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王妃様ですか?
しおりを挟む「ふふっ、緊張しなくていいのよ」
「ひゃい…!」
か、噛んじゃった…
この状況で緊張しないなんて無理です!?
今私の目の前には王子様のお母さん…
そう、この国の王妃様がいます
なぜならあの後…
王子様に引き摺られるようにお城に連れ帰られて
味見とやらをされて体調は大丈夫なのか、何故引き込まれてあの白線から出られたのかとか、色々と凄い剣幕で聞かれた
でも体調はぴんぴんしてて普通だし、魔王様も出られないとか言ってたけど出れちゃったんだから…
たまたまなんかの手違いで効果が無くなってただけなんじゃないのかな?
なんて考えてると、王子様が怖い顔してキスだけでなんで襟元が乱れるのかと言いながら肩を掴まれた所で、護衛騎士の1人が入ってきた
王妃様が私をお呼びらしい
え…なんで王妃様!?
もしかして魔王様に会っちゃったからかな?
でも王妃様なんて最期の方にちょろっとしか出てこないはずだし、魔王様と接点なんて無かったような…
ラブマジの中では、昔この国にやってきた魔王様がお城を手に入れようとして、壮絶な戦いの末に敗れて、お城に囚われの身になったとかなんとか簡単に書かれてたはずだけど…
ん~
この世界私の知ってるラブマジと違う部分もあって、色々とあべこべだからよく分かんない…
しかも魔王様もアルディス様達と一緒で、ちょっと印象が違うというか…
全然魔王様っぽくないし、第一印象が子供だった事もあるけど、あんなんで壮絶な戦いなんて想像もつかない
なんて考えながら
私も行くと一緒について来た王子様と、王妃様の所へ向かった
そして、初めて見た王妃様は気品溢れるとても美しい人だった
王子様に目元がそっくり!
ローズブラウンの綺麗な長い髪をまとめ上げて、高そうなダイヤが埋め込まれたティアラがとってもよく似合っている
「マナ、挨拶」
ぽうっと見惚れていると、王子様にコソッと耳打ちされてしまった
「おおおお初にお目にかかります!
マナ・ウェルスニードと申します!!」
スカート部分を持ち、淑女の礼をとる
あまりの緊張で吃るし、声も裏返ってしまった
「ぷふっ…」
王子様は何故か私の横で肩を震わせている
「顔を上げて頂戴
私はユリアンナ・トラバルト
そこにいる第二王太子、ディーンの母です
私はマナさんしか呼んでないはずなんだけど…
ディーンが女性と一緒に来るなんて珍しいじゃない」
「マナは私付きの侍女なので…」
「ま、まぁ!?」
どうしたんだろ?
王妃様は凄く驚いたように目を見開いている
2人のやりとりを聞いていると、突然足元にフワフワした感触が走った
「ひゃっ!?」
下を見ると、薄ピンク色の兎さんが私の足元をスリスリしていた
「か、可愛い!」
なんでこんな所に兎さんがいるんだろ?
モフモフしたいけど、流石に王妃様の前だから駄目だよね…
「あらあら、ルルが懐くなんて…」
「本当だ
ルルは私にも中々懐かないのに…」
「へ…?」
「あ、その兎はルルと言うの
私の家族と言うかなんというか…
おほほほほ…」
どうしたんだろ?
なんだか王妃様の様子がおかしい
「母上、そんな事より要件を早くお願いします」
「そうだわ!
マナさん、この度は私の侍女が東の森に行けと言ったそうで、謝って済む事じゃないんですけれど…
本当にごめんなさい」
深々と頭を下げる王妃様
どうやらあの赤毛の人がやった事は全部バレてるみたい
「頭を上げてください!
な、なんで王妃様が謝るんですか!?」
「いいえ、私の監督不行届が招いた結果です
本当にマナさんに何もなくて良かった…」
「大丈夫です
私ならピンピンしてますので!」
一国の王妃様に、侍女如きが頭を下げさせるなんてとんでもない事だ
「母上、その侍女は私が解雇しておきました
おそらくクロムハート家も解雇になるかと」
「へ…?」
うそ!?
解雇って…
あまりの処分の早さに絶句してしまう
「まぁ当然ね
信用のおける者しか王宮にはいらないもの
また侍女が居なくなってしまったのは痛手だけど…
そうだわ!
ルルも懐いてるみたいだし、マナさん私の侍女にならない?」
「え…?」
王妃様の侍女なんてまたとない話だ
私が少し考えこんでいると…
「私の目の前で勧誘するのはやめて下さい
もう要件が済んだならいいですよね?」
「きゃっ!?」
王妃様の制止も聞かず、王子様に手を引っ張られて連れて行かれてしまった
最後に扉を出て行く時に、王妃様が兎さんと話ていた様に見えたのは気のせいかな?
応援ありがとうございます!
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