読んでいた親父が、驚いて此方をチラリと見ると呟いた。
「お前…やっぱり酷く頭を打ったんだな」
そして再び新聞を読み始める。
「そうよぉ心配したのよ。3日間も意識が無かったんですから。今はケロッとしてるけど…。」
母ちゃんは相変わらず、背中を向けている。
…ケロって…人をカエルみたいに言うな。
「あれ?ヨウコは?」
いつもいる筈の、姉ちゃんがいない。
「生徒会の集まりで、早く出かけたわよ」
…ふーん。
椅子に座って わかめの味噌汁を飲んだ。おかずは、かわりばえのしない昨日の残りものだ。
「あぁ…そういえば、退院したらすぐ期末テストするって言ってたわよ。担任の高木先生が」
…え?
一瞬箸を止めた。
「ほら、入院してて受けられなかったでしょう?」
…おいこらBBA。
俺は箸を置いて頭を抱えた。
「母ちゃん…何でそれを今言うの?」
すっかりチート出来たと思っていたのに、それじゃ、ただのサスペンデット・ゲームってことじゃねぇかっ‼︎
…あーあ。
「だってすっかり忘れてたんだもの仕方が無いじゃない」
母ちゃんは悪びれる素振りも見せず、焼き魚を俺の前に置くと、朝ごはんを食べ始めた。
「はぁ~。もうぅぅぅぅっ勘弁してよ。
なぁ~んでそんな大事な事忘れんのよ?」
母ちゃんって…お喋りな癖に、自分のこと以外は忘れる生き物である。
「母ちゃん…この魚なんかクセぇんだけど?」
魚臭さが鼻についた瞬間。
(ああん…ああん…もっとぉ…もっとぉ…激しいのが良いのぉ)
…‼︎‼︎
突然 声が聞こえてきた。
顔をあげると、母ちゃんと親父が絡んでいる姿が重なって視えた。
「マジかよ…やめてくれ!身内のだけはみたくねぇぇぇ!」
箸を握りしめたまま、衝動的に立ち上がった俺。
「ユウ?どうしたの?」
母ちゃんが俺の顔を覗き込んだ。
…わわ…やばい。
(もっとぉ…もっとぉぉ)
親父が母ちゃんの上で蠢く姿が見えた。
(お前の中は…おっ…いく…ああ…)
親父の慟哭と母ちゃんの押し殺した絶頂の声。
俺は母ちゃんを押しのけ、椅子から立ち上がり、キッチンのシンクへと急いだ…が、
「おぇぇぇえ…おえぇぇぇ」
…間に合わなかった。
食べたばかりの朝食を盛大に床の上にリバース。あららら…大変と言って母ちゃんが慌ててキッチン・ペーパーとスーパーの袋を持ってきた。
「ほらな?学校へ行くのが楽しみだとか…おかしなこと言ってるから、変だと思ってたんだ。」
親父が新聞の向こう側で笑った。
陽射しが強く今日も暑くなりそうだ。
あの事故でぶっ壊れた自転車を買うまでのバス通学。
お陰で夏休みは、バイトをしなくちゃいけない羽目になった。
あんだけ大勢の目撃者が居たのにも関わらず、誰も車のナンバーや車種を覚えて無いのが不思議だ。
世知辛い世の中になったもんだと俺は思ったね。
…朝一で購買部に寄って、何か食べよう。
吊革につかまると、3列先の椅子に座っている女子高校生に目がいった。
…ベットでエロ動画みてオナニーしてる!
コードの付いたピンク色のローターが、濃いアンダーヘアの中で見え隠れして居た。
まるでそうは見えない清楚な感じなのに、そんなモノまで女子は使うのか?
…すげ~な。
素人娘のなんとやらは結構好きだが、これぞホントの素人だ。
本当の同世代で、モザイク無し。
朝イチで“自らを慰めて”きたが、急に股間が慌ただしくなったので、それ以上は視ることが出来なくなった。
ズボンのポケットに手を入れ、しっかりと押さえつけ、慌てて視線をうつす。
今度はスーツを着て漫画を読んでるサラリーマン。
…彼女とセックス後の寝ている姿。
その隣で彼女はこっそりオナニーをしていた。
…彼女結構可愛いのに…勿体ない。
少し見回すだけで、映像が変わっていく。集中しなければ、声までは聞こえないが、もしもこの映像の音が一気に聞こえたりしたら、大変だ。
…チャンネルを合わせられるようになれば良いんだけど。
でないと、母ちゃんと親父のおぞましい儀式を強制視聴させられて、毎朝 俺は“自家製もんじゃ製造マシーン”となってしまう。
神様がくれた能力なのか…それとも悪魔…なのか。
扱いには多少コツがいる様だが、熱・烈・歓・迎…なのは言うまでも無い。
…でも俺は元気溌剌の童貞くん…だがな。
このスキルは、完全なる宝の持ち腐れ…なのか?
否…きっとDoteiだからこそ、神様が勉強せよと授けて下さった能力なのかも知れない。
校門を入り、校舎へ向かう間は、まるで夢のようだった。
…Yes! イェ―――ス。
俺の先を行く、学生たちを立ち止まって眺めた。朝は、俺のことを気にする奴なんて誰一人居ない。
後ろ姿だから、近づいたとしても不審には思われず、ガン見し放題だ。
「…明日からもっと早く登校しよう♪」
嬉しさの余り思わず口走ってしまった。
登校初日でひとつ確信が持てた事があった。
分かったことは色は殆どの場合、白かピンクのほぼ2色。
…経験者はピンク…なのか?
色に何か意味があるのかと思っていたが、どうやら白は単純明快、“童貞か処女”のようだ。
病院で観察した時には、ピンク一色だったのは、羨まけしからん事に、皆経験済みだったってことだ。ただあのエロ医者の赤ってのがいまだに謎だ。
処女でもオナってれば、それが視聴出来るという美味しいシステム♪
…男は邪魔だ。俺は女子の“白”狙いでいく♪
クラスまでの廊下を悠々と歩いて行く俺。
教室へ入ると、まだ誰も来て居なかった。
…そうか…この時間はまだ朝練の奴らばかりか。
広々とした見慣れた教室内は、休み前となんら変わりは無かった。
「馳目君おはよう~。久しぶり!退院したんだね」
学級委員のミキだ。
…‼︎
思わず反射的に振り返ってしまったが、白だった。
…何っ!オナニー経験も無い…だとっ?!
