上司に連れられていったオカマバー。唯一の可愛い子がよりにもよって性欲が強い

papporopueeee

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追及偏

バレました

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 ヨシミが飯田の知り合いであり、
 ツキを雇っている店長であっても、
 ありのままを話すわけにはいかない。

 昨日の記憶は無いけれど、
 朝起きたらラブホテルで、隣にはツキが寝ていました、なんて――。
 状況だけで言えばツキと一夜を共にしたのは確実で、
 キャストと交わった客なんて店からすれば歓迎できないだろう。
 そんなのはトラブルの元に違いない。

 それに、ツキだってあまり広めてほしくはないだろう。
 自分が誰と関係を持ったかなんて知られたくないに決まっている。

 したがって、ここはしらばっくれるしかない。
 酩酊して迷惑をかけてしまったヨシミに嘘を吐くのも気が引けるけれども。
 ここは不義理であろうとも、ツキの為に誤魔化さなければならない。

「……ミドリくん? どうしたの、黙っちゃって」
「いえ、すみません……。昨日のことを思い出そうとしていたのですけれど……やっぱりあまり憶えていなくて……。私、ツキさんと何かあったんでしょうか?」
「それを訊いてるのはこっちなんだけど……」
「そ、そうですよね……すみません。控室でツキさんとお酒を飲んでいたことまでは憶えているのですが……その先は全然思い出せなくて……」
「そうよねえ……。そもそも、あなたたちはどうして裏でお酒を飲んでいたの?」
「それは――」

 確か、ふたりきりで話したいと言ったのはこっちだ。
 今思うと恥ずかしいことを言ってしまっている気がするが、あの時はツキともっと話したくて仕方がなかった。

 そして、酒を持ち出したのはツキだ。
 おそらくは店の売り上げに貢献するため、
 そして自慢のカルーアミルクを披露するために、
 ツキは控室に酒とおつまみを用意した。

 つまりは――

「――私がツキさんと話したいと言ったら、ツキさんがお酒を用意してくれた……という感じでしょうか」
「なるほどねえ……人目の付かない所でふたりきりでお酒を飲みたかったと……」
「うっ……も、申し訳ありません……」
「ああ、ミドリくんを責めているわけじゃないのよ。私も許可を出してるから。でも、裏でお客様を潰れるまで飲ませるのはちょっとねえ……」

 どうやらヨシミはツキに苦言を呈しているようだ。

 もしも客が酒乱だったりしたら、ツキは人目の付かない場所で暴れる客とふたりきりになってしまう。
 店のリスクを管理する立場にあるヨシミからすれば、それは許してはいけないことなのだろう。

「しかし、それは私が飲み過ぎたのが悪いのであって、ツキさんが悪いわけではありません」
「でもツキはカルーアミルクを作りながら、ずっと隣でミドリくんの様子を見ていたわけでしょう? もっと早い段階でストップできたはずなのよ」

 ツキを庇わなければならない。
 心がそんな使命感に駆られている。

 店長であるヨシミ視点では、従業員であるツキの粗が目立つのもわかる。
 それでも、昨日の控室でのことはふたりの合意だったのだ。

 ツキ一人が悪いわけではない。
 ツキが責められているのを見過ごしてはならない。

「それは……もしかしたら、ツキさんが止めてくれたのに、私が無視したのかもしれません……記憶はありませんが」
「ミドリくんが忠告を無視しても、ツキがお酒を用意しなければ飲めないわ。ツキがカルーアミルクを作り続けた以上、あの子の責任は明白よ」
「っ……ツキさんは優しい方なので、私のわがままを止められなかった……のかもしれません……」
「でもツキは自分だけはお酒を飲まないで、酔ったお客様をホテルに連れ込んだのよ。それは姑息なナンパと同じやり口よ?」
「そんな、ホテルに泊まったのはきっとやむにやまれぬ事情があったからで、ナンパとは違いますよ」
「……やっぱり、あの後ふたりでホテルに行っていたのね」
「……あっ」
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