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討伐
ガルは僕の血を舐められますか?
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「ルカテ、毒だ! そのヒルは毒にやられている可能性が高い! 噛まれたお前も処置をしないと、毒の種類によっては危ないかもしれない!」
「毒……そうですね、毒です。僕、毒なんです……」
「わかってるなら、早く応急処置を――」
「違うんです! 違う……ごめんなさい、ガル……僕、ガルには知られたくなくて……」
「ルカテ……?」
その蒼い瞳からポロポロと涙が零れ落ちる。光を反射して輝く雫が地面に落ち、列をなしていた蟻に直撃したかと思えば、蟻の群れは皆ひっくり返って死んでいた。
「僕の体液は毒なんです……流れているこの涙も、血液も、全部っ……致死性の毒なんですっ……!」
「っ!?」
それは、突拍子もない告白だった。その言葉が真実であるならば、今この瞬間も人を殺せる毒を瞳から零し続けていることになる。
「ば、馬鹿なことを言うな。体液が致死性の毒なんて、そんな人間が居るわけがないだろう」
「っ……そうですよね。やっぱり、僕って人間じゃないんです……きっと、ガルが殺してきた魔物たちと同じで……っ」
声を震わせ、体を震わせながら、ルカテは両腕で自らの身体を抱きながら身を捩った。抑えきれないほどの不安と恐怖が、こちらにまで伝わってくる。
俺はなんて愚かなのだろうか。いくら動揺しているとはいえ、レスト国の民衆と同じような言葉をルカテにかけてしまうなんて。
「そ、そういう意味で言ったんじゃない!」
「それじゃあ、どういう意味だって言うんですか? こんな肌の色をしていて、身体の中まで猛毒でっ……いったい誰が、僕を人間だなんて言えるんですか?」
「落ち着けルカテ! お前は人間だ、俺が保証する」
「それじゃあ……ガルは僕の血を舐められますか?」
「っ……それはっ……」
ルカテは足から流れる真っ赤な血を指先で掬うと、俺の方へと差し出した。
舐められないわけじゃない。仮に毒だとしても、いくらなんでもあの量で致死性があるとは思えない。
しかし、ここでリスクを取るわけにはいかなかった。その血液が万が一にも数滴で死に至るような毒であり、舐めたことにより俺が死んでしまったら。もしくは、毒で弱ったところを魔物に襲われたら。それこそ、ルカテの心に癒えない傷を残すことになる。
「…………ごめんなさい……僕、何を言ってるんでしょう……。おかしいですよね……忘れてください……」
「ルカテ……とにかく、足の治療をさせてくれ。仮にその血が毒なのだとしても、出血は止めないといけないだろ」
「大丈夫です……回復魔法がありますから。自分で治せますので、ガルは絶対に近づかないでくださいね?」
それはさっきまで俺に抱っこされていたルカテの目では無かった。嬉しそうに、楽しそうに懐いてくれていたルカテではなかった。明確な拒絶の意思を込めた瞳を俺に向けていた。
ルカテの言葉を鵜吞みにはできない。しかしルカテの様子と地面で死んでいるヒルを考えると、勘違いや嘘とも思えない。
ルカテの体液は致死性の毒である。しかしそれが真実だとすると、無視できない疑問もあった。
「毒……そうですね、毒です。僕、毒なんです……」
「わかってるなら、早く応急処置を――」
「違うんです! 違う……ごめんなさい、ガル……僕、ガルには知られたくなくて……」
「ルカテ……?」
その蒼い瞳からポロポロと涙が零れ落ちる。光を反射して輝く雫が地面に落ち、列をなしていた蟻に直撃したかと思えば、蟻の群れは皆ひっくり返って死んでいた。
「僕の体液は毒なんです……流れているこの涙も、血液も、全部っ……致死性の毒なんですっ……!」
「っ!?」
それは、突拍子もない告白だった。その言葉が真実であるならば、今この瞬間も人を殺せる毒を瞳から零し続けていることになる。
「ば、馬鹿なことを言うな。体液が致死性の毒なんて、そんな人間が居るわけがないだろう」
「っ……そうですよね。やっぱり、僕って人間じゃないんです……きっと、ガルが殺してきた魔物たちと同じで……っ」
声を震わせ、体を震わせながら、ルカテは両腕で自らの身体を抱きながら身を捩った。抑えきれないほどの不安と恐怖が、こちらにまで伝わってくる。
俺はなんて愚かなのだろうか。いくら動揺しているとはいえ、レスト国の民衆と同じような言葉をルカテにかけてしまうなんて。
「そ、そういう意味で言ったんじゃない!」
「それじゃあ、どういう意味だって言うんですか? こんな肌の色をしていて、身体の中まで猛毒でっ……いったい誰が、僕を人間だなんて言えるんですか?」
「落ち着けルカテ! お前は人間だ、俺が保証する」
「それじゃあ……ガルは僕の血を舐められますか?」
「っ……それはっ……」
ルカテは足から流れる真っ赤な血を指先で掬うと、俺の方へと差し出した。
舐められないわけじゃない。仮に毒だとしても、いくらなんでもあの量で致死性があるとは思えない。
しかし、ここでリスクを取るわけにはいかなかった。その血液が万が一にも数滴で死に至るような毒であり、舐めたことにより俺が死んでしまったら。もしくは、毒で弱ったところを魔物に襲われたら。それこそ、ルカテの心に癒えない傷を残すことになる。
「…………ごめんなさい……僕、何を言ってるんでしょう……。おかしいですよね……忘れてください……」
「ルカテ……とにかく、足の治療をさせてくれ。仮にその血が毒なのだとしても、出血は止めないといけないだろ」
「大丈夫です……回復魔法がありますから。自分で治せますので、ガルは絶対に近づかないでくださいね?」
それはさっきまで俺に抱っこされていたルカテの目では無かった。嬉しそうに、楽しそうに懐いてくれていたルカテではなかった。明確な拒絶の意思を込めた瞳を俺に向けていた。
ルカテの言葉を鵜吞みにはできない。しかしルカテの様子と地面で死んでいるヒルを考えると、勘違いや嘘とも思えない。
ルカテの体液は致死性の毒である。しかしそれが真実だとすると、無視できない疑問もあった。
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