重槍士は褐色毒ショタに出会う

papporopueeee

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討伐

触るぞ

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「……ルカテ」

「どうかしましたか?」

「先に謝っておく」

「っ……いいえ、謝るのは僕の方で……ガル? 何をするんですかっ?」

 足に回復魔法をかけようとしていたその手を俺は握った。右手も、左手も、その小さな両手を片手でまとめて拘束する。

「触るぞ」

「えっ……だっ、ダメです! 毒だって言ってるじゃないですか! 死にたいんですか!?」

 ルカテの体液は毒なのだろう。人をも殺すほどの致死性かどうかはともかく、そこに嘘は無いのだろう。しかし、それならどうしてルカテはあんなにも俺に近づいていたのか。この森の中でも、今朝も、ルカテは俺と距離を取るどころか自分から引っ付いてきていた。

 無条件に人に害を為す程の強力な毒で満たされた身体であるのなら、ルカテはもっと俺から離れていたはずだ。回復魔法を修得ような優しい子が、好き好んで人を危険に晒すはずがない。

 そして、ルカテが俺の前で流血するのは初めてではない。あの時、ルカテはしきりにとあることを俺に確認していた。

「大丈夫だ。俺の身体には傷一つついてない」

「っ!」

「もちろん、この手袋の下にもな。だから、素手で触れるぞ」

「でもっ……でもっ……っ!」

 毒にも種類がある。皮膚の上から触れるだけでも危険な毒もあれば、口腔摂取であれば無害な毒もある。ルカテの毒は、おそらく皮膚の上からなら無害なのだろう。そうでなければ、ルカテと出会ったあの日に、傷だらけの足を俺に触れさせるわけがない。

 今のルカテは混乱しているだけだ。毒を秘密にしていた後ろめたさと、秘密を知られてしまった動揺と、自分自身に対する不安と、俺の態度が変わることへの恐怖。

 全部ぐちゃぐちゃに混ざり合って、どうすればいいのかもわからなくて――

 ――それでも、俺を本気で拒絶することだけはできないでいる。

「うん……温かくて、赤い……そして、痛くも苦しくもならない……問題ないな」

「ガルっ……どうしてっ……毒なのにっ……僕はっ……」

「このまま止血するからな。回復魔法で治すのも体力使うだろ? 温存できる内はしておいた方がいい」

「っ……ごめんなさい……ごめんなさいっ……ガルっ……僕っ、僕はっ……」

「俺の方こそごめんな」

「違いますっ、僕が……僕が全部悪いんですっ……僕がっ……」

「それじゃあ、お互い反省だな。まだ出会って二日目なんだ。これから少しずつ、ゆっくり知っていこう」

「まだ……傍に居てくれるのですか? こんな、僕なんかの……」

「当たり前だろ。今更、離れられねえって」

 血で汚れていない手で涙を拭ってやって、その銀髪を撫でてやる。

 幼くして両親を失い、その肌の色で迫害を受け、猛毒を宿す特異体質に、殺人という大罪。

 寂しさ、悲しみ、屈辱に恥辱、不安と罪悪感。ルカテの中ではその全てが複雑に絡み合っているのだろう。子供が背負うにしては重すぎる。

 その重荷を少しでも取り除いてやれたらと思う。この子が無邪気に笑える未来の為に、俺の全てを尽くしてやりたい。

「ガル……ガルっ……っ!」

 とりあえずはその涙が止まるまで、俺はルカテ抱きしめながら髪を撫でてやった。その肌も、毒も、俺が ルカテを拒絶する理由にはならないのだと示すために。
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