とても透明色の有る純白。
そして、光の加減でキラキラと七色に煌く粒子の様なものが、ふわふわと漂っている。
思わず周りをぐるりと見回した。
喩えて言うなら、スノードームの中に立っている様な感じだが、それよりも数倍…いや数百倍は美しい。
「こんな…の…初めて見た」
俺は、ボーッと眺めてしまってた。
心を洗われる美しさ。
…聖母マリアの後光は、きっとこんな感じで輝いてたんだね?そうなんだねっ!神様っ!
俺は、薄らと涙さえ浮かべていたに違いない。
…濁り穢れた心で世界を観てたよ。もっと穿った見方をせよとの思し召しなのでしょうか?
清々しい新緑の香りが立ち昇る様な気さえして来た。
…よし。俺は誓う。全力でこの力を極め、“アスモデウスの眼”になろう!
色欲の神 ここに降臨‼︎
「馳目君?…初めてって何が?」
…あっ。やべぇ。
「な…何でもない。」
我に返り、慌てて席に着いた。
席は教室の一番奥の隅だ。見放題だ。
…やっぱ、神様っているんだな。
「あ!そういえば、入院してた時に、見舞いに来てくれた?」
ミキに向かって聞いた。
「ううん。面会謝絶だって聞いてたから、誰もお見舞いには行ってない筈だけど…。ごめんね。みんな行きたがってたんだよ?」
ミキは済まなそうに言った。
「あ…ああ。そうなんだ?主治医が誰か来たみたいなこと言ってたから…。ありがとう」
…クラスメートじゃ無い?って事は、誰だったんだ?
ま…いっか。
続々と入ってくるクラスメート。思わず顔がニヤついてしまう。
…駄目だ…お楽しみは授業中まで取っておけ。
大きなスクールバックを机の上にドカッと置き、教科書を出しながら、俺はターゲットが来るのを待っていた。
「よお。馳目ー!久しぶり。期末テストチート野郎」
…違う…おめーじゃねぇ。
「フナキ。久しぶり。違うよこれから受けなきゃいけないんだよ」
…こいつもまだ白か。オカズは…不細工なグラドル。趣味悪いな。
「マジで?」
フナキは、中学時代からの付き合いだ。親父が借りてきたエロビデオを拝借して昨日は3回連続で抜いたとか、テニス部の先輩の胸がデカいとか、そんな話ばかりして居る。
「うん…よりによって今朝母ちゃんが言い出してさ。おせーよって感じ。すっかりチート気分だったのに」
―――ガラガラッ
「お…高木が来た」
担任の高木が入ってくるのを見てフナキは、慌てて席についた。
高木は30代独身。可愛い彼女が居ると自慢していたが、ちょっと冴えない。可もなく不可もなく、至って真面目な教師だ。
「おー馳目。お前は今日から3日間テスト三昧だ。教頭先生のところに行って来い。じゃ…みんなには、これからテスト返すぞー」
クラスがざわつき、一斉にため息が聞こえた。
「うえっぷ…。」
見るつもりは無かったが,ふと高木の頭上を視てしまった。
…高木よ。喜べ。お前は…見ちゃいけない性癖 暫定一位だ。
思わずまた嘔吐きだした俺を心配そうに隣の席の純白…じゃなかったミキが覗き込んだ。
「大丈夫?」
…危ない危ない。
「う…うん」
当面は“ついうっかり”をどうにかすることを目標にしないと駄目だな。
――― 教職員室。
「失礼しまーす!馳目です」
迷わず音楽教師を探す。
20代で独身、学校一の美人教師だ。
茶髪のロングヘアをいつも綺麗な内巻きにしていて、すらりと伸びた白い足にはヒールがよく似合った。独身教師達から、待ったなしのデートの誘いを受けてるって噂。
…いたぁあ!!!
俺は思わずガッツ・ポーズ。空席が多いデスクが並び、一番奥の机に“美人”は座っていた。
…喜んで♪喜んで拝見いたしましょ…。
「おっ馳目。何ボーっと突っ立ってるんだ」
突然、現れた出た"髪に見捨てられし者”またの名を…教頭が、視界を遮った。
…うぁぁぁ。迅速に俺の視界から消えろぉ。
俺は二フラムを唱えた。
判ってる…効くわけない...仕方が無いので俺は間髪入れず、目をそらした。
…危なかった。
もしかして、今日はこいつとずっと一緒なのか?だとしたら、最悪だ‼︎
「養護の先生に見て貰うことになってるから。僕と一緒に保健室へ来なさい」
…保健室。
廊下の突き当りに保健室はあった。健康優良児だった俺は、一度もお世話になった試しが無い。
…悪いが、養護教諭の顔なんて憶えちゃいねぇ。
――― 保健室。
教頭がドアをノックすると、はーい。どうぞという声が聞こえた。
「凛子先生。馳目を連れてきました。済みませんがよろしくお願いします」
…凛子?
部屋にはベットが3台あり、養護教員用の机と使ってない机が置いてあった。
「馳目君?今日一日…宜しくね」
…好色の神様 どうもありがとう。
妄想が大暴走しそうだ。
「ここに座って」
養護教諭の凛子先生は、まだ20歳代だと思われる可愛い感じ。とても線が細くて、華奢だった。真白なケーシーを着て歩く姿が可憐だ。
養護の先生が可愛いなんて、誰も教えてくれなかったぞ?
…今日の俺はついている♪
「朝からずっとテストなんて大変ね。疲れたら休憩しましょうね」
少しヒールのある靴音を響かせて、俺の側までやってきた。
ーーー ふわり。
テストを渡されたのと同時に,甘い香水の様な香りが俺の顔を容赦無くくすぐる。
それだけで、頭がボーッとしてしまいそうだ。
「あららら…馳目くん?大丈夫?」
「えっ?」
「鼻血が…ちょっと待って!」
養護教諭が慌ててティッシュの箱を持ってきた。
「具合…悪いの?少し休む?」
「い…いえ…大丈夫ですっ!」
ティッシュで鼻を抑えながら、答えた。
…兎に角、試験を終わらせてお楽しみはそれからだ。
目標があると不思議と集中出来るものだ。俺は一気に仕上げた。
そして斜め前に椅子を置き、足を組んで本を読む凛子先生を見つめた。
もやもやと拡がり出す世界。
…ピンクだ。
(あぁ…感じるの。溶けちゃいそう…。)
相手は女子学生に人気の爽やか体育教師だ。
…マジ…か。脳みそ筋肉野郎が相手だったなんて。
まさにその最中の映像が浮かんだ。
夕方の誰も居なくなった保健室のベッドに手をつかせ、立ちバックで腰を動かしていた。
捲れ上がったケーシーと、淡いピンクのシフォン・スカート。
(凛子…の…ま●こ…気持ちが良いねぇ)
はあはあ言いながら、脳筋はガンガン突きまくっていた。
華奢な凛子先生が、ポキッと折れてしまうんじゃ無いかと思うぐらいの激しさだ。
…ふーむ。テクニックより体力重視なパワー系セックスか。ま…悪く無い。
接続部は愛液が夕日に当たってキラキラと光っていた。
脳筋が動くたびにクチュクチュといやらしい音まで聞こえた。
…体格差があって男がデカイと色んな事が出来るのか。
喘いでいる凛子先生の顔が、またいやらしい。
口を半開きにしてうっとりとしながら、なんだか甘酸っぱくてとろけそうな声で喘いだ。
さっき嗅いだ柔らかい香りと映像のコラボレーション
…やばい。俺のがバッキバキになってきた。
股間が熱くなり、先がズボンのベルトに当たり痛いほどだ。
(ふぅん…ああん…もっと…ちょうだ...い)
違う場面に突然スクロール。脳筋にがっちりと肩を掴まれた、凛子先生は尻を突き出し、線の細さから、その立ち姿は、丁度数字の7のようにも見えた。
(ああ…気持ち…良い…べ…。)
ーーーガタッガタンッ。
瞬間ぐぐぐーんと成長しちゃた俺のムスコさんの自己主張が始まった。
…!!!!
腰が引け、椅子が大きな音を立てた。
…ヤバい。
「馳目君?どうしたの」
凛子先生は読んでいた本を膝に置くと、此方を心配そうに見ていた。
「あっ…いいえ。ちょっと腹の具合が…。」
「トイレに行く?」
凛子先生は本を机に置くと、ゆっくりと近づいてきた。
「あ…あ…大丈夫です。もう少しでテスト終わりますんで…。」
しどろもどろになりながらも、少し前かがみになってお腹を抑えるふりをした。
「そう…無理しないでね。次は休憩を挟みましょうね?焦る必要は無いのよ」
「は…はい…ありがとうございます」
凛子先生は、軽やかなヒールの音をさせながら、机に戻りPCを開いた。
静かに深呼吸をする…そうだ。この高揚感を押し殺さなければ。
湯船に溶かされていく入浴剤の様にもやもやと、再び広がり始める情景。
(あぁん…そこぉ…そこ)
ビブラートを掛けながら喘ぐ、
凛子先生の小振りな胸元からピンと尖った乳首が見えている。
脳筋は、それをわしづかみにて激しく揉んだ。
凛子先生のおっぱいは小さくて、荒々しく揉まれ、皮膚が赤くなるのを見ていると、何だか痛々しく思えてくる。
凛子先生は、可愛らしい顔に似合わず、“荒ぶった系”のプレイがお好みなのかも知れない。
(ああん…凛子…気持ちが…良いのぉ…)
脳筋は、 凛子先生の束ねてある長い髪をグイッと引っ張った。
(―――バチンッバチンッ)
野獣と化した脳筋は、そのでかい手で桃のような可愛いらしい凛子先生のお尻を、何度も叩いた。
(はぁ…はぁ…いくぅぅぅ~!)
そして更に弓形になる凛子先生の体。潤んだ眼が上転し始める。
…こ…これが…本物の…アヘ顔?
(凛子のぉ…まん●ぉ…まん●ぉ…ぎもぢいぃ~…)
その常軌を逸した顔は、エロ・アニメで観るよりも、正直怖いぐらいだ。
(うぁぁ…駄目だぁぁん。俺…もぉ…イ゛ク゛ゥ…イグ…イグゥ…。)
脳筋は、小刻みなピストンを数回繰り返しフィニッシュ。
…ちょ…待てよ。だぁぁんって。しかも何故に最後が訛る?
さっきまで痛い程だった息子が、静かになった。
そして、ふたりが離れると凛子先生のアソコから、ブブブブッと、おならの様な大きな音が出た。
凛子先生が身支度を整え動くと、その度にエゲツない程の大きな音がする。
…こ…れが…噂に聞く、 “ちなら”ってやつなのか?
俺は笑いそうになるのを必死で堪えたが、当の本人達は、全く気にしていない。
行為は、崇高で労わり合うものだと思っていたが、恥辱を曝け出し、欲望の赴くままに激しく求め合う獣の様な2人を観てしまうと、俺は興醒めしてしまった。
俺の息子は、無事鎮火。
…脳筋、凛子先生…ありがとうよ。お陰で一気に萎えてしまいましたよ。
これが、きっと性癖の違いってヤツなのかも知れない。
それでも線の細い凛子先生の身体つきは、エロ・ロリ度が高くて、俺の好みのタイプだ。
人生で一番素敵なテスト期間,幸せな3日間が過ぎた。
…はぁ やっとゆっくり出来る。
テストの返却や補習、面接などで毎日が過ぎた。
夏休みまであと数日。
そして今日は三者面談の日だった。
「志望大学は安全圏内ですが、皆が最後の頑張りを見せる時期なので、気をぬかない様に」
スカトロイド高木…担任の性癖露見祝いを兼ねて、とっておきのあだ名をプレゼント。無論俺の中だけでの話だが。
…食糞とかマジねーわ。
スカトロイドの顔を眺めながら、俺は溜息をついた。
「馳目。心配するな焦らず,じっくりと取り組めば良い」
俺が受験の事で神経質になっていると思ったらしい。
…お前…自分のセイヘキを心配した方が良いぞ?
母ちゃんとスカトロイドが話している間、窓の外をボーッと見ていた。
部活も休みに入り、校庭には誰もいない。この時期は、暑過ぎて練習にならないかも知れない。
虹を作り続ける涼しげなスプリンクラーを眺めた。
その向こうに何が動くものが見えた。
…体育館倉庫に誰かいるのか?
埃臭くて、昼間でも薄暗い倉庫は、ヤンチャな奴らの溜まり場みたいになっていた。
…女?
