上司に連れられていったオカマバー。唯一の可愛い子がよりにもよって性欲が強い

papporopueeee

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出会い偏

オカマに囲まれてしまいました

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 人の趣味嗜好に口を出す気なんてない。

 広い世の中には異性ではなく同性を好む人だっている。
 そんなことは知っているし、数も割と少なくないらしい。

 そこに文句はない。
 その嗜好自体には嫌悪感も持っていない。
 他人事である限り、他人の好みなんてどうでもよくて関わる気もない。

 しかし、今は違う。
 今は、他人事ではなくなってしまった。

 それが仕事だから、放っておいてくれなんて言わない。
 自分から店に来たのだから、接客してくれている店員に文句なんて言わない。
 しかし、同性を好んでいるのなら。
 せめて、同性に好まれるような意識はできないものだろうか。

「あらー、お兄さん良い体してるわねー」

 太い腕が剥き出しのワンピースを着た益荒男が腕に絡みつく。
 硬い筋肉と、ごわごわとした腕毛の感触は、服の上からでも不快なことこの上ない。

「ど、どうも……」
「アタシは声が好みだわー。もう一晩中耳元で囁いてもらいたい!」

 発達した喉仏を想起させるような声が耳元で爆発する。
 低く野太い声は客よりも男らしい。

「機会があれば……」
「えー、ほんとー? ほんとに約束してくれるなら、サービスしちゃうから!」

 掴まれた腕がずぶずぶと柔らかい感触に沈んでいく。
 隠すどころかアピールするかのように装着された特大胸パッドは、もはやギャグにすらなっていない。

「あ、あはは……」

 愛想笑いも枯れ果ててしまって、乾いた笑いしか出てこない。

 店長が比較的まともだったから油断してしまった。

 結局、この店は想像通りのオカマバーだったというわけだ。
 これなら、ホストにもてなされる方がまだマシだろう。

「おいおい、楽しそうだなあミドリ」

 カウンターで店長と話していた飯田がこちらを見て笑っている。
 部下が濃いオカマたちに翻弄されているのを見るのが楽しいのだろう。

「……恐縮です」
「なんだそりゃ。姉ちゃんたち、そいつ童貞だからさ。少しは優しくしてやってくれな」

 それは飯田なりの気遣いだったのかもしれない。
 あまりにも惨めに疲れ果てているものだから、情け故の言葉だったのかもしれない。

 しかしオカマたちはその言葉を下ネタOKだと受け取ったようだった。

「あらー、お兄さん童貞なの? そんなにかっこいいのに?」
「大丈夫? アタシが童貞もらってあげましょうか?」
「むしろ、アタシの童貞あげましょうか?」
「あんたはとっくのとうに捨ててるでしょうが!」

 豪快な笑い声が店内に響く。

 冗談だとわかっていても、ワードを出されただけで脳内では想像が働いてしまうもので。
 このオカマたちと童貞のやりとりをするだなんて、考えたくもないイメージが頭を過っていく。

「あらー、なあに? お兄さん、縮こまっちゃって?」
「もしかして、酔っちゃった?」
「それは大変。今すぐ裏に連れ込んじゃおうかしら!」
「ちょっと、やだ! 欲望駄々洩れじゃない!」

 女三人寄れば姦しいとは言うが、それはオカマであってもそうらしい。
 日本は精神性を重んじる文化が多いから、きっとそういうことなのだろう。
 ことわざとはかくもよくできているものだ。
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