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ゴブリン殲滅編
とびきりの祝福と兵士長の告白
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「す、すみません!! お休み中でしたか!?」
「あっ……いっ、いえ……あっ、いや、はい……その、少し微睡んでしまっていただけです……」
黒幕の隙間から覗いている手。
遠目でもボクよりもずっと大きいことがわかるごつごつとした手は兵士長のものだ。
たぶん、ボクが出てこないので心配して声をかけにきたのだろう。
「そうでしたか。ご休憩のお邪魔をしてしまい申し訳ありません」
「だっ、大丈夫です。眠るつもりはなかったので、むしろ助かりました。今出ますね?」
どうやら、ナニに耽っていたことまでは知られていないようだ。
ボクは手に持ったタオルを使用済みのかごに放って、黒幕の外の兵士長と合流して教会へと向かった。
『マニの町にとびきりの貢献をした者には聖女からとびきりの祝福を』
これは教典にもある重要な教義であり、信徒たちの日々のモチベーションでもある。
しかしこのとびきりの祝福というのが、聖女にとっては少々厄介でもある。
「で、では、ヨリッグ様は告白室へどうぞ。聖女がその内に宿す信仰の形を聞き遂げますので」
「ありがとうございます!」
マニ教の教会。
その中にある告白室の信徒側入り口に兵士長が入っていく。
そして扉が閉まるのを見届けてから、ボクは教会の奥からしか入れない聖女側入り口へと向かった。
どうせ同じ部屋なのに面倒だと思わなくもないけれども、中で行うことを考えるとこの方がありがたいとも思う。
「ふぅ……」
教会の中を歩いていると、自然とため息が漏れた。
たぶん疲れと、不安と、ほんのちょっぴりの欲求不満のせい。
結局、ボク自身の興奮を発散させることができないままにここまで来てしまった。
こんな状態で兵士長への祝福を行うのは不安だけれども、このまま待たせ続けるわけにもいかない。
ボクは漏らしたため息をリセットするように一度深呼吸をしてから、聖女側入り口から告白室へと入室した。
「っ……」
其処は兵士長の喉の音すらも聞こえるような狭く静かで暗い部屋。
中心には部屋を真っ二つに仕切る壁があり、大人の手首程度の大きさの穴が開いているだけ。
穴を覗けば誰かが居ることはわかるが、暗いのもあってそれが誰かまでは判別できない。
実質的には2つの小部屋が小さな穴を共有しているだけ。
壁にかけられた遮音のお呪いはこの部屋の一切を外に漏らさず、聖女だけが信徒の告白を聞き遂げる。
「…………」
椅子に座って、ボクは待った。
兵士長からの告白を。
その身に渦巻いているボクへの信仰と、その欲望を。
「っ……こ、此処に、私は告白致します」
「……」
此処は信徒が聖女への信仰を吐き出す場所。
聖女に抱いている願望を告白し、その信仰心をより高めるための場所。
聖女は信徒の告白を聞き遂げ、その欲望を赦さなければならない……というのが教典に書かれている建前だ。
「……」
此処は告白室。
マニの町にとびきりの貢献をした者の欲望を聞き――
――それをとびきりの祝福として聖女が叶えるための場所。
ボクはこれから兵士長が語る欲望を、祝福として返さなければならない。
「っ……どっ、どどっ……どうかっ……私のことを弟として、ちょっ、ちょっとだけえっちに甘やかしてください!!」
「……」
…………そっちが下なんだ……。
「あっ……いっ、いえ……あっ、いや、はい……その、少し微睡んでしまっていただけです……」
黒幕の隙間から覗いている手。
遠目でもボクよりもずっと大きいことがわかるごつごつとした手は兵士長のものだ。
たぶん、ボクが出てこないので心配して声をかけにきたのだろう。
「そうでしたか。ご休憩のお邪魔をしてしまい申し訳ありません」
「だっ、大丈夫です。眠るつもりはなかったので、むしろ助かりました。今出ますね?」
どうやら、ナニに耽っていたことまでは知られていないようだ。
ボクは手に持ったタオルを使用済みのかごに放って、黒幕の外の兵士長と合流して教会へと向かった。
『マニの町にとびきりの貢献をした者には聖女からとびきりの祝福を』
これは教典にもある重要な教義であり、信徒たちの日々のモチベーションでもある。
しかしこのとびきりの祝福というのが、聖女にとっては少々厄介でもある。
「で、では、ヨリッグ様は告白室へどうぞ。聖女がその内に宿す信仰の形を聞き遂げますので」
「ありがとうございます!」
マニ教の教会。
その中にある告白室の信徒側入り口に兵士長が入っていく。
そして扉が閉まるのを見届けてから、ボクは教会の奥からしか入れない聖女側入り口へと向かった。
どうせ同じ部屋なのに面倒だと思わなくもないけれども、中で行うことを考えるとこの方がありがたいとも思う。
「ふぅ……」
教会の中を歩いていると、自然とため息が漏れた。
たぶん疲れと、不安と、ほんのちょっぴりの欲求不満のせい。
結局、ボク自身の興奮を発散させることができないままにここまで来てしまった。
こんな状態で兵士長への祝福を行うのは不安だけれども、このまま待たせ続けるわけにもいかない。
ボクは漏らしたため息をリセットするように一度深呼吸をしてから、聖女側入り口から告白室へと入室した。
「っ……」
其処は兵士長の喉の音すらも聞こえるような狭く静かで暗い部屋。
中心には部屋を真っ二つに仕切る壁があり、大人の手首程度の大きさの穴が開いているだけ。
穴を覗けば誰かが居ることはわかるが、暗いのもあってそれが誰かまでは判別できない。
実質的には2つの小部屋が小さな穴を共有しているだけ。
壁にかけられた遮音のお呪いはこの部屋の一切を外に漏らさず、聖女だけが信徒の告白を聞き遂げる。
「…………」
椅子に座って、ボクは待った。
兵士長からの告白を。
その身に渦巻いているボクへの信仰と、その欲望を。
「っ……こ、此処に、私は告白致します」
「……」
此処は信徒が聖女への信仰を吐き出す場所。
聖女に抱いている願望を告白し、その信仰心をより高めるための場所。
聖女は信徒の告白を聞き遂げ、その欲望を赦さなければならない……というのが教典に書かれている建前だ。
「……」
此処は告白室。
マニの町にとびきりの貢献をした者の欲望を聞き――
――それをとびきりの祝福として聖女が叶えるための場所。
ボクはこれから兵士長が語る欲望を、祝福として返さなければならない。
「っ……どっ、どどっ……どうかっ……私のことを弟として、ちょっ、ちょっとだけえっちに甘やかしてください!!」
「……」
…………そっちが下なんだ……。
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