陰へと引き摺られる細い脚が見えた。バタバタと暴れて脱げた靴が、ポツンと置き去りにされた。
「先生!一緒に来てっ!早くっ‼︎体育館倉庫だっ!」
俺が突然大きな声を出し椅子から立ち上がったので、担任も母ちゃんも椅子から数センチ跳ねた気がした…が、それどころじゃねー!
「おっ。おい馳目!」「ちょっと佑どこ行くの!?」
「だ・か・らっ!体育館倉庫で女子が、何かされてるんだってっ‼︎」
母ちゃんとスカトロイドの声を背中に浴びながら,教室を飛び出した。
階段を2段跳びで降り校舎を出てぐるりと回り、体育館へと続く渡り廊下を横切った。
体育館倉庫は、少し奥まったところに有る。
…あともう少しだ!
背中にじりじりと焼き付ける様な太陽の日差しを浴びて、汗でシャツが背中に張り付き、絶妙に気持ちが悪い。
「…やめてよ!!」
その時、大きな声が聞こえた。
俺の心臓は、耳元でドクドクと音を立て始めた。
「…ヤッてるんだろ?」
「おっさん達に金貰ってよぉ」
体育館の裏は、職員室からも見えない死角になってる。
「そんな肉便器を俺らが相手にしてやるんだから、タダでやらせろよ?」
…ひとりじゃない。
違う声が揶揄う様に笑っていた。
「初回は、お試し無料サービスってことで♪」
「嫌だ!やめてっ!」
…あと5m。このコーナーを曲がれば…。
上履きの下から伝わって来る地熱と汗とそして緊張。
「ちょっと可愛いからって調子に乗ってんじゃねーぞ?ビッチ!」
―――バチーンッ!
大きな音とともに女の悲鳴。
「静かにしてりゃすぐ済む。おい!お前。口塞げ」
「あははは…ビデオ撮って、売り捌こうぜ?!」
先程まで聞こえていた女の声がくぐもって微かに聞こえる。
「おいっ!お前ら何やってんだよ!!」
俺は、息を吐き出すと同時に大きな声で怒鳴った。
入院中に積んだトレーニングのお陰で、僅かながら音声まで聞こえてくるようになったから、驚きである。
そして夏休み前の療養♪
とても得した気分だ。
…感無量なり。
だが、それも数日で飽きてしまった。
「ヨウコ。なんかゲーム貸して」
ドア越しに隣の部屋に声を掛けた。
「姉の事を呼び捨てにするなや。ボケぇ」
…ほらやっぱりモヤモヤとしてる。
目を凝らして見ると、色が見えた。
…白?それはだんだんと色が濃くなってきた。
「はい。これ」
渡されたゲームを見た。
…何だ?パッケージからして怪しい…ってかコレ…。
「BLゲームじゃん…聞いた俺が悪かった」
映像が見えた。
ヨウコが部屋で、BL漫画を見ながらオナニーをしている姿が映った。
…オェっ。変なの見えた。
俺が嘔吐くとヨウコはムッとした。
「じゃあ返せ!」
ヨウコは俺の手からゲームを奪うと部屋のドアをさっさと閉めた。
「マジ…やめてくれ」
この得体の知れない能力について、ネットで調べ続けていたが、ヒットするものは何も無かった。
そして、PCの動画や写真では見えない...ということが分かった。
…実物じゃないと、この現象は起きないのか。
俺は好きなグラドルの写真を見てため息をついた。
現実はそう甘くないのである。
でも学校へ行けば、それなりに、楽しいことがありそうな気はする。
…こうなったら思う存分楽しもうじゃないか。
いつ消えてしまうかも分からない能力を最大限に有効活用。俺はまるで遠足を待つ子供の様に、学校へ行くのが楽しみで仕方が無かった。
「久しぶりですね。家に居るのも飽きたでしょう?」
退院後の初めての診察。
相変わらず主治医は優しそうな顔でにこにこしている。
「タカナシ先生ありがとうございます」
母ちゃんは深々と頭を下げ、俺の頭も下げる様に手でグイグイと押した。
「痛ってぇなぁ」
いつまでも子供扱いする母ちゃんを睨んだ。
…診察ぐらいひとりで大丈夫だって言ったのに。
じゃあお母さんは外で待ってて下さいと、主治医は笑った。
「まだ、視える?」
用事があったら呼ぶからと声を掛け、看護師が立ち去るのを確認してからこちらに向き直った。
…人払いだな…よし良いだろう。
「はい…より鮮明に、音声まで聞こえる様になりました」
主治医はびっくりしたが、また嬉しそうに聞いた。
「ねぇ。じゃあ今日の僕を見てくれる?」
じっと頭上に目を凝らす。じわじわと滲み出てくるように浮かび上がる画像は、綺麗に色がついていた。そして周囲は赤い光で縁取られていた。
…こんな真っ赤な色。この先生だけだ。
今は2-3秒集中すれば見えるようになっていた。
「先生…が、家で...今朝?…の…朝刊読んで…ます」
主治医はうんうんと頷いている。
「あれは…何処かで見た顔…?」
見覚えがある顔…もやもやとしていた顔がハッキリと見えた‼︎
「…膝の上に…かっ…看護師さんっ?!えっええええええ~‼︎」
「はい…馳目くん…もう少し声のボリューム落としましょうか?」
ニコニコしながらも主治医は語気を強めた。
…なんて事でしょう!?朝から可愛い看護師とセックスだ。
この医者めっ!親父と同じぐらいの年齢な筈だ…なのにお盛んな事だ。
「先生…が、怒られてる…の...か?」
然も、看護師さんが巨根の上でいやらしい腰つきで動いてるって言うのに、この医者ときたら、表情ひとつ変えずに新聞なんて読んでやがる。
(せんせぇ…ちゃんと愛して…下さいぃ)
看護師が、切なそうに主治医を見上げてる。その姿がまた…堪らなく…いじましい。
「看護師さんが真面目に…してって、切なく怒ってます」
主治医は腕を組みながら真面目な顔で俺の話を聴いてる。傍から見たら普通に問診されているようにしか見え無い。
…このロリ・エロ医者が!
