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第五夜
義兄は歓談する
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「適当に座ってくれ」
「うん。これ、ご要望の品です」
「ああ、悪いな。いくらだ?」
「今回は私のおごりでいいよ。頼ってくれてありがとうってことで」
「いや、それおかしくないか?」
「いいの。昨日はごちそうになったんだし、私に払わせて。カオルくんの分もね」
「……そこまで言うならありがたくいただくか。何飲む? コーヒー? お茶?」
「それじゃあコーヒー。挽きたてでお願いしますね、マスターさん」
「ウチにはインスタントしかねーよ」
一条の軽口に昔を思い出してしまい、懐かしさで笑みが零れた。所作や立ち振る舞いは丁寧だが、どこか気さくな人間性が一条の特徴だった。
「お土産、食べてくだろ。皿用意するな」
自分の分と、カオルの分と、一条の分。3つの皿を食器棚から取り出して、テーブルの上に並べる。一条からのお土産を開けると、中には白いケーキが3つ並んでいた。
「これ、チーズケーキか?」
「ううん、ヨーグルトケーキ。甘いのは控えてくれって話だったから、健康的っぽいものをチョイスしてみました。美味しさは私の折り紙つきだから安心してね」
「へえ、ヨーグルトのケーキなんてあるんだな。確かに健康によさそうだ」
「まあ、所詮はケーキだから他のケーキと比べたらってレベルだと思う。本当に健康に気を配るなら、ヨーグルトをそのまま食べた方が良いもん」
「甘党のくせに尤もらしいことを言うんだな」
「甘党だからですー。甘いのを食べつつ健康と美容を両立するのって大変なんだから」
不満気に唇を尖らせた一条がブーブーと文句を垂れた。どうやら甘党女子的に許せない発言だったようだ。
「あー、テキトーなこと言って悪かったな。ほら、お詫びのコーヒー」
「インスタントでお詫びを済ませるなんて、きっとその謝罪も即席なんだね。私は悲しいよ」
上手い事を言ったつもりなのだろう。悲しみの言葉を述べつつも、その表情はドヤっとしている。
「……なーんて、本当は鹿島くんの方が健康に気を遣ってるよね」
「ん? いや、俺は筋トレくらいしかしてないぞ」
「自分のじゃなくて、カオルくんの。今回の要望の甘さ控えめだって、カオルくんの健康が気になるからってチャットで言ってたでしょ」
「それはそうだが、そんな殊勝なことでもないだろ」
普段から引きこもっている家族があれだけ甘い物を連続で摂取していれば誰だって心配するだろう。
「別に、食事だけじゃないよ。カオルくんのお世話をしてることもそうだし、家事もそう。掃除とか片付けとか、色々行き届いてるのがわかるもん。私なんて普段は全然家事なんてしないから、鹿島くんはすごいなって」
「そんな大したことしてないけどな」
世間一般的な介護と比べて、カオルの世話は楽な部類だと思う。意思疎通が可能で、自立歩行が可能で、体重も軽い。細かなケアは必要だが、重労働は圧倒的に少ない。
加えてカオルは気性も穏やかだ。甘えん坊なところはあるが、基本的には聞き分けがよく勉強も毎日よくやっている。
むしろ俺の生活はそこらの大学生よりも、一条よりも気楽なものだろう。
「カオルが年の割に聞き分けがいいからな。家事も邪魔しないし、俺が同じくらいの頃はもっとやんちゃだったもんだけどな」
「ふふっ、じゃあ兄弟で助け合ってるんだね」
「……なんだ、やけに嬉しそうだな」
「私も仲のいい妹がいるからね。なんか、いいよね……そういうの♪」
「うん。これ、ご要望の品です」
「ああ、悪いな。いくらだ?」
「今回は私のおごりでいいよ。頼ってくれてありがとうってことで」
「いや、それおかしくないか?」
「いいの。昨日はごちそうになったんだし、私に払わせて。カオルくんの分もね」
「……そこまで言うならありがたくいただくか。何飲む? コーヒー? お茶?」
「それじゃあコーヒー。挽きたてでお願いしますね、マスターさん」
「ウチにはインスタントしかねーよ」
一条の軽口に昔を思い出してしまい、懐かしさで笑みが零れた。所作や立ち振る舞いは丁寧だが、どこか気さくな人間性が一条の特徴だった。
「お土産、食べてくだろ。皿用意するな」
自分の分と、カオルの分と、一条の分。3つの皿を食器棚から取り出して、テーブルの上に並べる。一条からのお土産を開けると、中には白いケーキが3つ並んでいた。
「これ、チーズケーキか?」
「ううん、ヨーグルトケーキ。甘いのは控えてくれって話だったから、健康的っぽいものをチョイスしてみました。美味しさは私の折り紙つきだから安心してね」
「へえ、ヨーグルトのケーキなんてあるんだな。確かに健康によさそうだ」
「まあ、所詮はケーキだから他のケーキと比べたらってレベルだと思う。本当に健康に気を配るなら、ヨーグルトをそのまま食べた方が良いもん」
「甘党のくせに尤もらしいことを言うんだな」
「甘党だからですー。甘いのを食べつつ健康と美容を両立するのって大変なんだから」
不満気に唇を尖らせた一条がブーブーと文句を垂れた。どうやら甘党女子的に許せない発言だったようだ。
「あー、テキトーなこと言って悪かったな。ほら、お詫びのコーヒー」
「インスタントでお詫びを済ませるなんて、きっとその謝罪も即席なんだね。私は悲しいよ」
上手い事を言ったつもりなのだろう。悲しみの言葉を述べつつも、その表情はドヤっとしている。
「……なーんて、本当は鹿島くんの方が健康に気を遣ってるよね」
「ん? いや、俺は筋トレくらいしかしてないぞ」
「自分のじゃなくて、カオルくんの。今回の要望の甘さ控えめだって、カオルくんの健康が気になるからってチャットで言ってたでしょ」
「それはそうだが、そんな殊勝なことでもないだろ」
普段から引きこもっている家族があれだけ甘い物を連続で摂取していれば誰だって心配するだろう。
「別に、食事だけじゃないよ。カオルくんのお世話をしてることもそうだし、家事もそう。掃除とか片付けとか、色々行き届いてるのがわかるもん。私なんて普段は全然家事なんてしないから、鹿島くんはすごいなって」
「そんな大したことしてないけどな」
世間一般的な介護と比べて、カオルの世話は楽な部類だと思う。意思疎通が可能で、自立歩行が可能で、体重も軽い。細かなケアは必要だが、重労働は圧倒的に少ない。
加えてカオルは気性も穏やかだ。甘えん坊なところはあるが、基本的には聞き分けがよく勉強も毎日よくやっている。
むしろ俺の生活はそこらの大学生よりも、一条よりも気楽なものだろう。
「カオルが年の割に聞き分けがいいからな。家事も邪魔しないし、俺が同じくらいの頃はもっとやんちゃだったもんだけどな」
「ふふっ、じゃあ兄弟で助け合ってるんだね」
「……なんだ、やけに嬉しそうだな」
「私も仲のいい妹がいるからね。なんか、いいよね……そういうの♪」
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