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追及偏
押し倒しました?
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「アキラさん……?」
ツキの困惑した声が頭の中に響く。
せがむようにバスローブを握って。
下では硬くなったモノでせっついて。
事の直前に至って固まってしまった男を不思議そうに眺めている。
「つっ、ツキさん……」
「はい……?」
「あの……ちょっと……時間をもらえませんか?」
それはあまりにもヘタレな発言だと、自分でも理解している。
合意してホテルまで来て、
お互いにシャワーも済ませて、
後は事に至るだけという段階で待ったをかけるなんて情けないにも程がある。
しかし、今は状況が特殊すぎた。
女性だと思っていた相手は実は同性だったなんて、想定外すぎる。
女性とのやり方すら初心者なのに、同性とのやり方なんて知識すらほぼゼロだ。
精神的にも、知識的にも。
このまま勢いでベッドインなんてできるはずもない。
「時間……ですか……?」
「はっ、はい。少し、落ち着くだけの猶予が欲しいと言いますか……」
「……でも、アキラさんもこんなになってしまってるのに、落ち着けるんですか……♡」
「うっ」
硬くなったツキの先端が、まだ萎えていない竿をつんつんとつつく。
そうだ。
それも問題なのだ。
ツキを男だと認めてなお、まだ体が興奮してしまっている。
多少は硬さを失ったものの、まだまだ元気な状態を保ってしまっている。
男色の趣味なんて持ち合わせていない。
今まで同性に性欲を刺激されたことなど一度もない。
同性との性交なんて想像するだけで萎えてしまう。
それなのに。
一度女性だと認識してしまっていたせいなのか。
ツキが相手だとどうしても萎えてくれない。
むしろ、一度ショックで萎えかけたはずなのに、
ツキの先端でつつかれる度に元気を取り戻していっているような気さえしている。
「……えーいっ♪」
「っ!?」
突然ツキが体を回転させたかと思うと、そのままベッドに引き込まれた。
ベッドに背中からダイブしたツキ。
それに覆いかぶさるように倒れこんで、
あわや押し潰しそうになったギリギリでベッドに手を付いてなんとか体を支える。
「あっ、危ないですよ、ツキさん」
「……♡」
叱ったというのにそんなのはどこ吹く風という様子で、ツキは熱っぽく見つめてきた。
期待で瞳を潤ませて。
熱で頬を赤らめて。
柔らかい唇が誘い込むような形に歪んで――
「つっ、ツキさん?」
「……んーっ♡」
「っ……そっ、それは……」
ツキは目を瞑った。
あまりにも近すぎる距離。
力を抜けばそれだけでツキへ落ちてしまう体勢。
自分が何をすべきなのか。
ツキが何を望んでいるのか。
考えるまでもなく、それは明白すぎて。
それでも、心はまだ走り出せるだけの勇気が出ない。
そのまま体が固まってしまって。
押すことも引くこともできなくなって。
やがてそんな状況に焦れたのか、ツキの手が体に絡みついてきた。
「っ!?」
「……♡」
ツキは目を瞑ったまま、体に回した腕に力を籠め始める。
均衡していた力はツキのか弱い力で容易く傾いて、体がツキへと落ち始める。
このままではツキとキスをしてしまう。
そしたら、きっと始まってしまう。
酩酊の言い訳もできない状況で、同性と唇と体を重ねてしまう。
ツキが嫌いなわけじゃない。
それでもまだ心の準備ができていない。
だからってツキを拒絶することもできない。
でもこのまま流されたくもない。
とにかくなんとかしないとならない状況で頭に浮かんだのは、たった一言の言葉だった。
「っ……っ、よ、ヨシミさんに、全部聞きました」
唇が触れるその間際。
吐息が互いの唇を撫でるその距離で。
突然、ツキの瞼がバチンと開いた。
ツキの困惑した声が頭の中に響く。
せがむようにバスローブを握って。
下では硬くなったモノでせっついて。
事の直前に至って固まってしまった男を不思議そうに眺めている。
「つっ、ツキさん……」
「はい……?」
「あの……ちょっと……時間をもらえませんか?」
それはあまりにもヘタレな発言だと、自分でも理解している。
合意してホテルまで来て、
お互いにシャワーも済ませて、
後は事に至るだけという段階で待ったをかけるなんて情けないにも程がある。
しかし、今は状況が特殊すぎた。
女性だと思っていた相手は実は同性だったなんて、想定外すぎる。
女性とのやり方すら初心者なのに、同性とのやり方なんて知識すらほぼゼロだ。
精神的にも、知識的にも。
このまま勢いでベッドインなんてできるはずもない。
「時間……ですか……?」
「はっ、はい。少し、落ち着くだけの猶予が欲しいと言いますか……」
「……でも、アキラさんもこんなになってしまってるのに、落ち着けるんですか……♡」
「うっ」
硬くなったツキの先端が、まだ萎えていない竿をつんつんとつつく。
そうだ。
それも問題なのだ。
ツキを男だと認めてなお、まだ体が興奮してしまっている。
多少は硬さを失ったものの、まだまだ元気な状態を保ってしまっている。
男色の趣味なんて持ち合わせていない。
今まで同性に性欲を刺激されたことなど一度もない。
同性との性交なんて想像するだけで萎えてしまう。
それなのに。
一度女性だと認識してしまっていたせいなのか。
ツキが相手だとどうしても萎えてくれない。
むしろ、一度ショックで萎えかけたはずなのに、
ツキの先端でつつかれる度に元気を取り戻していっているような気さえしている。
「……えーいっ♪」
「っ!?」
突然ツキが体を回転させたかと思うと、そのままベッドに引き込まれた。
ベッドに背中からダイブしたツキ。
それに覆いかぶさるように倒れこんで、
あわや押し潰しそうになったギリギリでベッドに手を付いてなんとか体を支える。
「あっ、危ないですよ、ツキさん」
「……♡」
叱ったというのにそんなのはどこ吹く風という様子で、ツキは熱っぽく見つめてきた。
期待で瞳を潤ませて。
熱で頬を赤らめて。
柔らかい唇が誘い込むような形に歪んで――
「つっ、ツキさん?」
「……んーっ♡」
「っ……そっ、それは……」
ツキは目を瞑った。
あまりにも近すぎる距離。
力を抜けばそれだけでツキへ落ちてしまう体勢。
自分が何をすべきなのか。
ツキが何を望んでいるのか。
考えるまでもなく、それは明白すぎて。
それでも、心はまだ走り出せるだけの勇気が出ない。
そのまま体が固まってしまって。
押すことも引くこともできなくなって。
やがてそんな状況に焦れたのか、ツキの手が体に絡みついてきた。
「っ!?」
「……♡」
ツキは目を瞑ったまま、体に回した腕に力を籠め始める。
均衡していた力はツキのか弱い力で容易く傾いて、体がツキへと落ち始める。
このままではツキとキスをしてしまう。
そしたら、きっと始まってしまう。
酩酊の言い訳もできない状況で、同性と唇と体を重ねてしまう。
ツキが嫌いなわけじゃない。
それでもまだ心の準備ができていない。
だからってツキを拒絶することもできない。
でもこのまま流されたくもない。
とにかくなんとかしないとならない状況で頭に浮かんだのは、たった一言の言葉だった。
「っ……っ、よ、ヨシミさんに、全部聞きました」
唇が触れるその間際。
吐息が互いの唇を撫でるその距離で。
突然、ツキの瞼がバチンと開いた。
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