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第8話 恋に落ちた魔王(アンラ視点)
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わたしがルーカスという男を知ったのは、臣下からの情報だった。
「魔王様、つい先程アーリア王国に新しい戦士が加わり、七帝になったそうです」
「1人増えたのね。どんな人なの?」
「はい。今回は異世界人ではなく、この世界の出身の者で、珍しい光属性に適性を持っているようです」
「光、ね……。名前は?」
「ルーカス・アンワルです」
「ルーカス……」
光属性は闇属性に適性を持っているわたしにとって弱点属性。
わたしはこの国、シャイタンに危機が訪れると、そう確信した。
「逐次情報を頂戴。そしていつでも良いように兵を集めなさい」
「承知しました」
そう言って臣下ははけた。
近頃、七帝でこの国を攻めてくるだろうと、わたしは緊張を走らせていた。
◇◇◇
しかし何も変化がないまま、しばらく経ったある日、
「魔王様、ご報告があります」
「なに?」
「聖帝ルーカス・アンワルはアーリア王国から追放を言い渡されたことがわかりました」
「―――え?」
「偵察班によりますと、異世界から強力な光属性に適性を持った者が現れたということです」
「なっ! ルーカスより強い者が現れたっていうの!?」
臣下から聞いていた話で、ルーカスがこの国を滅ぼすことが出来るとアーリア王国内はかなり盛り上がっていた。
だけど異世界人には特権というものがある。
やはり異世界人にはかなわなかったっていうことね。
「む?」
臣下に何か新たな情報が入ったみたい。
もう1人の臣下が耳打ちしている。
「速報ですが……」
臣下は少し驚いた様子で話し始めた。
「狂獣の森にてルーカス・アンワルの身柄を確保致しました」
「えっ!ほ、本当なの?」
「はい、ただいま収容所におります」
最初は聞き間違いだと思った。
何故この国の領地に追放された聖帝が侵入したのか。
もしかしたらこの国を滅ぼそうとしたのか。
もしそうなら処刑にする。
そう思ったとき、
「魔王様。先程に加えて、もうひとつ不思議な伝言があったのですが……」
「な、なに?」
「ルーカス・アンワルが確保される前日、ある市民の方がルーカス・アンワルに遭遇したそうですが―――その市民を切り殺そうとしなかったようです」
「は?」
どういうこと?
市民が攻撃対象までいかなかったから?
でもおかしすぎる。
「わたくしも最初は耳を疑いました。
人間が、しかもあの聖帝だった男がなぜ殺そうとしなかったのか。
とても不思議で不思議で……。」
それはわたしも同じ。
「そしてもうひとつ……」
臣下は少し間を開けると、
「ルーカス・アンワルを運んでいた際、ルーカス・アンワルが放った寝言が―――。
『モンスターや魔族とは対立したくない』」
「―――!!」
噂には聞いていたルーカス・アンワルという男。
似顔絵も見た。
顔立ちが良く、アーリア王国内の女性にも絶大な人気があり、お見合い話も毎日のようにあったという。
それに『モンスターや魔族とは対立したくない』という言葉。
そんなことを聞いてしまったら……。
身体がとても熱い。
「わたし、ルーカスという人のこと好きになっちゃったかも……」
「魔王様、つい先程アーリア王国に新しい戦士が加わり、七帝になったそうです」
「1人増えたのね。どんな人なの?」
「はい。今回は異世界人ではなく、この世界の出身の者で、珍しい光属性に適性を持っているようです」
「光、ね……。名前は?」
「ルーカス・アンワルです」
「ルーカス……」
光属性は闇属性に適性を持っているわたしにとって弱点属性。
わたしはこの国、シャイタンに危機が訪れると、そう確信した。
「逐次情報を頂戴。そしていつでも良いように兵を集めなさい」
「承知しました」
そう言って臣下ははけた。
近頃、七帝でこの国を攻めてくるだろうと、わたしは緊張を走らせていた。
◇◇◇
しかし何も変化がないまま、しばらく経ったある日、
「魔王様、ご報告があります」
「なに?」
「聖帝ルーカス・アンワルはアーリア王国から追放を言い渡されたことがわかりました」
「―――え?」
「偵察班によりますと、異世界から強力な光属性に適性を持った者が現れたということです」
「なっ! ルーカスより強い者が現れたっていうの!?」
臣下から聞いていた話で、ルーカスがこの国を滅ぼすことが出来るとアーリア王国内はかなり盛り上がっていた。
だけど異世界人には特権というものがある。
やはり異世界人にはかなわなかったっていうことね。
「む?」
臣下に何か新たな情報が入ったみたい。
もう1人の臣下が耳打ちしている。
「速報ですが……」
臣下は少し驚いた様子で話し始めた。
「狂獣の森にてルーカス・アンワルの身柄を確保致しました」
「えっ!ほ、本当なの?」
「はい、ただいま収容所におります」
最初は聞き間違いだと思った。
何故この国の領地に追放された聖帝が侵入したのか。
もしかしたらこの国を滅ぼそうとしたのか。
もしそうなら処刑にする。
そう思ったとき、
「魔王様。先程に加えて、もうひとつ不思議な伝言があったのですが……」
「な、なに?」
「ルーカス・アンワルが確保される前日、ある市民の方がルーカス・アンワルに遭遇したそうですが―――その市民を切り殺そうとしなかったようです」
「は?」
どういうこと?
市民が攻撃対象までいかなかったから?
でもおかしすぎる。
「わたくしも最初は耳を疑いました。
人間が、しかもあの聖帝だった男がなぜ殺そうとしなかったのか。
とても不思議で不思議で……。」
それはわたしも同じ。
「そしてもうひとつ……」
臣下は少し間を開けると、
「ルーカス・アンワルを運んでいた際、ルーカス・アンワルが放った寝言が―――。
『モンスターや魔族とは対立したくない』」
「―――!!」
噂には聞いていたルーカス・アンワルという男。
似顔絵も見た。
顔立ちが良く、アーリア王国内の女性にも絶大な人気があり、お見合い話も毎日のようにあったという。
それに『モンスターや魔族とは対立したくない』という言葉。
そんなことを聞いてしまったら……。
身体がとても熱い。
「わたし、ルーカスという人のこと好きになっちゃったかも……」
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