4 / 8
第一章
負のスパイラル
しおりを挟む
「ここが僕の家ですよ、キョクチさん。」
細長い作りに、先に赤い旗がついた塔…
「き、奇遇だな、荷物の届け先はどうやらここらしい。」
「え、ほ、本当ですか!?よかったぁ、数ヶ月前に依頼した新しい杖、遅いから忘れられてるのかと思いましたよ。」
「あ、どうぞ中へ。」
「いや、俺はここで…」
「お茶、準備しますね。」
笑顔でそんなこと言わないでくれ…帰れないじゃないか。
「へー、キョクチさんは冒険者なんですか。」
「まぁな、まだ底辺冒険者(嘘)だけどな。」
「僕は一応討伐隊員やってます。まだ新人ですけど。」
まじか…見えねぇ。
「あ、今、討伐隊員には見えないな、コイツ、って思いましたよね?」
「いや、微塵も。」
「いや、思いましたよね?」
「思ってない。」
「いや、思いましたよ…ブッ!」
「思ってねぇ。」
「な、殴られるの慣れてきました。」
それ、慣れるようなもんじゃないだろ。
「…てか、討伐隊員なのになんでこんな小さな家に住んでるんだ?」
「ん?あぁ、討伐隊員っていう仕事柄、いつ家が壊されるかわからないんで、そこまで大きな家を買わないんですよ。」
「え、魔王軍がわざわざ壊しにくんのか?」
「違いますよ、街の人たちですよ、税金取りだとか、ただ飯ぐらいだとか言う人たちがたまにですけどそこそこいて、その中でも不満を持った人たちが隊員の家を壊しに来るんですよ。」
「大変だな、」
「まぁ、いっその事キョクチさんみたいに冒険者になって、ほのぼのと暮らすのも良いかもしれませんね。」
まぁ確かに、命掛けてんのに町の人にそんなことされたら、そのほうがいいかもな。
「いや、てか物騒すぎだろ、野蛮だな町人達。腹いせに家壊すとかヤバすぎるだろ。」
「いや、普通ですよ。」
あ、ヤベェ、多分慣れきってる人のセリフだ、これ。
「…なんでそんな白い目で見てるんですか?ねぇ、やめてくださいその顔、」
「同情するよ。大変だったな…」
「え、なんか勘違いしてません?いやそんな勝手に同情しないでください。ねぇ。」
「もう遅いんで、泊まっていきます?宿泊代とか別に良いんで、」
「お、じゃあお言葉に甘えて。」
この一言さえなければ俺はもう少し有名になっていただろう…
この日から俺はこいつの家で居候をしながら、グダグダ異世界生活がスタートした。
朝は遅く起きて、夜も遅く寝る。一日中大概何もせず仕事をするにしても楽なクエストしかせず、ろくに稼がない。
デルタもろくに仕事がないので、ずっとダラダラ、もう完全に税金とり、ただ飯ぐらいと言われてもしょうがないくらいな人間レベルまで落ちていた。
そんな生活が、1…2…3…4…5年あっという間に過ぎていった。
もう俺も21、いや22か、本当に何もしてないな、ここ5年。
『ドォォォーーン!!!』
「!?」
「キョクチ、大変だ魔王軍が、魔王軍が攻めてきた!!」
ダラダラ生活は5年で幕を閉じた。
細長い作りに、先に赤い旗がついた塔…
「き、奇遇だな、荷物の届け先はどうやらここらしい。」
「え、ほ、本当ですか!?よかったぁ、数ヶ月前に依頼した新しい杖、遅いから忘れられてるのかと思いましたよ。」
「あ、どうぞ中へ。」
「いや、俺はここで…」
「お茶、準備しますね。」
笑顔でそんなこと言わないでくれ…帰れないじゃないか。
「へー、キョクチさんは冒険者なんですか。」
「まぁな、まだ底辺冒険者(嘘)だけどな。」
「僕は一応討伐隊員やってます。まだ新人ですけど。」
まじか…見えねぇ。
「あ、今、討伐隊員には見えないな、コイツ、って思いましたよね?」
「いや、微塵も。」
「いや、思いましたよね?」
「思ってない。」
「いや、思いましたよ…ブッ!」
「思ってねぇ。」
「な、殴られるの慣れてきました。」
それ、慣れるようなもんじゃないだろ。
「…てか、討伐隊員なのになんでこんな小さな家に住んでるんだ?」
「ん?あぁ、討伐隊員っていう仕事柄、いつ家が壊されるかわからないんで、そこまで大きな家を買わないんですよ。」
「え、魔王軍がわざわざ壊しにくんのか?」
「違いますよ、街の人たちですよ、税金取りだとか、ただ飯ぐらいだとか言う人たちがたまにですけどそこそこいて、その中でも不満を持った人たちが隊員の家を壊しに来るんですよ。」
「大変だな、」
「まぁ、いっその事キョクチさんみたいに冒険者になって、ほのぼのと暮らすのも良いかもしれませんね。」
まぁ確かに、命掛けてんのに町の人にそんなことされたら、そのほうがいいかもな。
「いや、てか物騒すぎだろ、野蛮だな町人達。腹いせに家壊すとかヤバすぎるだろ。」
「いや、普通ですよ。」
あ、ヤベェ、多分慣れきってる人のセリフだ、これ。
「…なんでそんな白い目で見てるんですか?ねぇ、やめてくださいその顔、」
「同情するよ。大変だったな…」
「え、なんか勘違いしてません?いやそんな勝手に同情しないでください。ねぇ。」
「もう遅いんで、泊まっていきます?宿泊代とか別に良いんで、」
「お、じゃあお言葉に甘えて。」
この一言さえなければ俺はもう少し有名になっていただろう…
この日から俺はこいつの家で居候をしながら、グダグダ異世界生活がスタートした。
朝は遅く起きて、夜も遅く寝る。一日中大概何もせず仕事をするにしても楽なクエストしかせず、ろくに稼がない。
デルタもろくに仕事がないので、ずっとダラダラ、もう完全に税金とり、ただ飯ぐらいと言われてもしょうがないくらいな人間レベルまで落ちていた。
そんな生活が、1…2…3…4…5年あっという間に過ぎていった。
もう俺も21、いや22か、本当に何もしてないな、ここ5年。
『ドォォォーーン!!!』
「!?」
「キョクチ、大変だ魔王軍が、魔王軍が攻めてきた!!」
ダラダラ生活は5年で幕を閉じた。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
ブックマーク・評価、宜しくお願いします。
無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。
死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった!
呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。
「もう手遅れだ」
これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
転生したら王族だった
みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。
レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる