死の間際、あなたは親友ですか?

papporopueeee

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最終日:朝焼けの中、涙を拭って微笑んで

屋上にて、独り

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 屋上の扉を開けると、まだ暗い都会の景色が視界に映った。

 寝ている間に雨が降ったようだ。
 屋上には小さな水溜りがいくつか出来ていて、夕方にはあった血溜まりも洗い流されている。

 湿り気を帯びた空気は少し不快だが、冷えた秋風と組み合わさると心地がいい。
 ただ、少し肌寒いのが難点だ。

「……はぁ」

 溜息を一つ漏らして。
 出入り口の壁に背中を預けて座り込む。

 水が生地を浸食して、ズボンが肌に張り付く感覚。
 あまり心地よくはないが、開き直ってしまえば不快感もそれほどでもない。

 生きるか死ぬかの瀬戸際で、ズボンが濡れたからなんだというのか。
 染み入る水の冷たさを感じながら、もう一度大きく息を吐き出す。

 深呼吸をすると、体のそこから冷えていくようだ。
 体内の換気をするように、微かに血の匂いが混じる空気を身体中に循環させていく。

 この数日で、ボクは随分と血の匂いに慣れてしまった。

「でも、ボクが嗅いだのは全部ショウの血か……」

 初日に二回首を落とされ、転生後にこの屋上でも一度首を落とされている。
 全て、ボクの目の前でだ。

 何かできたとは思えない。
 仮にそうなることを事前に知っていたとしても。
 ボクは抄が殺されるのを止めることは決してできなかったと思う。

 だって、相手はあの死ね神だ。
 ボクが抵抗したって、敵うわけがない……。

「……嘘だ」

 我ながらなんて幼稚な自己弁護。
 抄が殺されない未来はあった。
 その選択をボクが取ることも出来た。
 少なくとも最初に遺言を聞かれた時に素直に答えていれば、抄が殺されることはなかった。
 抄が転生なんてすることはなかったんだ。

 だからボクが生きているのは抄を身代わりにしたからで。
 この数日は抄が命を張って稼いだ時間とも言える。
 その時間も、もうすぐ尽きようとしているのだけれど。

「……ショウ」

 無駄にはしたくない。
 望んだわけではないけれど、結果としてボクは抄を犠牲にして生き延びてしまっている。
 だから、ここで容易く死にたくはない。
 抄の死がたった三日の人生と等価だなんて結論にはしたくない。
 その為に、考えなければならない。

「……やっぱ睡眠って大事なんだな」

 死ね神に対する絶望は変わっていない。
 何をしたところで、今日の死を逃れることなんてできそうにない。

 それでも。
 頭は抵抗を求めている。
 心は足掻こうとしている。

 死にたくない。
 それは最初の日からずっと変わっていないこと。
 己を見つめ返し、理由を見つけられなくても変わらなかった思い。

 きっとこれだけは本物だから。
 この思いを糧に、最後の作戦会議を始めよう。
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