【完結】ぶりっ子悪役令息になんてなりたくないので、筋トレはじめて騎士を目指す!

セイヂ・カグラ

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男だらけの異世界転生〜恋編〜

俺の弟が怖い※

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「兄さん、処女じゃないんだね。」
「…悪夢。」
「悪夢? これは現実。酷いね、兄さん。」

 肩を態とらしく竦めて、俺を見下ろすアシュルは冷たい目をしていた。今までの人生、これほどまでに弟を怒らせたことはない。端的に言えば、非常に恐ろしかった。そんで俺の腰は重くなって、動けなかった。

「答えてよ、兄さん。あの日、聞きたいことがあるって言ったでしょ。」
「何を?」
「あの馬鹿王子とセックスしたの?」
「なっ、馬鹿って、アシュルそれは失礼だぞ!」
「うるさい‼ 黙って答えてよ‼」

 黙るのか、答えるのか。言葉がごちゃごちゃだ。アシュルは、胸を抑えるように服の胸元を握りしめた。まっすぐに向けられた怒り。俺が答えあぐねて黙り込むと、アシュルはより一層、顔を歪めた。

「ずっと守ってきたのに…。」

 アシュルの身体を不穏な魔力が包み込む。
 息が苦しくなるくらい重たい魔力。

「兄さん、はじめてのセックス気持ちよかったでしょ?」
「な、に、、」
「ねぇ、全部思い出して。僕が兄さんの身体にたくさん教えたんだよ。」
「……っ‼」

 アシュルの手が頬を包み込む。少し退いた俺の背に片腕を回すと、唇に唇が合わさった。舌が固く閉じる隙間を舐める。不意に背を撫でられ、身体の力が抜ける。それと同時に舌が入り込んできた。

「ふ…、ん、、はっ、ぁ」

 腰がぞくぞくと震える。歯列、上顎、舌の裏、喉の奥。食べるみたいに舌が口の中を全部撫でていく。離してくれと、アシュルの服を掴むが力ないそれは、縋るみたいになってしまう。舌から温かい魔力が流れ込んできて、身体がどんどん熱くなった。

「ふふっ、接吻だけでとろとろだ。」

 アシュルがとろけた顔で、俺を『とろとろ』だという。呼吸を整えながら弟の顔を眺めていると、突然多大な量の映像が頭の中に流れ込んできた。

「うううっ、な、ああっ。」

 その膨大なに絶えられず、頭を抱え込む。
 なんだこれ、なんだこれ。
 おれと、あしゅる…?

「思い出した? 僕が兄さんに教えた、気持ちいいこと…♡」

 頭ん中、ぐるぐるする。異様な吐き気。何故、今まで忘れていたのか。混乱が俺を支配していく。次々に思い出されるアシュルとの『イケナイ遊戯あそび』とっくにやめたはずのこと…。

「ふーーー、ふーーーーっ。」
「一気に思い出させたから驚いちゃったかな。気持ちいいこと、たくさんしたよね。僕、兄さんに大好き、愛してるってたくさん言ったよ。兄さんが僕を男として見てくれる日のために、たくさん開発したんだ。兄さんの身体は覚えるのが早くて、どんどんもっともっと教えたくて…でも、初めてだけはちゃんとしたかったから。大事に大事にしてた。」

 アシュルは、ニコニコと楽しそうに、それこそ宝物を眺めるみたいに俺を見た。

「なのに…、ひどい!ひどいよ兄さん‼」

 顔を覆うように頭を抱え込んで叫ぶ。

「兄さんは、僕のモノでしょう!」

 俺は、呆然とアシュルを見た。
 アシュルは、いつだって落ち着いていた。もちろん甘えてくる日もあるけれど冷静すぎるほど、年齢に似合わない大人びたものを感じていた。俺のことを心配する以外で取り乱すことは無かった。だから、こんな姿は見たことがない。


「おれ、俺もお前に聞きたいことがあるんだ。」

 俺は、何故かあまり関係のない話を始めようとしている。自分でもよくわからない。ただ、落ち着かせたいだけかもしれないし、話を逸らしたいだけかもしれない。でも、これは聞いておかなくちゃならないと思った。俺だって、まだアシュルの質問に答えていないけど。それでも、聞かなくちゃ。

 流れ込んできた記憶の中のアシュル。俺の知らないことを知っていて、とにかく快楽に落とされて、巧妙な愛撫に追い詰められた。服を脱がす指先、肌に触れる指先、性感帯に触れる指先、キス、全てが手慣れた行為。今日見てしまった武器庫での少年との交わり。

「そういうことする相手が…、たくさんいるのか?」

 今日、確かに聞いた言葉の数々。
 それは一度きりしか聞いていないのに俺の脳へとこびりついた。
 『えっちの練習』
 『ぼくをつかってよぉ』
 『お前は肉の塊』
 『穴がゆるくなっちゃ意味がない』
 『黙れ!うるさい!』
 可愛くて優しくて天使のような弟が、こんな、まるでクズみたいな…。
 ヤリチンみたいな…!
 そんなわけ、そんなわけないよなぁ!

「ん? ああ、セックスの相手?」

 お、オブラートに包んだのにぃっ。

「そ、そうだ。」
「まぁ、5~6人くらい? あれ、もっと居たかな。わかんないや。」

 やめてくれ…。
 そんな、俺の天使が…。

「う、嘘だよな? 冗談だろ、アシュル。さすがに笑えないぞ。」
「何が? 兄さんのためだけど。」
「お、れ?」
「だから、この間も言ったと思うよ僕。『たくさん練習した』って。だって、兄さんのこと気持ちよくしてあげたかったから。下手だと怪我させちゃうし、気持ちよくないって思われたくないし。何人も試して、練習して、良いとこ見つけて、統計出して…。だから、僕上手だったでしょ♡ はじめての日は絶対に失敗したくなかったんだ。」

 そう得意げに言って、アシュルは笑った。

「そんな、お兄ちゃんは許しません!」
「なんで?」
「だって、そんな、不埒なこと…。」
「は?」

 ギロリと睨まれて、怯んでしまう。
 えっ、なに、もしかして反抗期突入?
 やだ、やだやだ!いやだよう!

「それ兄さんに言えるの?」
「うぐっ…。」
「僕は兄さんのためにやってるんだよ。」
「俺のためって、、でもっ、」
「それなのに、兄さん勝手に馬鹿王子に処女捧げて…。今までの努力が水の泡。僕の気持ち分かる?!」

 俺は、アシュルの腕を掴んだ。
 何とか、伝えなければ。でも何を言えば良いんだ?
 いや何を言いたいんだ、俺は…。
 俺だって大概、不埒じゃないか。

「あのさ、言ってしまうけど。僕、兄だなんて一度も思ったことないから。」




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