重槍士は褐色毒ショタに出会う

papporopueeee

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出会い

――そして、目が覚めてもガルはまだ来なかった。

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 暗く冷たい石造りの牢屋。兵士に連れられ、僕は此処に戻ってきた。

「さあ、入れ」

「……」

 牢番は昨日までの兵士とは変わっていた。僕を人攫いに売ったことが露見したのだろうか。

「騒いだりするんじゃないぞ」

「はい、承知しています」

 それだけ言うと、牢番の兵士は牢屋から出て行ってしまった。まるで、僕と同じ部屋に居るのも我慢ならないと言わんばかりに。

「……」

 呼吸の音すらも反響しそうな静かな空間に、牢屋を歩く僕の足音だけが響く。環境は昨日と少しも変わっていないのに、この心持ちの違いはきっとガルのおかげだ。ガルにもらった外套と靴が、僕は独りじゃないと教えてくれている。

「ガル……」

 僕のことを助けてくれた人。僕の罪を知っても尚、守ってくれた人。

 石畳の硬い床を歩いても、ガルの作ってくれた靴があれば痛くもない。むしろ響く足音が心地よく、リズムを取ってしまうくらいだ。

 不衛生で硬いベッドも、ガルの外套があれば気にもならない。寒さからも、埃臭さからも、僕のことを守ってくれる。

「ガル……ガル……」

 名前を呼んでも意味は無いのに。僕の唇はガルの名を呟くことを止められない。今更になって、僕は別れ際に強がってしまったことを後悔し始めていた。

 ガルと別れた僕の判断は正しい。こんな酷い場所にガルまで道連れにするわけにはいかなかったし、何よりレイス王が約束を守る保証なんて無い。ガルから武器を奪ったまま、牢屋に捕え続ける可能性だってあった。だから、あの時の僕の判断は今でも正しいと思っている。

「ガルっ……ガルっ……」

 でも、正しいというだけでは寂しさを抑えられない。両親を失ってから寂しいなんて感じないくらいに孤独だったから、この感情をどう制御すればいいのかがわからない。

 僕のことを嘲笑わない人。僕に優しく笑いかけてくれる人。明日になればまた会える。明日にならないと会うことができない。早く眠ってしまえばいいとわかっているのに、ガルのことで思考がぐるぐると回ってしまって眠れない。

「あと何時間……? あと、何分……? あと……どれくらい……?」

 待ち遠しい。またガルに会える瞬間が、待ち遠しくて堪らない。

 この牢屋では外が暗いのか明るいのかもわからない。時間を知らせる鐘の音も届かないから、ガルと別れてからどれくらいの時間が経っているのかもわからない。

 ガルが明日来てくれるまで、僕は時間すらも奪われている。

「ガル……ガル、ガル……ガルっ」

 硬い枕に頭を横たえ、膝を抱えてガルが巻いてくれた包帯を指で弄び、ガルの外套にくるまりながら目を瞑る。

 頭に浮かぶのはガルの姿ばかり。思い起こされるのはガルがくれた言葉ばかり。今日一日でガルがくれた優しさを反芻しながら、ただガルのことだけを思う。

「ガル…………」

 そうしてる内に僕は気を失うように眠りに落ちて――

 ――そして、目が覚めてもガルはまだ来なかった。
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