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19. 推理:証拠
2
「そのUSBメモリを確認させてください」
ただのUSBメモリでないのなら、つぶさに観察することができれば確認できるはずだ。
例えばUSBメモリには必要のないスイッチや、カメラのレンズなどの存在が。
もしかしたら、中身のデータを見ればそれこそ盗撮の映像が入っている可能性も――
「順番が逆ですよ、探偵君。中身を確認したければ、先に疑わしきを明らかにしなさい」
「くっ……」
津の言葉に対して、シオンは何も言い返せなかった。
悔しいことに、津の言い分の方が正しい。
ただシオンが言いがかりをつけているような現状で、私物のUSBメモリを確認させろと言う方が無茶だ。
『別に外側を観察するくらいいいじゃねえか。ケツ穴の弱そうな男だなぁ』
ギロリと津の視線が一層強くシオンを睨みつけた。
サナの声が聴こえた……!?
いや、そんな、まさかね……?
『やーいやーい、総受けと見せかけて実は総攻めの変態盗撮野郎ー』
『ちょ、ちょっとやめてよ!』
津に声が聴こえていないにしても、サナの挑発はシオンの思考まで乱される。
「他に証拠はないのですか?」
「っ……あ、ありますよ」
「ふぅん……?」
品定めするかのように、津の視線がシオンの体を這いずり回る。
やがて津は満足そうにこくんと頷くと、口を開いた。
「……私は教師ではありますが、一人の人間でもあります。相手が生徒とはいえ、大した根拠もなく盗撮犯呼ばわりされても平気というわけではないのです。わかりますか?」
津の口調は丁寧ではあるものの明らかに攻撃的だ。
蛇に睨まれた蛙というのはこんな気持ちなのかもしれない。
本来であれば天敵である蛇は探偵であるシオンの役目のはずなのだが。
「もしも十八女君の出す証拠が不十分だった場合、このことは近藤先生に報告させてもらいます。十八女君は不当な理由で人を盗撮犯扱いするような活動をしていると」
それはつまり、シオンもリスクを負えということだ。
もしもここでシオンが失敗すれば、探偵同好会の解散は必然だろう。
さらには、お世話になっている万紀の顔にも泥を塗ることになる。
「どうですか? それでも十八女君は私を盗撮犯呼ばわりするのですか?」
「うっ……!」
『そう気負いすぎるなよシオン。オッサンの顔はもう泥まみれみたいなもんだからよ。ほら、それくらい色黒だろ?』
「もちろんですよ! ボクは探偵ですから、なんの根拠もなく人を疑うなんてことはしません。確かな証拠があります!」
「では、教えてください。私が盗撮をしているという確たる証拠とはなんですか?」
「それは……」
『それは……なんだよ。ほら、教えてくれよ』
『そんなのボクが知りたいよ!』
『クックッ、見切り発車もいいところだなぁ』
『唆したのはサナじゃないか!』
『決断したのはシオンさ。いいじゃないか、アタシたちは一連托生だ。もしも推理が失敗に終わった時は、責任をもってその体をいただいてやるぜ』
『それは無責任って言うんだよ!』
『そうでもないさ。アタシはシオンが失敗するなんて微塵も思ってない。いつもと同じさ。冷静に、論理的に。思考を回せばいい』
『……っ』
サナの言う通りだ。
愚痴を言っていても仕方ない。
はたして沈黙が何秒許されるかなんてわからない。
それでも、この数秒で思考を回せる限りに回さなければ――
必要なのは盗撮をしていた証拠。つまりは、あのUSBメモリに撮影を行う機能があるかどうかだ。遠目で外観を観察したって、盗撮用のカメラなんだからわかるとは思えない。質問したって津が答えるわけもない。論理的に、思考だけでカメラだという証拠を掴まなければならない。それではいったいなにを考えればいい。盗撮をしていたのならば、津は今日一日の部室の様子を知っているはずだ。また尋問をして聞き出すか? いや、USBメモリの質問にだって答えないのだから、他の質問に対しても答えるとは思えない。というか、無理じゃないか? どうやってUSBメモリにカメラ機能がついているなんて論証すればいい? 盗撮について追及するのは早すぎた気がする。せめてその筋の専門家が味方にいればいいが、あっ、そういえば嶺二が盗撮疑惑をかけられたことがあるとか言っていたはずだ。もしかしたら、嶺二ならなにかわかるのではなかろうか。むしろ、もうこの際それに賭けるしか――
「まだですか?」
ついに黙り込むシオンに対して審判の鐘が鳴らされた。
「っ……」
なんでもいい。
とにかく口を開いて、喋りながらでも考えるんだ。
「盗撮の証拠……。それは――」
ただのUSBメモリでないのなら、つぶさに観察することができれば確認できるはずだ。
例えばUSBメモリには必要のないスイッチや、カメラのレンズなどの存在が。
もしかしたら、中身のデータを見ればそれこそ盗撮の映像が入っている可能性も――
「順番が逆ですよ、探偵君。中身を確認したければ、先に疑わしきを明らかにしなさい」
「くっ……」
津の言葉に対して、シオンは何も言い返せなかった。
悔しいことに、津の言い分の方が正しい。
ただシオンが言いがかりをつけているような現状で、私物のUSBメモリを確認させろと言う方が無茶だ。
『別に外側を観察するくらいいいじゃねえか。ケツ穴の弱そうな男だなぁ』
ギロリと津の視線が一層強くシオンを睨みつけた。
サナの声が聴こえた……!?
いや、そんな、まさかね……?
『やーいやーい、総受けと見せかけて実は総攻めの変態盗撮野郎ー』
『ちょ、ちょっとやめてよ!』
津に声が聴こえていないにしても、サナの挑発はシオンの思考まで乱される。
「他に証拠はないのですか?」
「っ……あ、ありますよ」
「ふぅん……?」
品定めするかのように、津の視線がシオンの体を這いずり回る。
やがて津は満足そうにこくんと頷くと、口を開いた。
「……私は教師ではありますが、一人の人間でもあります。相手が生徒とはいえ、大した根拠もなく盗撮犯呼ばわりされても平気というわけではないのです。わかりますか?」
津の口調は丁寧ではあるものの明らかに攻撃的だ。
蛇に睨まれた蛙というのはこんな気持ちなのかもしれない。
本来であれば天敵である蛇は探偵であるシオンの役目のはずなのだが。
「もしも十八女君の出す証拠が不十分だった場合、このことは近藤先生に報告させてもらいます。十八女君は不当な理由で人を盗撮犯扱いするような活動をしていると」
それはつまり、シオンもリスクを負えということだ。
もしもここでシオンが失敗すれば、探偵同好会の解散は必然だろう。
さらには、お世話になっている万紀の顔にも泥を塗ることになる。
「どうですか? それでも十八女君は私を盗撮犯呼ばわりするのですか?」
「うっ……!」
『そう気負いすぎるなよシオン。オッサンの顔はもう泥まみれみたいなもんだからよ。ほら、それくらい色黒だろ?』
「もちろんですよ! ボクは探偵ですから、なんの根拠もなく人を疑うなんてことはしません。確かな証拠があります!」
「では、教えてください。私が盗撮をしているという確たる証拠とはなんですか?」
「それは……」
『それは……なんだよ。ほら、教えてくれよ』
『そんなのボクが知りたいよ!』
『クックッ、見切り発車もいいところだなぁ』
『唆したのはサナじゃないか!』
『決断したのはシオンさ。いいじゃないか、アタシたちは一連托生だ。もしも推理が失敗に終わった時は、責任をもってその体をいただいてやるぜ』
『それは無責任って言うんだよ!』
『そうでもないさ。アタシはシオンが失敗するなんて微塵も思ってない。いつもと同じさ。冷静に、論理的に。思考を回せばいい』
『……っ』
サナの言う通りだ。
愚痴を言っていても仕方ない。
はたして沈黙が何秒許されるかなんてわからない。
それでも、この数秒で思考を回せる限りに回さなければ――
必要なのは盗撮をしていた証拠。つまりは、あのUSBメモリに撮影を行う機能があるかどうかだ。遠目で外観を観察したって、盗撮用のカメラなんだからわかるとは思えない。質問したって津が答えるわけもない。論理的に、思考だけでカメラだという証拠を掴まなければならない。それではいったいなにを考えればいい。盗撮をしていたのならば、津は今日一日の部室の様子を知っているはずだ。また尋問をして聞き出すか? いや、USBメモリの質問にだって答えないのだから、他の質問に対しても答えるとは思えない。というか、無理じゃないか? どうやってUSBメモリにカメラ機能がついているなんて論証すればいい? 盗撮について追及するのは早すぎた気がする。せめてその筋の専門家が味方にいればいいが、あっ、そういえば嶺二が盗撮疑惑をかけられたことがあるとか言っていたはずだ。もしかしたら、嶺二ならなにかわかるのではなかろうか。むしろ、もうこの際それに賭けるしか――
「まだですか?」
ついに黙り込むシオンに対して審判の鐘が鳴らされた。
「っ……」
なんでもいい。
とにかく口を開いて、喋りながらでも考えるんだ。
「盗撮の証拠……。それは――」
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