「わわっ…看護師さん…毛が…無い...の?」
そこで突然医者が本気出す。
(あああん。せんせぇ…)
突然主治医は立ち上がり、駅弁スタイルでファッ●。
「先生…デケェ…」
巨大なイチモツが、絡みついた液体でテラテラと艶やかに看護師のピンク色の襞の間で大きく前後し始めた。看護師は歓喜に喘いでいる。
「あーっと。それ以上は見なくて良いから!」
主治医は慌てて止めたが、やっぱり嬉しそうにキラキラと目を輝かせていた。
「いやはや…凄いね」
…性癖?を知られて嬉しいなんて…この医者何者だ?
「幻覚・幻聴とかじゃ無いから、精神科とか掛からなくって良いと思うけど…一応掛かってみる?」
主治医はPCの画面を見ながら続けて言った。
「それとも脳神経内科にしてみましょうか?お勧めの医師が居るんだけれど…。」
「いいえ…結構です」
お勧めって…ここはレストランか何かっすかね?
俺はきっぱりと断った。
また下手に検査で異常が見つかって再入院なんてことになったら、たまらない。
「だよね…。」
主治医はにっこり笑った。
…だったら聞くな。
PCにささっと入力を済ませて、こちらを向いて微笑んだ。
…こうして見ると、大人の色気があるイケメン医者なのにな…これでロリ…だもんな。
俺は主治医の顔をまじまじと見た。
「また外来へ来た時に教えてね。ではお大事に」
主治医は、あっさりと言うと看護師に声を掛けた。
…おっといけねぇ…忘れるところだった!
「あ…先生。俺アスモデウスについて調べてみたんです」
呼ばれて来た看護師を、ごめんなさいまた後で呼びますと言い、主治医は再び俺と2人きりにしてくれた。
「そうですか…」
主治医はゆっくりとこちらに向き直ると、座っている椅子が軋み小さな音を立てた。
「悪魔と取り引きした覚えは無いのに、不思議な能力を授かった人って居るんですかね?」
「うーん。どうだろうね…歴史上の人物の中にも悪魔と取り引きをして、天才的な能力を得たと呼ばれる人達はいるけれど…」
主治医は顎に手を添えて考え込んだ。
「例えば…ゲーテで有名になった錬金術師のファウストとか、作曲家でバイオリンの名手のパガニーニとか…伝説だけで、本当に契約を交わしたのかどうかも実際は分からないですね」
「…。」
…そうだ。どれも伝説の域を超えない話なんだ。
「方法すらもはっきりと分からないですし…馳目くんの場合は、事故で頭を強く打ったことに起因するとは思うんですけれど…」
主治医は再びモニターに向かい、俺の画像をチェックしていた。
「うーん。何も異常は見当たらないんですよね。まぁそんなに気になるなら、やはり脳神経内科を受診してみますか?頭痛もあるんだよね?」
主治医の“推し”は一先ず遠慮しておいたほうが良いに決まってる。
「あ…いえ。頭痛は、随分と楽になりましたし、受診とか検査とか…暫くは…良いです」
俺は慌てて遠慮した。もう本当に病院は懲り懲りなんだ。
「そうですか…」
主治医は少し残念そうだ。
「君の場合はいつでも再診に来ても良いからね…面白いから」
…全く…おかしな医者だ。
非科学的な事を普通の医者なら信じないだろう。
それなのに、主治医は、真面目に話を聞いてくれる以上に興味を持ってくれた事に好感が持てた。
「学校…行きたく無いだろうけど、行って良いですよ」
主治医はPCに向き直ると静かに言った。
「あっ…と。それから彼女には会えましたか?」
「彼女?」
…先生。俺。ドウテイですよ。
「ええ。最初の頃に、お見舞いに見えてましたけど…馳目くんも隅に置けませんね。あんな綺麗な彼女がいるなんて…では、お大事に」
主治医は看護師を呼んで、書いていた書類を渡した。
…同級生の誰か来たのか?
思い当たる子が1人居る…けど…まさかな。
普通の人間には無い、第六感と性経験透視能力
俺は、この不思議な能力を“Sexth Sense”と命名した。
―――朝
今日から、久しぶりの学校。でも直ぐに夏休みに入ってしまう。
人生で初めて、夏休みが残念に思った。
「あら…佑。自分で起きてくるなんて珍しいわね」
弁当を作ってる母ちゃんは、俺に背を向けたままだ。
いつもと変わらぬ1日の始まり。
…いや違う!
俺はこの日を心待ちにしてたんだ。
友人達の性事情が分かると思えば、股間も胸も膨らむってもんだ。
「うん。学校が楽しみで…。」
テーブルの前に座り、スポーツ新聞を読んでいた親父が、驚いて此方をチラリと見ると呟いた。
「お前…やっぱり酷く頭を打ったんだな」
そして再び新聞を読み始める。
「そうよぉ心配したのよ。3日間も意識が無かったんですから。今はケロッとしてるけど…。」
母ちゃんは相変わらず、背中を向けている。
…ケロって…人をカエルみたいに言うな。
「あれ?ヨウコは?」
いつもいる筈の、姉ちゃんがいない。
「生徒会の集まりで、早く出かけたわよ」
…ふーん。
椅子に座って わかめの味噌汁を飲んだ。おかずは、かわりばえのしない昨日の残りものだ。
「あぁ…そういえば、退院したらすぐ期末テストするって言ってたわよ。担任の高木先生が」
…え?
