34 / 149
追及偏
同性でした
しおりを挟む
それはありえないことだった。
ツキはあのオカマバーエンジェルにおける唯一の例外であるはずだった。
それなのに、目の前にいるツキの股間には性の象徴が屹立している。
今のツキを見て、その性が不明だなんて言う者はいない。
間違いなく、ツキは川崎翠と同性だった。
「アキラさん……♡」
「っ!?」
ツキが近づいてきて、体を密着させる。
足には確かに硬い感触が当たっていて、見間違いでも幻覚でもないという事実を突きつけられる。
しかし、これはおかしい。
それはありえてはいけないことのはずだ。
何故なら、ツキは男性ではないと確信を持つ証拠があった。
ツキには喉仏が無いはずで、それなのに男性器はあるなんておかしい。
パンドラの箱の底に残った、わずかな希望を探すように。
ツキの首に手を添えてその表面をなぞりあげてみる。
「きゃっ♡ あっ♡ あっ♡ だ、大胆すぎますよ……アキラさん……♡」
「…………やっぱり、な……ん? ……っ!?」
首を撫でる手つきにピクピクと体を震わせるツキ。
その喉の中間あたり、一般的に喉仏があるだろう位置には何もなかった。
しかしそれよりも上、顎との境界の間際に、確かに小さな突起が存在していた。
何度確かめてみても、なだらかな感触の中に突然こりっっとした感触が紛れ込んでいる。
「こっ、これは……?」
「……アキラさん、ご自身の喉仏に手を当ててみてください」
「?」
言われるがままに、自身の喉仏を触ってみる。
ツキの物よりも大きく、硬く、遠目でもその存在がわかる喉仏だ。
「その状態のまま、唾を飲み込んでみてください」
「? ……ごくりっ、!」
唾を飲み込んだその瞬間、喉仏が持ち上がってわずかに引っ込んだ。
今まで意識していなかったが、実感してみるとなんてことはない。
喉仏は動くものであり、動かせる物だ。
ちゃんと確認せずに、一般的な場所に突起がないからといって性を決めつけるのはあまりに早計すぎたのだ。
「えへへっ……可愛い声を出すには、喉仏の位置が大事だったりするんです。ここまで上手になるのに私、結構がんばったんですよ……?」
褒めてもらえると期待しているかのような笑顔で、ツキは得意気にその残酷な事実を告げた。
もうツキの性別は決定的だ。
箱の底には残っていたのは偽りの希望であり、
残っているのはどう足掻いても変えられない過去のできごとだけ。
「さっ、アキラさん……昨日みたいに、私のこと……好きにしてくれていいんですよ……♡」
その言葉が、重く頭の中に響く。
信じたくない。
信じられない。
でも、認めざるを得ない。
川崎翠の童貞は酩酊状態で知らぬ内に失われたばかりか――
――捧げた相手が男であったという事実を。
ツキはあのオカマバーエンジェルにおける唯一の例外であるはずだった。
それなのに、目の前にいるツキの股間には性の象徴が屹立している。
今のツキを見て、その性が不明だなんて言う者はいない。
間違いなく、ツキは川崎翠と同性だった。
「アキラさん……♡」
「っ!?」
ツキが近づいてきて、体を密着させる。
足には確かに硬い感触が当たっていて、見間違いでも幻覚でもないという事実を突きつけられる。
しかし、これはおかしい。
それはありえてはいけないことのはずだ。
何故なら、ツキは男性ではないと確信を持つ証拠があった。
ツキには喉仏が無いはずで、それなのに男性器はあるなんておかしい。
パンドラの箱の底に残った、わずかな希望を探すように。
ツキの首に手を添えてその表面をなぞりあげてみる。
「きゃっ♡ あっ♡ あっ♡ だ、大胆すぎますよ……アキラさん……♡」
「…………やっぱり、な……ん? ……っ!?」
首を撫でる手つきにピクピクと体を震わせるツキ。
その喉の中間あたり、一般的に喉仏があるだろう位置には何もなかった。
しかしそれよりも上、顎との境界の間際に、確かに小さな突起が存在していた。
何度確かめてみても、なだらかな感触の中に突然こりっっとした感触が紛れ込んでいる。
「こっ、これは……?」
「……アキラさん、ご自身の喉仏に手を当ててみてください」
「?」
言われるがままに、自身の喉仏を触ってみる。
ツキの物よりも大きく、硬く、遠目でもその存在がわかる喉仏だ。
「その状態のまま、唾を飲み込んでみてください」
「? ……ごくりっ、!」
唾を飲み込んだその瞬間、喉仏が持ち上がってわずかに引っ込んだ。
今まで意識していなかったが、実感してみるとなんてことはない。
喉仏は動くものであり、動かせる物だ。
ちゃんと確認せずに、一般的な場所に突起がないからといって性を決めつけるのはあまりに早計すぎたのだ。
「えへへっ……可愛い声を出すには、喉仏の位置が大事だったりするんです。ここまで上手になるのに私、結構がんばったんですよ……?」
褒めてもらえると期待しているかのような笑顔で、ツキは得意気にその残酷な事実を告げた。
もうツキの性別は決定的だ。
箱の底には残っていたのは偽りの希望であり、
残っているのはどう足掻いても変えられない過去のできごとだけ。
「さっ、アキラさん……昨日みたいに、私のこと……好きにしてくれていいんですよ……♡」
その言葉が、重く頭の中に響く。
信じたくない。
信じられない。
でも、認めざるを得ない。
川崎翠の童貞は酩酊状態で知らぬ内に失われたばかりか――
――捧げた相手が男であったという事実を。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる