コツコツと異世界生活楽しもうとおもったのに転生時からほとんどのステータスがカンストしてました

瀬雨

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第一章

負のスパイラル

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 「ここが僕の家ですよ、キョクチさん。」
細長い作りに、先に赤い旗がついた塔…
 「き、奇遇だな、荷物の届け先はどうやらここらしい。」
「え、ほ、本当ですか!?よかったぁ、数ヶ月前に依頼した新しい杖、遅いから忘れられてるのかと思いましたよ。」

「あ、どうぞ中へ。」
「いや、俺はここで…」
「お茶、準備しますね。」
笑顔でそんなこと言わないでくれ…帰れないじゃないか。



「へー、キョクチさんは冒険者なんですか。」
「まぁな、まだ底辺冒険者(嘘)だけどな。」
「僕は一応討伐隊員やってます。まだ新人ですけど。」
まじか…見えねぇ。
「あ、今、討伐隊員には見えないな、コイツ、って思いましたよね?」
「いや、微塵も。」
「いや、思いましたよね?」
「思ってない。」
「いや、思いましたよ…ブッ!」
「思ってねぇ。」
「な、殴られるの慣れてきました。」
それ、慣れるようなもんじゃないだろ。

「…てか、討伐隊員なのになんでこんな小さな家に住んでるんだ?」
「ん?あぁ、討伐隊員っていう仕事柄、いつ家が壊されるかわからないんで、そこまで大きな家を買わないんですよ。」
「え、魔王軍がわざわざ壊しにくんのか?」
「違いますよ、街の人たちですよ、税金取りだとか、ただ飯ぐらいだとか言う人たちがたまにですけどそこそこいて、その中でも不満を持った人たちが隊員の家を壊しに来るんですよ。」
「大変だな、」
「まぁ、いっその事キョクチさんみたいに冒険者になって、ほのぼのと暮らすのも良いかもしれませんね。」
まぁ確かに、命掛けてんのに町の人にそんなことされたら、そのほうがいいかもな。
「いや、てか物騒すぎだろ、野蛮だな町人達。腹いせに家壊すとかヤバすぎるだろ。」
「いや、普通ですよ。」
あ、ヤベェ、多分慣れきってる人のセリフだ、これ。
「…なんでそんな白い目で見てるんですか?ねぇ、やめてくださいその顔、」
「同情するよ。大変だったな…」
「え、なんか勘違いしてません?いやそんな勝手に同情しないでください。ねぇ。」



「もう遅いんで、泊まっていきます?宿泊代とか別に良いんで、」
「お、じゃあお言葉に甘えて。」
この一言さえなければ俺はもう少し有名になっていただろう…
この日から俺はこいつの家で居候をしながら、グダグダ異世界生活がスタートした。
朝は遅く起きて、夜も遅く寝る。一日中大概何もせず仕事をするにしても楽なクエストしかせず、ろくに稼がない。
デルタもろくに仕事がないので、ずっとダラダラ、もう完全に税金とり、ただ飯ぐらいと言われてもしょうがないくらいな人間レベルまで落ちていた。
そんな生活が、1…2…3…4…5年あっという間に過ぎていった。
もう俺も21、いや22か、本当に何もしてないな、ここ5年。

『ドォォォーーン!!!』

「!?」

「キョクチ、大変だ魔王軍が、魔王軍が攻めてきた!!」

ダラダラ生活は5年で幕を閉じた。
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