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親睦偏
買い物に来ました
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「着きましたよ、アキラさん♪」
「ここ目指してるんだろうなーとは思ってたけど、やっぱりそうだったか……」
ツキに連れて来られてやってきたのは、大規模な商業施設だった。
多くの店舗があり、
吹き抜けの中庭があり、
アミューズメント施設やホテルまで併設されている割と名の知られた場所だ。
「やっぱり、デートと言えばショッピングは外せないですよね♪」
「……そうか?」
「何言ってるんですかアキラさん。定番中のド定番じゃないですか」
確かに男女で仲睦まじく買い物をしている光景はよく見るかもしれない。
しかし、男性目線ではただただ楽しい時間というわけでもないのではないか。
女性に長い時間待たされて、奢らされて、そして荷物を持たされる。
翠自身はそんな経験したことないけれど。
そもそもこれが初デートだし、なんなら女性とのデートは未だに経験していないけれども。
それでも、ショッピング=女性が楽しむ物という式は知っている。
童貞だって、ドラマや漫画から恋愛事の知識を取り入れているのだ。
「それで? ツキは何が買いたいんだ?」
「んー……やっぱりまずは家具ですかねー?」
「家具? なんで?」
「だって、アキラさんの部屋に私用の枕を用意しないといけないじゃないですか」
「……なんで?」
「? アキラさん、もしかして私に腕枕してくれるつもりですか? 申し出はありがたいんですけど、さすがに一晩中は辛いですよ。それに私、結構枕にはこだわるタイプでして……アキラさんとの初夜の日に試してみたんですけど、ちょっとアキラさんの腕枕は私には合わなかったので……ごめんなさい」
「………………そうか」
なんで翠の部屋にツキの枕を置かないといけないのか。
ツキに腕枕を提供するなんて一言も言っていないのだが。
勝手に腕を使われた上に勝手にフラれたのだが。
そもそもツキとは付き合ってもいないのだから初夜というのはおかしくはないか。
ツッコミどころが多すぎたので、逆に全てを呑み込まざるを得なかった。
「でも家具は荷物になるし、買うにしても後の方が良くないか?」
「アキラさんの家に直接郵送すれば良くないですか?」
「どこまで図々しいんだ……」
「……」
「服、見たいのか?」
「え?」
「違うのか?」
「……違うくないですけど」
家具売り場へ向かっている最中。
服屋をチラチラと見ていたので問いかけてみたのだが、
ツキの返答は歯切れが悪かった。
「見たいなら別に寄っていってもいいぞ。そもそも、家具を見たいのだってツキなんだし」
「……でも、私が見るのってレディースですよ? いいんですか?」
こちらを見るツキの瞳は、珍しく不安そうに揺れていた。
ツキは自身の行動によって翠にまで変に注目が集まることを気にしているのだろう。
だから今日は中性的な格好をしているし、
今も男性二人でレディースの服を物色する事を躊躇っている。
「いいよ。ほら、行こう」
ツキの見た目は中性的な格好といえどもほぼ女性だ。
外見だけで性別を看破できる人間はそういまい。
それに、別にバレたっていい。
そう思っている自分が居るのも事実だ。
「……はーい♪」
「ここ目指してるんだろうなーとは思ってたけど、やっぱりそうだったか……」
ツキに連れて来られてやってきたのは、大規模な商業施設だった。
多くの店舗があり、
吹き抜けの中庭があり、
アミューズメント施設やホテルまで併設されている割と名の知られた場所だ。
「やっぱり、デートと言えばショッピングは外せないですよね♪」
「……そうか?」
「何言ってるんですかアキラさん。定番中のド定番じゃないですか」
確かに男女で仲睦まじく買い物をしている光景はよく見るかもしれない。
しかし、男性目線ではただただ楽しい時間というわけでもないのではないか。
女性に長い時間待たされて、奢らされて、そして荷物を持たされる。
翠自身はそんな経験したことないけれど。
そもそもこれが初デートだし、なんなら女性とのデートは未だに経験していないけれども。
それでも、ショッピング=女性が楽しむ物という式は知っている。
童貞だって、ドラマや漫画から恋愛事の知識を取り入れているのだ。
「それで? ツキは何が買いたいんだ?」
「んー……やっぱりまずは家具ですかねー?」
「家具? なんで?」
「だって、アキラさんの部屋に私用の枕を用意しないといけないじゃないですか」
「……なんで?」
「? アキラさん、もしかして私に腕枕してくれるつもりですか? 申し出はありがたいんですけど、さすがに一晩中は辛いですよ。それに私、結構枕にはこだわるタイプでして……アキラさんとの初夜の日に試してみたんですけど、ちょっとアキラさんの腕枕は私には合わなかったので……ごめんなさい」
「………………そうか」
なんで翠の部屋にツキの枕を置かないといけないのか。
ツキに腕枕を提供するなんて一言も言っていないのだが。
勝手に腕を使われた上に勝手にフラれたのだが。
そもそもツキとは付き合ってもいないのだから初夜というのはおかしくはないか。
ツッコミどころが多すぎたので、逆に全てを呑み込まざるを得なかった。
「でも家具は荷物になるし、買うにしても後の方が良くないか?」
「アキラさんの家に直接郵送すれば良くないですか?」
「どこまで図々しいんだ……」
「……」
「服、見たいのか?」
「え?」
「違うのか?」
「……違うくないですけど」
家具売り場へ向かっている最中。
服屋をチラチラと見ていたので問いかけてみたのだが、
ツキの返答は歯切れが悪かった。
「見たいなら別に寄っていってもいいぞ。そもそも、家具を見たいのだってツキなんだし」
「……でも、私が見るのってレディースですよ? いいんですか?」
こちらを見るツキの瞳は、珍しく不安そうに揺れていた。
ツキは自身の行動によって翠にまで変に注目が集まることを気にしているのだろう。
だから今日は中性的な格好をしているし、
今も男性二人でレディースの服を物色する事を躊躇っている。
「いいよ。ほら、行こう」
ツキの見た目は中性的な格好といえどもほぼ女性だ。
外見だけで性別を看破できる人間はそういまい。
それに、別にバレたっていい。
そう思っている自分が居るのも事実だ。
「……はーい♪」
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