両腕のない義弟との性事情

papporopueeee

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第四夜

義兄弟は想う

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「はぁっ……♡ はぁーっ……♡」

 カオルの口から満足気な吐息が漏れている。唾液でべっとりと汚れた唇の隙間から、扇情的な声を漏らしている。

 勢いでカオルの体を汚してしまったが、本人はさほど気にしていないようだ。へそまで精液で蓋されてしまっているが、目を瞑って余韻に浸っている。

 俺も、不覚にも夢中になってしまった。

「はーっ……ふーっ……ケン君」
「ん?」
「ん……」

 カオルの肩が少しだけフリフリと動く。多分、抱きしめろと言っているのだろう。

 正直、精液に塗れたカオルの体を抱きしめるのはいい心地はしないだろう。カオル自身もそれは同じはずだ。

 それでも、ここでそれを拒否すればカオルはむくれるに違いない。

「……仕方ないな」
「えへへーっ」

 カオルに覆いかぶさった体勢から反転して、カオルを胸の上に乗せてやる。

 ねちゃりと腹から胸板にかけて粘液が付着する。ふたりの体の間に挟まれて、粘液が気持ちの悪い音を出す。ぬちゅぬちゅとした音は卑猥でもあるが、射精を終えて冷めてきた頭には不快の方が大きい。

 それでも、体全体で人の体温を、カオルの温もりを感じるのは心地よかった。

「ケン君……?」
「ん?」
「……好き」

 まるでピロートークそのものだ。

「……それは嬉しいな」
「ほんと?」
「カオルに好かれて嫌なわけないだろ」

 どんな類であろうとも、人から好感を持たれて気分を害する人間は少ないだろう。相手がカオル、義弟という身近な人間であれば猶更だ。

「……良かった」

 首元に顔を擦りつけながら、カオルは深く息を吐いた。カオルからすれば気が気でなかったのだろう。性も、関係性も、年齢も。カオルが抱いた感情から見ればどれも障害でしかない。

「……ねえ」
「ん?」
「……っ」
「どした?」
「……だっ、抱きしめて?」

 何かを言い淀んでから、カオルはそう言った。

「……これでいいか?」

 カオルの背中に腕を置いて、自重に任せて抱き寄せた。

「……うん」

 カオルの吐息が俺の胸板を撫でる。冷めていく体を熱く温めようとでもするように。



 思いを馳せるのは将来のこと。これからのふたりの関係性。

 俺はカオルに告白された。家族としてではなく、恋愛感情を抱いていると告白された。だから、今度は俺がそれに応えなければならない。

 もしもカオルが抱いているのが健全な恋愛感情であるのだとしたら、応えなければならないと思う。真っ当な恋愛感情であるのなら……だ。

「すーっ……」

 カオルは俺の体の上で寝息を立てている。初めてのセックスで疲れたのだろう。それに昼にもすでに一度射精をしている。安らかな寝息と、安心しきった寝顔。俺の目前でそんな様子を見せてくれるのは嬉しい。

 カオルは両腕がない。それは紛れもない弱点で、カオルは他人に対して簡単に気を許すことは許されない。カオルを力でねじ伏せるのなんて、小学生にだって容易にできるからだ。

 カオルがこうして信頼してくれているのは俺がカオルの家族だから。今日までカオルに献身に尽くして介護してきたからだ。

 そんな状態で生まれた、カオルから俺への恋愛感情。

 カオルが会話できる相手は俺しかいない。カオルが傍にいて安心できるのは俺しかいない。カオルの世界には俺しかいない。そんな中で、カオルが俺を好きだと言った。

 そんな恋愛感情が正当だなんて俺には言えない。そんなのは選択肢がなかっただけだ。カオルには俺しかいなかっただけだ。

「んっ……ふにゃ」

 カオルには両腕がない。そのせいで自身の世界を閉ざしてしまっている。

 せめてその閉じた暗い世界からカオルを連れ出さないと。もっとカオルに選択肢を増やしてやらないと。そうじゃないと、俺はカオルの顔を正面から見れそうにない。
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