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番外編:彼らの秘密
番外編:サドがマゾと出会ったら②※
しおりを挟む繁華街にある貴族御用達の宿。
後ろ手にベルトで拘束され、目隠しで視界を封じられた男は銀髪の青年に背後から容赦なく犯されていた。
「ああぁ゛ン゛ぅっ、んぎゅぅッ……!」
叩きつけるような腰使いには愛など無く、ただ何かに対する苛立ちを発散しているような、八つ当たりじみたもの。男の悲鳴のような汚い喘ぎ声を気にすることなく、アシュルは腰を振った。ただ、自分の欲を満たすためだけにセックスをする。相手のことなどどうでも良かった。実際、彼の中では兄以上に興味の持てるものがない。兄以外は人間とすら思えないのだ。
バチンッ!バチンッ!
「ぃいい゛いっ、んぁあ゛あぁっ…ぁうっ!」
窄まりの締りが悪くなれば、尻を叩き。
男が意識を飛ばして気絶しそうになれば頬を叩いた。
乱暴に喉奥まで自分の陰茎を突っ込み、髪の毛を掴んで頭を動かし、ぐぽっぐぽっという音を立てさせた。
「んん゛んぅんっぐぅ、ぉえ゛ぇ」
射精をして、それを無理矢理に喉奥に注ぎ飲ませて、また腹の奥に射精をして…。
殆ど強姦のようなセックスをアシュルは汗をかきながら無心で貪った。
精液が出ないくらいになってからアシュルは、やっと男の中からズルリと這い出た。
「ぁっ、、はぁっ、はぁっ、ふっ、」
頭の中の霧がやっと少しだけ晴れてくる。
うつ伏せのまま力尽きる男のゼェゼェという呼吸に窒息されては困ると、乱雑に仰向けにさせた。
男の顔は涙や涎でぐっちょりと濡れて、長ったらしい茶髪の前髪が張り付いていた。
ずっと、背後から抱いていたものだから最中、男の顔なんて見ていない。
考えてみれば、出会った時に少し確認しただけで男の顔など殆どわからない。
「……」
セックスが終わり、スッキリとしてくる頭が何となく男の顔を知りたがる。ちょっとした興味が湧き、アシュルは男の前髪に手を伸ばした。
バッ……!
けれどもその顔は男の腕によって隠されてしまった。
「何のつもり」
「ご、ごめん、なさい…」
「別に、お前の顔なんてどうでもいいわ」
そう、どうでもいい。
ちょっと興味が湧いただけで、アシュルにとって、顔なんて本当にどうでも良かった。
ただ、反抗的な態度に苛ついただけ。
「金は此処に置いていくから。宿代は明日の昼の分まで払っておくよ」
アシュルは帰る支度をしながら、上着のポケットをまさぐった。すると、いつしか誰かから貰ったネックレスが出てきた。控えめな魔石がついているものだ。その魔石へ適当に魔力を込めておく。そしてそれをぐったりとする男の首に下げてやった。これさえあれば、男がどこに居ようが呼び出せる。もうしばらくは、この男で発散する必要がありそうだ。使うだけ使って、捨てればいい。金を払ってやるんだから、それほど悪い話でもないだろう?
「外すなよ、外せば殺す。」
そう言うと、男はボンヤリとネックレスを見て言った。
「くれる、の」
前髪から覗く瞳がアシュルを捉える。
アシュルは答えることをせず、ただ面倒そうな顔をして部屋を出た。
▼
青年が部屋を出た後、セックスの熱が籠もってしまったウィッグを脱ぎ捨てる。暗い茶色の髪の下から燃えるような赤い髪が現れる。これこそが男の本当の髪色。外に出るときは大抵、これを着ける。そうでないと、自分の髪色が珍しいせいで遊ぶことすら難しくなるのだ。途中で脱げてしまうのではないかと不安になったがウィッグとは案外、動いても取れないものらしい。
変装用の薄汚い格好で知人に会うとは思わなかったが、まさかこんなにも素敵な夜になるだなんてそれ以上に考えもしなかった…。
最高のセックスだった、と男、レオンは感嘆を漏らす。
バレてしまうのではないかと、レオンは内心ヒヤヒヤしていた。
だが、その緊張感すらも媚薬のようになって興奮材料になってしまった。
首に下げられたネックレスは、まるで首輪のよう。
彼の魔力が通ったそれをぎゅっと握りしめ頬を染める。
いまだかつて、こんなにも自分の理想の男に出会ったことがあるか?
答えは、もちろん「無い」はじめてだ!
ずっと、皇太子殿下だけに尽くして生きようと思ってきた。だが今、自分の前には運命とも言える男が現れてしまった。レオンの心は、もうすっかり青年アシュルに捕らわれている。フランドール・メディチの弟、アシュル・メディチに!
この異常な性癖を満たしてくれるのは彼しかいない!
「はぁっ…、さようなら俺のヴァージン♡」
レオンは、先程までの行為を思い出しうっとりと目を瞑った。
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TiKu様
ご感想ありがとうございます✨
楽しんで頂けてとても嬉しいです!
書くのが趣味なただの素人ですが、これからもよろしくお願いします🙇♀
いつもありがとうございます!
お久しぶりです✨
少し時間ができたので書いてみました😌
フランが身体を鍛えていて良かったです(笑)
アシュルのその後ですね!!
大好きなお兄ちゃんに全力で振られた彼はどうしているのでしょう…。
今度、執筆させて頂きます❗🥰