重槍士は褐色毒ショタに出会う

papporopueeee

文字の大きさ
34 / 55
討伐

風呂に入るのは嫌か?

しおりを挟む
 森の中の川辺にて

 風呂に必要なのは二つ、水を溜めておく浴槽と、お湯を沸かすための熱源だ。

 自然に温水が湧いているならまだしも、森の中で風呂を作るというのは中々に難しい。浴槽になるような物なんて持っていなければ、森の中では調達も困難だ。お湯を沸かすための熱源は火くらいしか無く、水を温めて浴びるのが精々だろう。

 しかし、火以外の熱源が用意できるのなら話は変わる。例えば、水の中に放り込んでおけば勝手に温めてくれるような代物があれば、浴槽はなんだっていい。例えば穴を掘って川の水を引き込んでやれば、それだけで浴槽には十分だ。

「……うん、これくらいでいいな。もう入れそうだ」

 急ごしらえの浴槽から火の神の恩寵を宿したロザリオを引き上げる。日は暮れてしまったが、何とか間に合って良かった。もう少し広く作れたらもっと良かったが、贅沢は言っていられない。

「あの……ガル? やっぱり僕は、お風呂は……」

 振り向くと、ルカテはまだ服を着たままだった。外套をぎゅっと握りしめている様子から、脱ぐ様子も見られない。

「不安か? 周囲には聖水を撒いてあるし、この風呂にも入れてある。魔物のことなら心配しなくていいぞ」

「いえ……そうではなく……」

「ただの水浴びなら服を着たままでもいいだろうが、風呂は別だろう。俺だってこれから服を脱ぐ。森の中で服を脱ぐのに抵抗はあるかもしれんが、脱いだ方がさっぱりして気持ちいいぞ?」

「で、でも……やっぱり、僕は汗も毒ですから……」

 どうやら、ルカテはまだ毒のことが気になるようだ。やはり、無毒化するとわかってはいても気が気じゃないのだろう。

 しかしそんな態度を取られては、逆にこちらも引けなくなってしまう。ここでルカテの言葉を認めては、俺が毒を気にしていると思われかねない。

「汗は傷に触れなきゃいいんだろ? ルカテのおかげで傷は全部塞がってる。それに、水に混ざっても無毒化するんだ。何を気にすることがある?」

「それは、そうですけど……しかし……」

「聞かせてくれ、ルカテ。俺とお前が一緒に風呂に入ったとして、その毒が俺に害を為す可能性はあるのか?」

「……無いです。その可能性はほぼゼロに近いと言えます」

「それじゃあ入ろう。ルカテも俺の治療で疲れていただろう?」

「でも……でも……っ」

 理性と感情は別ということなのだろう。頭では問題無いとわかっていても、心はもしもに怯えてしまっているようだ。

 こうなってはその口に喋ってもらうほかないだろう。今のルカテの素直な気持ちを。

「ルカテ、俺と風呂に入るのは嫌か?」

「ちっ、違います! そういうわけではありませんっ……」

「じゃあ、俺と一緒に風呂に入りたいか?」

「……ごいっしょさせていただけるのなら……とても嬉しいです……」

 良かった。これで俺との入浴は生理的に無理だと言われていたら、泣いてしまっていただろう。

「そうか……俺もだ。せっかく苦労して風呂を拵えたんだ。できることなら、ルカテと一緒に入りたい。それ以外に、考慮しないといけないことはあるか?」

「……本当に、いいんですか?」

「もちろんだ。ルカテが一緒に入ってくれたなら、とても嬉しいよ」

「ガル……わかりました。ご一緒させていただきます。まずは、服を脱ぐのをお手伝いしますね」

「ああ、助かる。防具ってのは割と脱ぐのが手間でな。紐を解いてもらうだけでも助かる」

「では、失礼いたしますね」

 恭しく一礼すると、ルカテは俺の足元に跪いてブーツの紐に指をかけた。まるでルカテを従えているようで良い気分はしなかったが、考えすぎだろうか。身長差を考えれば足元の方がルカテにとっても都合が良いのだから何もおかしくはないのだが、その慣れたような所作がどうにも気になってしまった。

「ガル、足を上げてください」

「ん、ああ……どうもな」

 靴下まで脱がせたルカテは次に足鎧に取り掛かった。革製だからルカテでも扱いやすいのだろう。防具の類には慣れていないだろうに、てきぱきと外していく。

 すね当て、ひざ当て、もも当て、ベルト――

「る、ルカテ? そこまででいいぞ?」

「え? でも、まだズボンと下着が残っていますよ?」

「それくらいなら後は脱ぐだけだろ? ルカテの手を借りるまでもない」

「? 脱ぐだけなら、このまま僕が脱がせれば良いのでは?」

「いや、それは……そうなんだが……」

 何となくではあるが、気まずかった。

 同性に股間を見られることなど気にしたことはない。これから風呂に入るとなればなおさらだ。風呂では全裸が当たり前なのだから、他人の股間も自分の股間も気にしたりはしない。

 しかし、この状況はどうなのだろうか。ルカテくらいの年の子に跪かせて、ズボンと下着を脱がせる。そうなれば当然、顔の前にあれが出てしまうわけだが……同性でも絵面的に良くないような気がしてならない。

 ルカテは特に気にしていない様子だし、俺の気にしすぎなのだろうか。

「ほら、ルカテも脱がないとだろ? 俺は後は上半身はシャツだけだし、ルカテも服を脱いでてくれ」

「最後までお手伝いしたかったのですが……ガルがそこまで言うのなら……」

 渋々という様子ではあったが、ルカテは立ち上がって離れてくれた。そんなに脱がせたかったのだろうか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

処理中です...