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第12話 出発
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清々しい朝の光が差し込んだと同時に、俺は目覚めた。
遂にアーリア王国と対立する日が来た。
軍と共に出発だ!―――とその前にアンラはやることがあるようだ。
どうやら城の地下には礼拝堂があるらしい。
「これが礼拝堂か?」
「うん、せっかくだし特別に入らせてあげる! 本当はダメだけどね」
アンラは唇に人差し指を当てて、俺に顔を近づける。
うーん、たまらん! 可愛すぎです!
「ほーら、ボケっとしてないで、まずは手と顔を清めるよ」
「あ、すまんすまん」
礼拝堂の入口の前には壁から水が滴っている。
そこで手と顔を洗って身を清めるようだ。
まず手を洗った後、次に顔を洗う。
「さて、これから礼拝堂に入るけど、常に清い心でお願いね」
「分かった」
そして、アンラはゆっくりと扉を開ける。
するとそこは意外にもシンプルな構造で広くなかった。
「ここが礼拝堂……思ったより素朴だね」
「もうちょっと豪華な感じだと思った?」
「あぁ、でもシンプルな感じで案外好きだな」
「でしょ? わたしも好きなんだよね」
壁には何かが飾られていたり、絵が描かれているわけではない。
奥に何か大きな杯のようなものがあり、そこから大きな炎が燃え盛っている。
「―――――」
そうか、これを見てそんな宗教があったことを思い出した。
『拝火教』
火には神の力が宿っていると言う教えで、火を崇拝する宗教だ。
凄い。
見ただけで『火』というのは、こんなにも力強さがあるのか……。
礼拝堂の中が薄暗いせいもあって、炎がいつもより神々と光っているのがよく分かる。
「この火はね、1000年以上燃え続けているのよ」
「せ、1000年以上だと!?」
本当はもっと驚きたかったが、ここは礼拝堂なので小さな声で言った。
1000年前か……。
俺の知識無いだと1000年前は魔族と人間が争い始めたくらいの時代だったような?
そうか―――この国は平和を祈るためにここで儀式が行われ、その炎を絶やすことなく今日まで燃え続けているのか。
「―――この国は凄いな」
「えっ?」
「やっぱこの国は凄い。
アーリア王国のような人間の国とは違う。
こんなに国全体で一体となって頑張っている姿が、こんなにも古い時から続いているなんて―――」
「ル、ルーカス!? なんで泣いてるの?」
「こんなの泣かないでいられない。感動しちゃったよ」
俺は大量の涙をいつの間にか流していた。
多分、俺が追い求めていたのはこれだったんだろうな……。
「ルーカスって意外に涙脆いんだね」
「悪いかよ?」
アンラはくすくすと笑った。
俺は涙を拭った。
「この偉大な火を見て俺は思ったよ」
そう言って俺はアンラの方を見た。
アンラもそれに気がついて俺の方を見る。
「俺はこの国に連れてこられて良かった。そしてアンラにも出会えて良かった。俺はこれからもこの国を守っていくって誓うよ」
「ルーカス……」
どうやら俺の覚悟はアンラの心に伝わったようだ。
アンラは俺の方に歩み寄って、俺の胸に顔を埋めた。
「わたしもルーカスに出会えてよかったよ。だから―――」
アンラは俺の顔を見上げると、真剣な眼差しで言った。
「絶対に、絶対に七帝に勝とうね! そしてもし勝ったら幸せに暮らそうね……」
「はは……そんな言葉、よく礼拝堂のところで言えるな」
軽くからかってみたらアンラは、顔を真っ赤にしてそっぽ向いた。
しばらくこの顔も見れないかもな……。
今のうちにこの顔をこの目に焼き付けておこう。
そうだ、アンラに伝えとかないといけないことがあるんだよな。
