死の間際、あなたは親友ですか?

papporopueeee

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一日目:いつものふたりで、いつもどおりに

命を狙う者

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 この世に理由のないことなんかない。
 ドラマで出てきたセリフらしいが、真理の一端だと言われても納得できる言葉だ。

 全ての事象には理由が、原因が、因果がある。
 これを証明することはできないけれど、否定することもまた難しい。
 少なくともボクにはできない。

 だから抄の言っていることも正しいのだと思う。
 ボクは思考すべきだ。
 死ね神という存在について。
 ボクの目の前に現れた理由について。

「……いや、考えたってわかんないよ」

 理由が存在したとしても、それを知ることができるかは別の話だ。
 オカルトな存在に遺言を求められる理由なんて思いつかない。
 怪しげな儀式に参加したことも、心霊スポットに足を踏み入れた覚えも、過去に死ね神のような存在と邂逅した記憶もないのだから。

「ふーむ……てことは、死ね神にはタクを殺す理由がないってことか?」
「少なくともボクには思い当たる節がない。まあ、殺される側なんて大抵はそうなんだろうけど……」
「……死ね神に理由が無いのなら、他に理由を持つ誰かがいるってことか?」
「誰かって誰だよ」
「タクに恨みを持ってるやつ?」
「そんな人間いるか?」
「死ね神よりかはよっぽど現実的だと思うけどな。タクを恨んでいる人間が、黒魔術的なものを使って死ね神を呼び出して、タクの殺害を依頼した。これなら、死ね神自体にタクを殺す理由がないのにも納得できる」
「それはそうだけど……」

 死ね神に殺される理由に心当たりはないが、人に狙われる理由だって思い当たらない。
 今までの人生で犯罪に手を出したことはないし、爛れた関係を持ったこともない。
 そもそも抄以外でクラスメート以上の付き合いをした人間はいないので、誰かがボクを狙っているとしたら第一候補は今目の前にいる人間になる。

「どうだタク。お前のことを恨んでる人間はいそうか?」
「……なあショウ。実はボクのこと恨んでるとかないか? もしそうなら、今のボクには全力で謝る準備があるんだけど」
「は? どうした急に」
「ボクに恨みを抱く可能性がある人間なんてショウ以外に思い付かないんだ。他にそんな深い付き合いのある人間なんていないし、数回一緒に遊んだだけで殺されるほどの恨みを買うなんて考えられないだろ?」
「ってことは死ね神の召喚者がいる可能性は低そうだな」
「……ショウが召喚したんじゃなければな」
「おいおい、親友を疑うのか?」
「疑うというか……ただ、可能性はゼロじゃないってだけで……」
「ふーん……」
「……」
「……ブラウスってさ、露出度が低いと思われてるだろうけど、実はそうじゃないんだ。なぜなら、こうやってボタンを一つ外すだけでこの通り。隙間から胸が露出するんだからな。なあほら、どうだ? ちゃんと目逸らさないで見ろって。そして実感しろよ。フォーマルと思われている服装の隠れたエロスをよ?」
「わかったから! ボクが悪かったからしまえって!」
「ふっ、これに懲りたら親友を疑うような真似はよすんだな」

 ボクの動揺に満足したのか、クレープに齧り付きながらショウは片手で胸元のボタンを留め始めた。

「……ん? あれ?」

 しかしボタンを指でつまむものの、一向に留まる気配がない。
 片手なことに加え、内側から生地を押し上げる胸が邪魔しているようだ。

「……タク、ボタン留めてくれないか?」
「なんでボクがそんなことしなきゃいけないんだよ!」
「タクがやってくれないと、露出しっぱなしになるだろ! 恥ずかしいから早くしてくれ!」
「ショウが脱ぎだしたんじゃないか! ほら、クレープ持っててやるから」
「あっ! 勝手に食う気か!?」
「バカなこと言ってないで、早く留めちゃえよ!」

 その後ボクを監視するように睨みつけながら、抄はようやく胸のボタンを留めたのだった。
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