ボクとサナ ~淫魔はミステリーに恋し、ロジックを愛する~

papporopueeee

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18. 推理:方法

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 疑惑の視線に囲まれていることも意に介さず、津はノートPCを持って立ち去ろうとしている。

『どうしよう……! どうしよう、サナ!』
『そんな子犬みたいにせがまれてもなぁ……。むしろ、焦らしプレイ受けてんのはアタシの方なんだぜ?』

 謎解きを好むサナにとっても、津にここで逃げられることは都合が悪いのだろう。
 犯人を追い詰めることができない推理小説なんて、娯楽の真逆に位置するものだ。

『そんなの先生に言ってよ! 先生を追及する材料が見つからないから、こうやってみすみす逃がそうとしてるんじゃ――』
『違えなぁ、シオン。こんな、涎をダラダラ垂らすようなメス犬になっちまうまでアタシを焦らしてんのは……お前だよ』
『え……?』
『んー? その様子だと無自覚だったのか? クックッ、こりゃ天性のサディストだ。あどけない顔して、天職は探偵じゃなくて調教師だったか?』

 言葉の意味がわからなくて、シオンの頭の中が疑問符で埋め尽くされる。

 サナの言い方はまるで、シオンが答えを出し渋っているような物言いだ。

『ちょ、ちょっと待ってよ! ボクが一体何を焦らしてるっていうのさ』
『お前が言ったことさ、シオン。アタシは、お前がその口から発したことを復唱するだけだぜ……? どうしてこの教師が、短髪鳥頭が一番怪しいだなんて言えるんだよ?』

” どうして先生が、烏丸くんが一番怪しいなんて言えるんですか? ”

 それは確かにシオンが発した言葉だ。
 尋問している際に、津の発言に対してはっきりと異を唱えた瞬間だ。

 佐藤津が烏丸純夏を怪しむことはおかしい、と。

『でも、それは佐藤先生が烏丸くんが部室に入ったことを知っていたから…………っ?』

 写真部部室での推理時、状況的に最も怪しかったのは純夏だった。
 何故なら、部室に入室した人数と時間をシオン達は把握していたからだ。

 逆に言えば、入室した人数と時間を把握していなければ純夏が最も怪しいと言うことはできない。
 三葉、純夏、嶺二の入室を知っていても、それ以外の人間が入室した可能性があるのだから。

 鍵の番人でもなく、万紀から証言を聞いたわけでもない津が、どうしてそんな発言をしたのか。

『頼むぜ、もう我慢できなくて中がぐじゅぐじゅになっちまってんだ。早くお前の声をアタシの中まで響かせて、奥の奥まで突き上げてくれよ』
『……先生が深く考えずに発言しただけという可能性もあるけど。でも、もしも――』

 もしも、津が部室に入った人間を完璧に把握していたのだとしたら……?

『でも入室した人間を全て把握するなんて、それこそ番人でもしてないと無理だ。近藤先生に聞いた素振りもなさそうだし……』

 もしも万紀から聞いていたのだとしたら、昼休みに見かけたなんて言う必要がない。
 それに万紀に確認すれば津に話したかどうかもすぐにわかることだ。

『……まさか、いやでも……そんな……』

 思いつくことはある。
 というよりも、これしか思いつかない。

 津は万紀と違い授業を行う教師なのだ。
 教室で拘束される時間が存在する以上、リアルタイムで入室を確認することは不可能だ。

『どうした? 早くイっちまえよ……。もう、わかってるんだろ?』

 津が部室の入室状況を把握する方法なんて1つしかない。

 録画した入室の様子を、後から目で見て確認する以外にありえない。

『……佐藤先生は、おそらく部室を盗撮をしている』
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