一瞬箸を止めた。
「ほら、入院してて受けられなかったでしょう?」
…おいこらBBA。
俺は箸を置いて頭を抱えた。
「母ちゃん…何でそれを今言うの?」
すっかりチート出来たと思っていたのに、それじゃ、ただのサスペンデット・ゲームってことじゃねぇかっ‼︎
…あーあ。
「だってすっかり忘れてたんだもの仕方が無いじゃない」
母ちゃんは悪びれる素振りも見せず、焼き魚を俺の前に置くと、朝ごはんを食べ始めた。
「はぁ~。もうぅぅぅぅっ勘弁してよ。
なぁ~んでそんな大事な事忘れんのよ?」
母ちゃんって…お喋りな癖に、自分のこと以外は忘れる生き物である。
「母ちゃん…この魚なんかクセぇんだけど?」
魚臭さが鼻についた瞬間。
(ああん…ああん…もっとぉ…もっとぉ…激しいのが良いのぉ)
…‼︎‼︎
突然 声が聞こえてきた。
顔をあげると、母ちゃんと親父が絡んでいる姿が重なって視えた。
「マジかよ…やめてくれ!身内のだけはみたくねぇぇぇ!」
箸を握りしめたまま、衝動的に立ち上がった俺。
「ユウ?どうしたの?」
母ちゃんが俺の顔を覗き込んだ。
…わわ…やばい。
(もっとぉ…もっとぉぉ)
親父が母ちゃんの上で蠢く姿が見えた。
(お前の中は…おっ…いく…ああ…)
親父の慟哭と母ちゃんの押し殺した絶頂の声。
俺は母ちゃんを押しのけ、椅子から立ち上がり、キッチンのシンクへと急いだ…が、
「おぇぇぇえ…おえぇぇぇ」
…間に合わなかった。
食べたばかりの朝食を盛大に床の上にリバース。あららら…大変と言って母ちゃんが慌ててキッチン・ペーパーとスーパーの袋を持ってきた。
「ほらな?学校へ行くのが楽しみだとか…おかしなこと言ってるから、変だと思ってたんだ。」
親父が新聞の向こう側で笑った。
陽射しが強く今日も暑くなりそうだ。
あの事故でぶっ壊れた自転車を買うまでのバス通学。
お陰で夏休みは、バイトをしなくちゃいけない羽目になった。
あんだけ大勢の目撃者が居たのにも関わらず、誰も車のナンバーや車種を覚えて無いのが不思議だ。
世知辛い世の中になったもんだと俺は思ったね。
…朝一で購買部に寄って、何か食べよう。
吊革につかまると、3列先の椅子に座っている女子高校生に目がいった。
…ベットでエロ動画みてオナニーしてる!
コードの付いたピンク色のローターが、濃いアンダーヘアの中で見え隠れして居た。
まるでそうは見えない清楚な感じなのに、そんなモノまで女子は使うのか?
…すげ~な。
素人娘のなんとやらは結構好きだが、これぞホントの素人だ。
本当の同世代で、モザイク無し。
朝イチで“自らを慰めて”きたが、急に股間が慌ただしくなったので、それ以上は視ることが出来なくなった。
ズボンのポケットに手を入れ、しっかりと押さえつけ、慌てて視線をうつす。
今度はスーツを着て漫画を読んでるサラリーマン。
…彼女とセックス後の寝ている姿。
その隣で彼女はこっそりオナニーをしていた。
…彼女結構可愛いのに…勿体ない。
少し見回すだけで、映像が変わっていく。集中しなければ、声までは聞こえないが、もしもこの映像の音が一気に聞こえたりしたら、大変だ。
…チャンネルを合わせられるようになれば良いんだけど。
でないと、母ちゃんと親父のおぞましい儀式を強制視聴させられて、毎朝 俺は“自家製もんじゃ製造マシーン”となってしまう。
神様がくれた能力なのか…それとも悪魔…なのか。
扱いには多少コツがいる様だが、熱・烈・歓・迎…なのは言うまでも無い。
…でも俺は元気溌剌の童貞くん…だがな。
このスキルは、完全なる宝の持ち腐れ…なのか?
否…きっとDoteiだからこそ、神様が勉強せよと授けて下さった能力なのかも知れない。
校門を入り、校舎へ向かう間は、まるで夢のようだった。
…Yes! イェ―――ス。
俺の先を行く、学生たちを立ち止まって眺めた。朝は、俺のことを気にする奴なんて誰一人居ない。
後ろ姿だから、近づいたとしても不審には思われず、ガン見し放題だ。
「…明日からもっと早く登校しよう♪」
嬉しさの余り思わず口走ってしまった。
登校初日でひとつ確信が持てた事があった。
分かったことは色は殆どの場合、白かピンクのほぼ2色。
…経験者はピンク…なのか?
色に何か意味があるのかと思っていたが、どうやら白は単純明快、“童貞か処女”のようだ。
病院で観察した時には、ピンク一色だったのは、羨まけしからん事に、皆経験済みだったってことだ。ただあのエロ医者の赤ってのがいまだに謎だ。
処女でもオナってれば、それが視聴出来るという美味しいシステム♪
…男は邪魔だ。俺は女子の“白”狙いでいく♪
クラスまでの廊下を悠々と歩いて行く俺。
教室へ入ると、まだ誰も来て居なかった。
…そうか…この時間はまだ朝練の奴らばかりか。
広々とした見慣れた教室内は、休み前となんら変わりは無かった。
「馳目君おはよう~。久しぶり!退院したんだね」
学級委員のミキだ。
…‼︎
思わず反射的に振り返ってしまったが、白だった。
…何っ!オナニー経験も無い…だとっ?!
とても透明色の有る純白。
そして、光の加減でキラキラと七色に煌く粒子の様なものが、ふわふわと漂っている。
思わず周りをぐるりと見回した。
喩えて言うなら、スノードームの中に立っている様な感じだが、それよりも数倍…いや数百倍は美しい。
「こんな…の…初めて見た」
俺は、ボーッと眺めてしまってた。
心を洗われる美しさ。
…聖母マリアの後光は、きっとこんな感じで輝いてたんだね?そうなんだねっ!神様っ!
俺は、薄らと涙さえ浮かべていたに違いない。
…濁り穢れた心で世界を観てたよ。もっと穿った見方をせよとの思し召しなのでしょうか?
清々しい新緑の香りが立ち昇る様な気さえして来た。
…よし。俺は誓う。全力でこの力を極め、“アスモデウスの眼”になろう!
色欲の神 ここに降臨‼︎
「馳目君?…初めてって何が?」
…あっ。やべぇ。
「な…何でもない。」
我に返り、慌てて席に着いた。
席は教室の一番奥の隅だ。見放題だ。
…やっぱ、神様っているんだな。
「あ!そういえば、入院してた時に、見舞いに来てくれた?」
ミキに向かって聞いた。
「ううん。面会謝絶だって聞いてたから、誰もお見舞いには行ってない筈だけど…。ごめんね。みんな行きたがってたんだよ?」
ミキは済まなそうに言った。
「あ…ああ。そうなんだ?主治医が誰か来たみたいなこと言ってたから…。ありがとう」
…クラスメートじゃ無い?って事は、誰だったんだ?
