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悩みし日々
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僕はあれ以来学業が手につかなかった。帰省から戻ったミルカにも怪しまれた。ジャスミンが咲き終わり若葉が濃くなってもあの日のまま僕の心は妖子にからめとられていた。胸の奥が苦しい。あれ以来妖子とは顔を会わせてない。それでも僕は彼女のことばかり考えていた。どうすれば彼女の心を奪えるのだろう。彼女の悩ましい体を抱けるのだろう。と、そんなことばかり考えていた。魅惑的な黒い瞳、細く切れ長な眉、通った鼻筋、そして濡れた血のような赤い唇。白い指先がそっと伸びて僕の頬を撫でる。そんな幻想ばかり描いてた。
ミルカの様子も少しおかしかった。妖子の正体を探るためにこそこそしていたのも僕は知っていた。それでも僕は妖子が気になって仕方がなかった。アパートメントの玄関横にある管理人室のドアを何度叩こうと思ったことか。あの流れるような京言葉を聞きたかった。シーンとしたアパートメントの中庭には人気がなかった。満室なのに他の住人の気配はない。そういえば、入居者以来誰とも会ってなかった。ただ、夜になるとざわざわとなにかの気配はした。隣の部屋の物音さえ聞こえてくる。いったいここの住人たちは何者なのだ。それをミルカはボソッとこう言った。
「魔物たちが住んでるんだわ」と。そうかもしれない。妖子自身が魔の使いだとしても、僕はもうどうでも良かった。あの人を独占したい。すべてを知りたい。そばにいたい。それだけだった。ミルカを始めてみた時、どきりとしたときめきも今はない。どうかぼくの邪魔だけはしないでくれとそう願う僕なのだった。何かを探り調べてる様子のミルカ。彼女が正直邪魔に思えてきた。そんな僕の気持ちを悪魔は見ていたのかもしれない。
ミルカの様子も少しおかしかった。妖子の正体を探るためにこそこそしていたのも僕は知っていた。それでも僕は妖子が気になって仕方がなかった。アパートメントの玄関横にある管理人室のドアを何度叩こうと思ったことか。あの流れるような京言葉を聞きたかった。シーンとしたアパートメントの中庭には人気がなかった。満室なのに他の住人の気配はない。そういえば、入居者以来誰とも会ってなかった。ただ、夜になるとざわざわとなにかの気配はした。隣の部屋の物音さえ聞こえてくる。いったいここの住人たちは何者なのだ。それをミルカはボソッとこう言った。
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