「アンラ、ひとつ大事な話がある」
「―――?」
「まずこれあげるよ」
「髪飾り? すごく綺麗……」
俺がアンラに渡したもの。
それは髪飾りだ。
実はこの国の髪飾り職人に特注で作ってもらったものだ。
もちろんただ渡すだけじゃない。
「アンラ、この戦いに勝ったら俺と結婚してくれないか?」
「―――!?」
「突然何言ってるのって思ってるかもしれないけど、俺は本気で言ってる。
行き場をなくした俺を導いてくれたのはこの国のおかげ、そしてアンラのおかげだ。
俺はすっごく感謝してるんだ」
「―――」
「今はその髪飾りだけど、戦いが終わったらちゃんとしたものをアンラにプレゼントするからさ」
アンラは急に抱き締めてきた。
そして顔を近づけて唇を重ねてきた。
「もう……そんなのズルすぎるよルーカス。もっとルーカスのこと好きになっちゃったじゃない……」
俺の胸に顔を埋めながら、鼻を啜りながら小声でそう言ったアンラ。
俺は優しく頭を撫でてやった。
「―――いいよ」
「え?」
「わたしはルーカスとずっと一緒にいたい。だからルーカスのお嫁さんになってもいいよ……」
「ほ、本当か?」
「うん、だから絶対この戦いは勝とうね」
「あぁ!」
俺とアンラはもう一度唇を重ねると、アンラはくすくすと笑った。
「さっきわたしによく礼拝堂でそんなこと言えるなって言ってたけど、ルーカスもよく礼拝堂のところでそんな言葉言えたよね」
「うっ―――なんかいつの間にか礼拝堂にいることなんて忘れちゃってて……」
「ルーカスも結構おっちょこちょいなのね」
「ち、違うからな!?」
「あははは………でも、わたしはルーカスと結婚できるなんて凄く嬉しいよ」
そう言うとアンラは燃え盛る火の方を見る。
俺も横を見ると先程の威厳さとは違い、俺とアンラのことを祝福してくれるかのように、温かく見守ってくれているかのように優しい光を発しながら燃えていた。
遂にアーリア王国と対立する日が来た。
軍と共に出発だ!―――とその前にアンラはやることがあるようだ。
どうやら城の地下には礼拝堂があるらしい。
「これが礼拝堂か?」
「うん、せっかくだし特別に入らせてあげる! 本当はダメだけどね」
アンラは唇に人差し指を当てて、俺に顔を近づける。
うーん、たまらん! 可愛すぎです!
「ほーら、ボケっとしてないで、まずは手と顔を清めるよ」
「あ、すまんすまん」
礼拝堂の入口の前には壁から水が滴っている。
そこで手と顔を洗って身を清めるようだ。
まず手を洗った後、次に顔を洗う。
「さて、これから礼拝堂に入るけど、常に清い心でお願いね」
「分かった」
そして、アンラはゆっくりと扉を開ける。
するとそこは意外にもシンプルな構造で広くなかった。
「ここが礼拝堂……思ったより素朴だね」
「もうちょっと豪華な感じだと思った?」
「あぁ、でもシンプルな感じで案外好きだな」
「でしょ? わたしも好きなんだよね」
壁には何かが飾られていたり、絵が描かれているわけではない。
奥に何か大きな杯のようなものがあり、そこから大きな炎が燃え盛っている。
「―――――」
そうか、これを見てそんな宗教があったことを思い出した。
『拝火教』
火には神の力が宿っていると言う教えで、火を崇拝する宗教だ。
凄い。
見ただけで『火』というのは、こんなにも力強さがあるのか……。
礼拝堂の中が薄暗いせいもあって、炎がいつもより神々と光っているのがよく分かる。
「この火はね、1000年以上燃え続けているのよ」
「せ、1000年以上だと!?」
本当はもっと驚きたかったが、ここは礼拝堂なので小さな声で言った。
1000年前か……。
俺の知識無いだと1000年前は魔族と人間が争い始めたくらいの時代だったような?