ま…いっか。
続々と入ってくるクラスメート。思わず顔がニヤついてしまう。
…駄目だ…お楽しみは授業中まで取っておけ。
大きなスクールバックを机の上にドカッと置き、教科書を出しながら、俺はターゲットが来るのを待っていた。
「よお。馳目ー!久しぶり。期末テストチート野郎」
…違う…おめーじゃねぇ。
「フナキ。久しぶり。違うよこれから受けなきゃいけないんだよ」
…こいつもまだ白か。オカズは…不細工なグラドル。趣味悪いな。
「マジで?」
フナキは、中学時代からの付き合いだ。親父が借りてきたエロビデオを拝借して昨日は3回連続で抜いたとか、テニス部の先輩の胸がデカいとか、そんな話ばかりして居る。
「うん…よりによって今朝母ちゃんが言い出してさ。おせーよって感じ。すっかりチート気分だったのに」
―――ガラガラッ
「お…高木が来た」
担任の高木が入ってくるのを見てフナキは、慌てて席についた。
高木は30代独身。可愛い彼女が居ると自慢していたが、ちょっと冴えない。可もなく不可もなく、至って真面目な教師だ。
「おー馳目。お前は今日から3日間テスト三昧だ。教頭先生のところに行って来い。じゃ…みんなには、これからテスト返すぞー」
クラスがざわつき、一斉にため息が聞こえた。
「うえっぷ…。」
見るつもりは無かったが,ふと高木の頭上を視てしまった。
…高木よ。喜べ。お前は…見ちゃいけない性癖 暫定一位だ。
思わずまた嘔吐きだした俺を心配そうに隣の席の純白…じゃなかったミキが覗き込んだ。
「大丈夫?」
…危ない危ない。
「う…うん」
当面は“ついうっかり”をどうにかすることを目標にしないと駄目だな。
――― 教職員室。
「失礼しまーす!馳目です」
迷わず音楽教師を探す。
20代で独身、学校一の美人教師だ。
茶髪のロングヘアをいつも綺麗な内巻きにしていて、すらりと伸びた白い足にはヒールがよく似合った。独身教師達から、待ったなしのデートの誘いを受けてるって噂。
…いたぁあ!!!
俺は思わずガッツ・ポーズ。空席が多いデスクが並び、一番奥の机に“美人”は座っていた。
…喜んで♪喜んで拝見いたしましょ…。
「おっ馳目。何ボーっと突っ立ってるんだ」
突然、現れた出た"髪に見捨てられし者”またの名を…教頭が、視界を遮った。
…うぁぁぁ。迅速に俺の視界から消えろぉ。
俺は二フラムを唱えた。
判ってる…効くわけない...仕方が無いので俺は間髪入れず、目をそらした。
…危なかった。
もしかして、今日はこいつとずっと一緒なのか?だとしたら、最悪だ‼︎
「養護の先生に見て貰うことになってるから。僕と一緒に保健室へ来なさい」
…保健室。
廊下の突き当りに保健室はあった。健康優良児だった俺は、一度もお世話になった試しが無い。
…悪いが、養護教諭の顔なんて憶えちゃいねぇ。
――― 保健室。
教頭がドアをノックすると、はーい。どうぞという声が聞こえた。
「凛子先生。馳目を連れてきました。済みませんがよろしくお願いします」
…凛子?
部屋にはベットが3台あり、養護教員用の机と使ってない机が置いてあった。
「馳目君?今日一日…宜しくね」
…好色の神様 どうもありがとう。
妄想が大暴走しそうだ。
「ここに座って」
養護教諭の凛子先生は、まだ20歳代だと思われる可愛い感じ。とても線が細くて、華奢だった。真白なケーシーを着て歩く姿が可憐だ。
養護の先生が可愛いなんて、誰も教えてくれなかったぞ?
…今日の俺はついている♪
「朝からずっとテストなんて大変ね。疲れたら休憩しましょうね」
少しヒールのある靴音を響かせて、俺の側までやってきた。
ーーー ふわり。
テストを渡されたのと同時に,甘い香水の様な香りが俺の顔を容赦無くくすぐる。
それだけで、頭がボーッとしてしまいそうだ。
「あららら…馳目くん?大丈夫?」
「えっ?」
「鼻血が…ちょっと待って!」
養護教諭が慌ててティッシュの箱を持ってきた。
「具合…悪いの?少し休む?」
「い…いえ…大丈夫ですっ!」
ティッシュで鼻を抑えながら、答えた。
…兎に角、試験を終わらせてお楽しみはそれからだ。
目標があると不思議と集中出来るものだ。俺は一気に仕上げた。
そして斜め前に椅子を置き、足を組んで本を読む凛子先生を見つめた。
もやもやと拡がり出す世界。
…ピンクだ。
(あぁ…感じるの。溶けちゃいそう…。)
相手は女子学生に人気の爽やか体育教師だ。
…マジ…か。脳みそ筋肉野郎が相手だったなんて。
まさにその最中の映像が浮かんだ。
夕方の誰も居なくなった保健室のベッドに手をつかせ、立ちバックで腰を動かしていた。
捲れ上がったケーシーと、淡いピンクのシフォン・スカート。
(凛子…の…ま●こ…気持ちが良いねぇ)
はあはあ言いながら、脳筋はガンガン突きまくっていた。
華奢な凛子先生が、ポキッと折れてしまうんじゃ無いかと思うぐらいの激しさだ。
…ふーむ。テクニックより体力重視なパワー系セックスか。ま…悪く無い。
接続部は愛液が夕日に当たってキラキラと光っていた。
脳筋が動くたびにクチュクチュといやらしい音まで聞こえた。
…体格差があって男がデカイと色んな事が出来るのか。
喘いでいる凛子先生の顔が、またいやらしい。
口を半開きにしてうっとりとしながら、なんだか甘酸っぱくてとろけそうな声で喘いだ。
さっき嗅いだ柔らかい香りと映像のコラボレーション
…やばい。俺のがバッキバキになってきた。
股間が熱くなり、先がズボンのベルトに当たり痛いほどだ。
(ふぅん…ああん…もっと…ちょうだ...い)
違う場面に突然スクロール。脳筋にがっちりと肩を掴まれた、凛子先生は尻を突き出し、線の細さから、その立ち姿は、丁度数字の7のようにも見えた。
(ああ…気持ち…良い…べ…。)
ーーーガタッガタンッ。
瞬間ぐぐぐーんと成長しちゃた俺のムスコさんの自己主張が始まった。
…!!!!
