弟は勇者様で、兄はみんなから愛されている聖女様

papporopueeee

文字の大きさ
22 / 26
ゴブリン殲滅編

とびきりの祝福と兵士長の告白

しおりを挟む
「す、すみません!! お休み中でしたか!?」
「あっ……いっ、いえ……あっ、いや、はい……その、少し微睡んでしまっていただけです……」

 黒幕の隙間から覗いている手。
 遠目でもボクよりもずっと大きいことがわかるごつごつとした手は兵士長のものだ。

 たぶん、ボクが出てこないので心配して声をかけにきたのだろう。

「そうでしたか。ご休憩のお邪魔をしてしまい申し訳ありません」
「だっ、大丈夫です。眠るつもりはなかったので、むしろ助かりました。今出ますね?」

 どうやら、ナニに耽っていたことまでは知られていないようだ。
 ボクは手に持ったタオルを使用済みのかごに放って、黒幕の外の兵士長と合流して教会へと向かった。



『マニの町にとびきりの貢献をした者には聖女からとびきりの祝福を』

 これは教典にもある重要な教義であり、信徒たちの日々のモチベーションでもある。
 しかしこのとびきりの祝福というのが、聖女にとっては少々厄介でもある。

「で、では、ヨリッグ様は告白室へどうぞ。聖女がその内に宿す信仰の形を聞き遂げますので」
「ありがとうございます!」

 マニ教の教会。
 その中にある告白室の信徒側入り口に兵士長が入っていく。

 そして扉が閉まるのを見届けてから、ボクは教会の奥からしか入れない聖女側入り口へと向かった。
 どうせ同じ部屋なのに面倒だと思わなくもないけれども、中で行うことを考えるとこの方がありがたいとも思う。

「ふぅ……」

 教会の中を歩いていると、自然とため息が漏れた。
 たぶん疲れと、不安と、ほんのちょっぴりの欲求不満のせい。

 結局、ボク自身の興奮を発散させることができないままにここまで来てしまった。
 こんな状態で兵士長への祝福を行うのは不安だけれども、このまま待たせ続けるわけにもいかない。

 ボクは漏らしたため息をリセットするように一度深呼吸をしてから、聖女側入り口から告白室へと入室した。

「っ……」

 其処は兵士長の喉の音すらも聞こえるような狭く静かで暗い部屋。
 中心には部屋を真っ二つに仕切る壁があり、大人の手首程度の大きさの穴が開いているだけ。
 穴を覗けば誰かが居ることはわかるが、暗いのもあってそれが誰かまでは判別できない。

 実質的には2つの小部屋が小さな穴を共有しているだけ。
 壁にかけられた遮音のお呪いはこの部屋の一切を外に漏らさず、聖女だけが信徒の告白を聞き遂げる。

「…………」 

 椅子に座って、ボクは待った。
 兵士長からの告白を。
 その身に渦巻いているボクへの信仰と、その欲望を。

「っ……こ、此処に、私は告白致します」
「……」

 此処は信徒が聖女への信仰を吐き出す場所。
 聖女に抱いている願望を告白し、その信仰心をより高めるための場所。
 聖女は信徒の告白を聞き遂げ、その欲望を赦さなければならない……というのが教典に書かれている建前だ。

「……」

 此処は告白室。
 マニの町にとびきりの貢献をした者の欲望を聞き――

 ――それをとびきりの祝福として聖女が叶えるための場所。

 ボクはこれから兵士長が語る欲望を、祝福として返さなければならない。

「っ……どっ、どどっ……どうかっ……私のことを弟として、ちょっ、ちょっとだけえっちに甘やかしてください!!」
「……」

 …………そっちが下なんだ……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃった件

楠富 つかさ
恋愛
久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃうし、なんなら恋人にもなるし、果てには彼女のために職場まで変える。まぁ、愛の力って偉大だよね。 ※この物語はフィクションであり実在の地名は登場しますが、人物・団体とは関係ありません。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

処理中です...