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サーベンティサタンsaid2
しおりを挟むはぁ…
ジェラルド国とはかなり遠いのだな…
一度行った事のある場所であれば瞬間移動が使えるのだが、一度も行った事のない場所だと翼で飛ぶしかなくなる
飛ぶと人間達が騒ぎはじめるから面倒なのだが、まぁ仕方ないか…
なるべく目立たぬよう上空を飛ぶ
まる2日寝ずに飛んで、ようやくでかい城らしきものが見えてきた
ふんっ、あれがこの国の城か…
余の魔王城には及ばんが、人間が建てたにしてはでかいな
飛行中に見えたが敷地も広大だし、町や人間達も活気があってかなり栄えてる国だな
これだけ豊かだと近隣国が欲しがりそうな国だが、なぜ攻め入らないのか不思議だ
城の最上部を見ていると、テラスで優雅にティータイムを楽しむ1人の女がいた
歳は20代くらいに見えるな、中々美しい女ではないか
飛行に少し体力を削られたからな、手始めにあの女の精気でも味見してみるか…
女の前までスタッと飛び降りる
「きゃーっ!?」
「な、貴様何者だ!?」
「騒がしい奴らだ」
スッと手を翳し、こちらまで人間を引き寄せる
「何をする!?」
「ひっ、人間じゃない……」
魅了の力を使おうとした時…
バチバチッ
「ぐっ!?」
突然余の手が七色の光によって弾き返された
「私の侍女と騎士を離しなさい」
「い、いけません
王妃様、早くお逃げになって下さい!」
「私なら大丈夫よ
それにルルが言うにはこの方魔王様だって言うじゃない
貴方達じゃ敵わないわよ」
「な、魔王だと!?」
「ふんっ、名乗ってもないのに余の正体がばれるとはな、力も1人だけ効いておらぬようだし、心の声も聞こえぬ…
女、貴様何者だ?」
「女性に対して貴様だなんて、ルルの言う通り乱暴な方なのね
私はこの国の王妃、ユリアンナ・トラバルトです」
「貴様が王妃か…
確かに、子を2人産んだとは思えぬ美しさだな…」
「あら、それは褒めてくださってるのかしら?
ふふっ、もう私40手前ですわよ?」
「なんだと…?」
20代くらいかと思ったが、まさか40手前だとはな…
『アンナちゃん、私こいつ嫌いなのー!!
早く追い出すなの!!』
突然王妃の背後から喋る兎が出てきた
「あらあら、ルルもせっかちねぇ
まずは何をしに来たのかお話だけでも聞かないと…」
『どうせ美人なアンナちゃんを狙って、精気を貰いに来たに決まってるなの!!』
「な、この桃色の兎…精霊ではないか!?」
「あら、やっぱり魔王様なら見ただけで分かるのね」
『アンナちゃんに近寄るななのー!!』
「ぐっ!!」
強い精霊の力で押し出される
まさかこの国の王妃が契約者だとはな…
だがこの程度なら、力はちと消耗するが勝てぬわけではないな!
精霊と契約するならさぞ良い女に違いないし
是非味見をしないとな…
『アンナちゃんはお前の都合の良い食事じゃないなのー!!』
バチバチと余の炎と精霊の力が押し合い、均衡した状態になっている
「そんな、ルルの力が押されるなんて…」
『腹立たしいけど、魔王だからやっぱり力だけは強いなの…!?』
あと少し、あと少しで…
更に炎を強めようとした瞬間、突然身体中にゾワリとした、何かが這うような感覚に陥る
「な…なんだ?」
余の身体を何かがギチギチと締めあげてくる感触が伝わってくる
そのせいで、力も出せなくなってしまった
「貴様…余に何をした!!」
『ち、違うなの…この力は…』
兎が見る視線の先に目を向けると、柔かな笑みを浮かべる1人の男が立っていた
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