腰が引け、椅子が大きな音を立てた。
…ヤバい。
「馳目君?どうしたの」
凛子先生は読んでいた本を膝に置くと、此方を心配そうに見ていた。
「あっ…いいえ。ちょっと腹の具合が…。」
「トイレに行く?」
凛子先生は本を机に置くと、ゆっくりと近づいてきた。
「あ…あ…大丈夫です。もう少しでテスト終わりますんで…。」
しどろもどろになりながらも、少し前かがみになってお腹を抑えるふりをした。
「そう…無理しないでね。次は休憩を挟みましょうね?焦る必要は無いのよ」
「は…はい…ありがとうございます」
凛子先生は、軽やかなヒールの音をさせながら、机に戻りPCを開いた。
静かに深呼吸をする…そうだ。この高揚感を押し殺さなければ。
湯船に溶かされていく入浴剤の様にもやもやと、再び広がり始める情景。
(あぁん…そこぉ…そこ)
ビブラートを掛けながら喘ぐ、
凛子先生の小振りな胸元からピンと尖った乳首が見えている。
脳筋は、それをわしづかみにて激しく揉んだ。
凛子先生のおっぱいは小さくて、荒々しく揉まれ、皮膚が赤くなるのを見ていると、何だか痛々しく思えてくる。
凛子先生は、可愛らしい顔に似合わず、“荒ぶった系”のプレイがお好みなのかも知れない。
(ああん…凛子…気持ちが…良いのぉ…)
脳筋は、 凛子先生の束ねてある長い髪をグイッと引っ張った。
(―――バチンッバチンッ)
野獣と化した脳筋は、そのでかい手で桃のような可愛いらしい凛子先生のお尻を、何度も叩いた。
(はぁ…はぁ…いくぅぅぅ~!)
そして更に弓形になる凛子先生の体。潤んだ眼が上転し始める。
…こ…これが…本物の…アヘ顔?
(凛子のぉ…まん●ぉ…まん●ぉ…ぎもぢいぃ~…)
その常軌を逸した顔は、エロ・アニメで観るよりも、正直怖いぐらいだ。
(うぁぁ…駄目だぁぁん。俺…もぉ…イ゛ク゛ゥ…イグ…イグゥ…。)
脳筋は、小刻みなピストンを数回繰り返しフィニッシュ。
…ちょ…待てよ。だぁぁんって。しかも何故に最後が訛る?
さっきまで痛い程だった息子が、静かになった。
そして、ふたりが離れると凛子先生のアソコから、ブブブブッと、おならの様な大きな音が出た。
凛子先生が身支度を整え動くと、その度にエゲツない程の大きな音がする。
…こ…れが…噂に聞く、 “ちなら”ってやつなのか?
俺は笑いそうになるのを必死で堪えたが、当の本人達は、全く気にしていない。
行為は、崇高で労わり合うものだと思っていたが、恥辱を曝け出し、欲望の赴くままに激しく求め合う獣の様な2人を観てしまうと、俺は興醒めしてしまった。
俺の息子は、無事鎮火。
…脳筋、凛子先生…ありがとうよ。お陰で一気に萎えてしまいましたよ。
これが、きっと性癖の違いってヤツなのかも知れない。
それでも線の細い凛子先生の身体つきは、エロ・ロリ度が高くて、俺の好みのタイプだ。
人生で一番素敵なテスト期間,幸せな3日間が過ぎた。
…はぁ やっとゆっくり出来る。
テストの返却や補習、面接などで毎日が過ぎた。
夏休みまであと数日。
そして今日は三者面談の日だった。
「志望大学は安全圏内ですが、皆が最後の頑張りを見せる時期なので、気をぬかない様に」
スカトロイド高木…担任の性癖露見祝いを兼ねて、とっておきのあだ名をプレゼント。無論俺の中だけでの話だが。
…食糞とかマジねーわ。
スカトロイドの顔を眺めながら、俺は溜息をついた。
「馳目。心配するな焦らず,じっくりと取り組めば良い」
俺が受験の事で神経質になっていると思ったらしい。
…お前…自分のセイヘキを心配した方が良いぞ?
母ちゃんとスカトロイドが話している間、窓の外をボーッと見ていた。
部活も休みに入り、校庭には誰もいない。この時期は、暑過ぎて練習にならないかも知れない。
虹を作り続ける涼しげなスプリンクラーを眺めた。
その向こうに何が動くものが見えた。
…体育館倉庫に誰かいるのか?
埃臭くて、昼間でも薄暗い倉庫は、ヤンチャな奴らの溜まり場みたいになっていた。
…女?
陰へと引き摺られる細い脚が見えた。バタバタと暴れて脱げた靴が、ポツンと置き去りにされた。
「先生!一緒に来てっ!早くっ‼︎体育館倉庫だっ!」
俺が突然大きな声を出し椅子から立ち上がったので、担任も母ちゃんも椅子から数センチ跳ねた気がした…が、それどころじゃねー!
「おっ。おい馳目!」「ちょっと佑どこ行くの!?」
「だ・か・らっ!体育館倉庫で女子が、何かされてるんだってっ‼︎」
母ちゃんとスカトロイドの声を背中に浴びながら,教室を飛び出した。
階段を2段跳びで降り校舎を出てぐるりと回り、体育館へと続く渡り廊下を横切った。
体育館倉庫は、少し奥まったところに有る。
…あともう少しだ!
背中にじりじりと焼き付ける様な太陽の日差しを浴びて、汗でシャツが背中に張り付き、絶妙に気持ちが悪い。
「…やめてよ!!」
その時、大きな声が聞こえた。
俺の心臓は、耳元でドクドクと音を立て始めた。
「…ヤッてるんだろ?」
「おっさん達に金貰ってよぉ」
体育館の裏は、職員室からも見えない死角になってる。
「そんな肉便器を俺らが相手にしてやるんだから、タダでやらせろよ?」
…ひとりじゃない。
違う声が揶揄う様に笑っていた。
「初回は、お試し無料サービスってことで♪」
「嫌だ!やめてっ!」
…あと5m。このコーナーを曲がれば…。
上履きの下から伝わって来る地熱と汗とそして緊張。
「ちょっと可愛いからって調子に乗ってんじゃねーぞ?ビッチ!」
―――バチーンッ!
大きな音とともに女の悲鳴。
「静かにしてりゃすぐ済む。おい!お前。口塞げ」
「あははは…ビデオ撮って、売り捌こうぜ?!」
先程まで聞こえていた女の声がくぐもって微かに聞こえる。
「おいっ!お前ら何やってんだよ!!」
俺は、息を吐き出すと同時に大きな声で怒鳴った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる