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親睦偏
焦らされました
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「…………」
「……?」
「…………」
「ツキ……?」
何だろうか。
そこまで変な質問をした気は無いのだけれども。
本業を訊いた途端に、ツキは隣で黙りこくってしまった。
「…………」
「もしかして、聞かれたくないことだったか?」
いつもは聞いてもいない性癖まで開けっ広げなツキだけれども、仕事については何か思うところがあるのだろうか。
意外なような、そうでもないような。
「んー…………」
唸るツキ。
何かを悩んでいるらしい。
「言いたくないんだったら、別に無理に教えてくれなくてもいいんだけど」
「そういうわけじゃないんですよねー……。私的には隠したいことでもないので、教えてもいいんですけど……」
「けど?」
「アキラさん的には、どっちの方がいいのかなーって……」
「? そりゃ、俺は知りたくて聞いてるんだから、話してくれる方が嬉しいけど?」
「そうじゃなくて……本当のことを教えるか、それともアキラさんが好みそうな嘘を吐くか、どっちの方が好感度上がるかなって……」
「なんだそれ……ってか、なんで嘘が選択肢に入ってるんだよ……」
「だってー、本当のこと言うともしかしたら嫌われちゃう可能性もあるかもなんですもん」
口振りからすると、ツキの職業は普遍的ではないようだ。
そんなところも、どこかツキらしくはある。
「……嘘吐こうとしてたって白状する時点で、本当は嘘吐きたくないんだろ?」
「そうですね。ハメる為なら嘘も辞さないですけど、騙す為にはあんまり吐きたくないのが本音です」
「何が違うんだよ、それ……」
そこに何の違いがあるのかはわからないけれど。
ツキにはツキなりにルールがあるようだった。
「俺は職業に差別意識とかないから。ツキがどんな職業でも気にしないよ」
「本当ですか?」
「本当だって」
「……ほんとのほんと?」
ツキが潤んだ瞳でこちらを見上げてくる。
その小さく開いた口から、ツキが不安がっているのが見て取れた。
「ほんとだよ」
「んっ……」
つい、ツキの頭に手を置いてしまった。
ツキ相手にこういうことはしたくないのだけれど。
全部、ツキがあまりに甘え上手なせいだ。
「えへへっ……わかりました! アキラさんがそこまで言ってくださるのなら、私も腹をくくることにします!」
そう言ってツキは隣から立つと元の席、翠の正面に座り直した。
なんだか、こちらまで身構えてしまうような雰囲気だ。
「ふーっ…………」
一呼吸おいて、
グラスの中身を一口飲んで、
一直線にこちらを見つめて――
――そして、ツキは話し始めた。
「ツキちゃんの職業は……」
「職業は……?」
「なんと……!」
「まさか……!」
「……!」
「っ……!」
「あっ、せっかくだからクイズ形式にしますか♪」
「……」
こいつ、本当はただ俺をからかいたいだけなんじゃないのか?
「……?」
「…………」
「ツキ……?」
何だろうか。
そこまで変な質問をした気は無いのだけれども。
本業を訊いた途端に、ツキは隣で黙りこくってしまった。
「…………」
「もしかして、聞かれたくないことだったか?」
いつもは聞いてもいない性癖まで開けっ広げなツキだけれども、仕事については何か思うところがあるのだろうか。
意外なような、そうでもないような。
「んー…………」
唸るツキ。
何かを悩んでいるらしい。
「言いたくないんだったら、別に無理に教えてくれなくてもいいんだけど」
「そういうわけじゃないんですよねー……。私的には隠したいことでもないので、教えてもいいんですけど……」
「けど?」
「アキラさん的には、どっちの方がいいのかなーって……」
「? そりゃ、俺は知りたくて聞いてるんだから、話してくれる方が嬉しいけど?」
「そうじゃなくて……本当のことを教えるか、それともアキラさんが好みそうな嘘を吐くか、どっちの方が好感度上がるかなって……」
「なんだそれ……ってか、なんで嘘が選択肢に入ってるんだよ……」
「だってー、本当のこと言うともしかしたら嫌われちゃう可能性もあるかもなんですもん」
口振りからすると、ツキの職業は普遍的ではないようだ。
そんなところも、どこかツキらしくはある。
「……嘘吐こうとしてたって白状する時点で、本当は嘘吐きたくないんだろ?」
「そうですね。ハメる為なら嘘も辞さないですけど、騙す為にはあんまり吐きたくないのが本音です」
「何が違うんだよ、それ……」
そこに何の違いがあるのかはわからないけれど。
ツキにはツキなりにルールがあるようだった。
「俺は職業に差別意識とかないから。ツキがどんな職業でも気にしないよ」
「本当ですか?」
「本当だって」
「……ほんとのほんと?」
ツキが潤んだ瞳でこちらを見上げてくる。
その小さく開いた口から、ツキが不安がっているのが見て取れた。
「ほんとだよ」
「んっ……」
つい、ツキの頭に手を置いてしまった。
ツキ相手にこういうことはしたくないのだけれど。
全部、ツキがあまりに甘え上手なせいだ。
「えへへっ……わかりました! アキラさんがそこまで言ってくださるのなら、私も腹をくくることにします!」
そう言ってツキは隣から立つと元の席、翠の正面に座り直した。
なんだか、こちらまで身構えてしまうような雰囲気だ。
「ふーっ…………」
一呼吸おいて、
グラスの中身を一口飲んで、
一直線にこちらを見つめて――
――そして、ツキは話し始めた。
「ツキちゃんの職業は……」
「職業は……?」
「なんと……!」
「まさか……!」
「……!」
「っ……!」
「あっ、せっかくだからクイズ形式にしますか♪」
「……」
こいつ、本当はただ俺をからかいたいだけなんじゃないのか?
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