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第四夜

義弟は潜り込む

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 俺は仰向けに寝ている。天井すら見えないほどに暗いが、背中の感触から多分ベッドの上だ。

 体を起こそうとするが、うまく動かなくて起き上がれない。体がマヒしていて、なおかつ上に何かが乗っているような……。

「ケン君」

 カオルだ。カオルが俺の上に乗っていた。俺の腹の上に腰かけて、上から俺のことを見下ろしている。

 カオルが乗っているから起き上がれなかったのか。しかし、カオルはこんなにも重かっただろうか。小柄で、両腕もないカオルだ。俺が体を起こせなくなるほどの体重だっただろうか。

「ケン君……」

 カオルが指をぺろりと舐めた。俺の指だ。カオルが舐めたのは俺の指だ。カオルは自身の腕にひっついている俺の指を、ぺろりと舐めた。

 ああ、そうだった。カオルに俺の腕を移植したのだった。カオルが泣いて頼むから、俺は断れなかったんだ。カオルの華奢で色白な体に俺の腕は不釣り合いで異様だったけれど、それでもカオルは喜んでいた。

「大きくしちゃったね……♡」

 カオルの体に遮られてわからないが、俺は勃起しているらしい。両腕がないと、カオルが乗っているだけで体も起こせないなんて知らなかった。

「オレが気持ちよくしてあげるね……♡」

 カオルが後ろ手に俺の性器を握った。声が出すことができない。乾いた喉が張り付いているようで、息を吸うのも難しい。

「あぁ、入ってくる……ケン君のがオレの中に……♡」

 カオルの体を貫くように、俺の性器がその体内に収納されていく。カオルの体に女性器がついているのだろうか。それとも、俺の性器は別の穴に挿入されているのだろうか。

「んぅっ……♡ たくさん出たね……♡」

 結合部から白濁液が漏れだしている。あれは俺が出したのだろうか。射精した実感もない。

「これからも、ケン君のことはオレが面倒みてあげるからね……♡」

 カオルの顔が近づいてくる。カオルに自由を封じられた体では逃れることができない。

 それだけは避けなければならないと思った。早く起きなければならないと念じた。

 そして、俺は夢から目を覚ました。夢の中での最後の行為が未遂に終わったのかどうかは、もう記憶の彼方に行ってしまってわからない。

「んん……むにゃ……」

 なぜか、俺のベッドの中にカオルがいた。俺の体に密着しながら、幸せそうな顔で眠っていた。
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