死の間際、あなたは親友ですか?

papporopueeee

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一日目:いつものふたりで、いつもどおりに

歩く男と女

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「あぶねっ!」
「うおおぉぉっ!?」

 不意に後ろから襟を地面に向かって引っ張られた。
 あと数瞬ボクの反応が遅ければ、後頭部はコンクリートに叩きつけられていたことだろう。

「ふう……危ない危ない。やっぱりタクの服を掴んどいて正解だったな。そうでなければこの美しい体に擦り傷を作ってしまっていただろう」
「いきなり服を引っ張られるボクには着々とダメージが入ってるんだけど……。ショウ、裾踏んづけて躓くの何度目?」
「慣れ親しんだ体じゃないからどうにも調子が悪くてな。特に歩幅と胸が……」

 あれほどの大きさの物が体にくっついていれば、それは歩きづらいだろう。
 特に、男性から急に女性になったショウにとっては、体の大きさも相まってかなりバランスが取りづらそうだ。
 美少女になりたいと言ったのはショウなのだから自業自得ではあるのだが。

「靴もブカブカで歩きにくいったらないぜ。なあタク、疲れたからおぶってくれないか?」
「そんなことするわけないだろ」
「いいじゃんかー。俺は楽ができるし、お前も悪い気分じゃないしでwin-winだろー?」
「恥ずかしいだろうが! 人目があるんだぞ!」

 抄とふたりで歩いているのはデパートの中だ。
 男が女をおぶさっていれば、視線を集めるのは想像に難くない。
 そもそも、美少女がサイズの合っていない厚手のコートを着ている時点でちらちらと見られているのだ。
 これ以上は勘弁願いたい。

「他人がなんだ。お前は恥ずかしいからって困っている親友を見放すのか?」
「そんなこと言える時点で困ってないだろ、お前……。ほら、バカなこと言ってないで服屋に着いたぞ」

 着いたのはデパート内にテナントとして店を出している服屋。
 男性物から女性物、靴、帽子、鞄まで手広く扱っているファミリー向けの店だ。

「おお、やっとこのちんちんくりんな格好からもおさらばできるな」
「じゃあボクは外で待ってるからな」
「え、なんで?」
「なんでって……」

 そんなこと決まっている。
 女性と一緒に女性物の服を物色するのが気恥ずかしいからだ。
 しかしそれをショウに言うのも憚られる。
 どうせまた童貞がどうだとバカにされるに決まっている。

「いいから、早く行こうぜ童貞くん」

 言ってないのにバカにされた。

 抄はボクの服を掴んだまま服屋に入り、ずんずんと奥に進んでいく。
 その足は転びかけながらもどんどんと速度を増して行き、女性服売り場を通り過ぎていった。

「お、おい、レディースコーナーを通り過ぎたぞ?」
「服よりもまずはこっちだ!」

 それはレディースコーナーのさらに奥。
 およそ男性はあまり立ち入らなそうな一角。
 一面に淡い色合いの下着が展示されたランジェリーコーナーだった。
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