そうか―――この国は平和を祈るためにここで儀式が行われ、その炎を絶やすことなく今日まで燃え続けているのか。
「―――この国は凄いな」
「えっ?」
「やっぱこの国は凄い。
アーリア王国のような人間の国とは違う。
こんなに国全体で一体となって頑張っている姿が、こんなにも古い時から続いているなんて―――」
「ル、ルーカス!? なんで泣いてるの?」
「こんなの泣かないでいられない。感動しちゃったよ」
俺は大量の涙をいつの間にか流していた。
多分、俺が追い求めていたのはこれだったんだろうな……。
「ルーカスって意外に涙脆いんだね」
「悪いかよ?」
アンラはくすくすと笑った。
俺は涙を拭った。
「この偉大な火を見て俺は思ったよ」
そう言って俺はアンラの方を見た。
アンラもそれに気がついて俺の方を見る。
「俺はこの国に連れてこられて良かった。そしてアンラにも出会えて良かった。俺はこれからもこの国を守っていくって誓うよ」
「ルーカス……」
どうやら俺の覚悟はアンラの心に伝わったようだ。
アンラは俺の方に歩み寄って、俺の胸に顔を埋めた。
「わたしもルーカスに出会えてよかったよ。だから―――」
アンラは俺の顔を見上げると、真剣な眼差しで言った。
「絶対に、絶対に七帝に勝とうね! そしてもし勝ったら幸せに暮らそうね……」
「はは……そんな言葉、よく礼拝堂のところで言えるな」
軽くからかってみたらアンラは、顔を真っ赤にしてそっぽ向いた。
しばらくこの顔も見れないかもな……。
今のうちにこの顔をこの目に焼き付けておこう。
そうだ、アンラに伝えとかないといけないことがあるんだよな。
「アンラ、ひとつ大事な話がある」
「―――?」
「まずこれあげるよ」
「髪飾り? すごく綺麗……」
俺がアンラに渡したもの。
それは髪飾りだ。
実はこの国の髪飾り職人に特注で作ってもらったものだ。
もちろんただ渡すだけじゃない。
「アンラ、この戦いに勝ったら俺と結婚してくれないか?」
「―――!?」
「突然何言ってるのって思ってるかもしれないけど、俺は本気で言ってる。
行き場をなくした俺を導いてくれたのはこの国のおかげ、そしてアンラのおかげだ。
俺はすっごく感謝してるんだ」
「―――」
「今はその髪飾りだけど、戦いが終わったらちゃんとしたものをアンラにプレゼントするからさ」
アンラは急に抱き締めてきた。
そして顔を近づけて唇を重ねてきた。
「もう……そんなのズルすぎるよルーカス。もっとルーカスのこと好きになっちゃったじゃない……」
俺の胸に顔を埋めながら、鼻を啜りながら小声でそう言ったアンラ。
俺は優しく頭を撫でてやった。
「―――いいよ」
「え?」
「わたしはルーカスとずっと一緒にいたい。だからルーカスのお嫁さんになってもいいよ……」
「ほ、本当か?」
「うん、だから絶対この戦いは勝とうね」
「あぁ!」
俺とアンラはもう一度唇を重ねると、アンラはくすくすと笑った。
「さっきわたしによく礼拝堂でそんなこと言えるなって言ってたけど、ルーカスもよく礼拝堂のところでそんな言葉言えたよね」
「うっ―――なんかいつの間にか礼拝堂にいることなんて忘れちゃってて……」
「ルーカスも結構おっちょこちょいなのね」
「ち、違うからな!?」
「あははは………でも、わたしはルーカスと結婚できるなんて凄く嬉しいよ」
そう言うとアンラは燃え盛る火の方を見る。
俺も横を見ると先程の威厳さとは違い、俺とアンラのことを祝福してくれるかのように、温かく見守ってくれているかのように優しい光を発しながら燃えていた。
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