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第二章 会社組織はもう御免
赤い竜の宝物
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進んだ先には健太郎が予想した通りあの赤い鱗の竜が出したであろう、大量の排泄物が転がっていた。
「コホー……」
うぅ、やっぱりか……ここはアイツのトイレだったって訳だ。
排泄物の山を見ながら健太郎はげんなりして肩を落とした。
そんな健太郎とは違い、ミラルダは目を見開きわなわなと唇を震わせている。
「コホー?」
どしたの、ミラルダ? 余りに汚いからビックリしちゃった?
『ミシマ……あの虫が見えるかい?』
「コホー?」
ん、虫? ああ、あのウンコに集ってる金色のデカいブイブイね。見えるけど、よくあんな物に集るよね。ほんと信じらんないよ。
虫の大きさはバスケットボール程で、彼らは一心不乱に竜の糞を貪っていた。
『いいかい、あの虫は黄金コガネ。一匹、金貨五枚で取引されてる超が付くほど貴重で希少な虫なんだ』
「コホー……コホーッ!?」
へぇ、金貨五枚で……えっ!? 嘘!! あんなウンコに集ってる虫がそんなにすんの!?
『黄金コガネの生態はよく分かっていなかったけど、そうか、竜の糞を餌にしてたんだね……見つからない訳だよ』
ミラルダは得心入ったという様子でうんうんと頷いている。
そんなミラルダに健太郎はじゃあ、アレを捕まえればいいんだなとジェスチャーで尋ねた。
『ああ、出来るだけ殺さないように捕まえておくれ。死んだコガネは半値以下になっちまうからね』
「コホーッ!」
了解だ! ……ただ、俺、虫が苦手なんだよな……子供の頃は素手でいけたんだけど……。
『それじゃあ、今から眠りの魔法でコガネを眠らせるからミシマは、鞄に詰め込んでおくれ。その鞄、冷気魔法が付与されてるから、入れれば多分、冬眠状態になる筈だよ』
「コッ、コホー……」
ウッ、分かった……そうだな、これもこの夢世界で自由に生きる為だ。……ふぅ……なるべく腹側は見ない様にしよう……。
■◇■◇■◇■
それから数時間後、一帯にいたコガネをあらかた捕り終えた健太郎とミラルダは、ドラゴンの糞で汚れてはいたが、金貨五枚の虫を大量に捕まえた事で妙にテンションが上がってしまい、笑い合っていた。
「アハハッ!!」
「コホーッ!!」
『はぁ……しかし、お互い良く汚れたもんだ……そうだ、地底湖に寄って汚れを落とすってのはどうだい?』
「コホーッ」
そうだな。このままだと門衛が入れてくれそうにないしね。
ミラルダの提案に親指を立て、健太郎は彼女と共にブルードラゴンの住処であった地底湖に向かった。
その道中、何体かモンスターが出現したが健太郎が前衛を務め、それをミラルダが魔法でサポートするというスタイルで問題無く対処出来た。
敵から立ち昇る光の粒子、ミラルダが言うには魔素と呼ばれる力の結晶を取り込む事で、この世界の住民は能力を高める事が出来るそうだ。
それによりミラルダも、恐らく健太郎も強くなっているみたいだ。
ほんとにロールプレイングゲームみたいだな。そんな感想を抱きつつ、強くなったからといって魔法的な何かが使えるといった気配は無いけどとボソリを付け加える。
魔素を胸部のスリットが吸う音を聞きながら健太郎は考える。
ロボットならこう、内部に収納されたカッコいい武器とかあってもよさそうなのに……。
そんな事を考えながら変化が無いものかと体をねじり観察していると、それに気付いたミラルダが口を開いた。
「何やってんだい、ミシマ?」
「コホー」
いやね、どっかにカッコいい内蔵武器でもついていないもんかと……ほら、額からビームが出たりさ。
そう言って健太郎が額を両手で指差すとカメラアイの上、丁度、額の真ん中にある赤いセンサーっぽい何かが、淡く赤く光り始めた。
「ん? なんだい、それ? なんか光ってるけど……」
赤い輝きは強さを増していき、健太郎の視界に突然スナイパーライフルの照準の様な物とゲージらしき物が表示された。
「コッ、コホーッ!?」
えっ、えっ!? なにこれ!?
「なんだか、どんどん光が強くなってるよ……それ、もしかしてヤバいやつじゃ……」
ヤバいやつ!? 健太郎の脳裏に額からビームを放つ光の巨人やロボットが次々と浮かんでは消えた。
どうしようかと迷いアタフタしている間にも、照準横に表示されたゲージは貯まっていき、やがて一杯になると点滅し始めた。
クッ、仕方が無い、イチかバチかだ。
健太郎は取り敢えず、光の巨人の様に両手の人差し指と中指を額に翳すと、ダンジョンの壁に向けて思い切り叫んだ。
「コホーッ!!!!」
ミシマビィィィイイイイムッ!!!!
叫びと共に健太郎の額にあったセンサーっぽい物から細く赤い輝きが放たれる。
その赤い輝きは固い岩の壁を溶かしながら、斜め上に向けて真っすぐ進み、直径二メートル程の穴を穿った。
その斜め上に伸びた穴の先には、白い光が小さく見える。どうやら地上まで穴を開けてしまったらしい。
いや確かに額からビームって言ったけど、強力過ぎるだろッ!?
「ブシュー」
誰も巻き込まれていなければいいのだが……そんな事を考えていた健太郎にはお構いなしに、背中の放熱板が開き蒸気を勢いよく放出する。
「……あんた、そんな隠し技が……」
「……コホーッ」
はぁ……隠してた訳じゃないよ。この体は色々勝手に動くんだよ……他にもなんかヤバい物、装備されてないだろうな……。
再度、体をねじり確認を始めた健太郎を見て、ミラルダは彼の肩に手を置くと瞳を閉じて静かに首を振った。
呆れと哀愁を漂わせるミラルダの顔を見て、心の中でハハハッと乾いた笑いを上げた健太郎は取り敢えず体を洗う為、地底湖へと足を向けた。
「コホー……」
うぅ、やっぱりか……ここはアイツのトイレだったって訳だ。
排泄物の山を見ながら健太郎はげんなりして肩を落とした。
そんな健太郎とは違い、ミラルダは目を見開きわなわなと唇を震わせている。
「コホー?」
どしたの、ミラルダ? 余りに汚いからビックリしちゃった?
『ミシマ……あの虫が見えるかい?』
「コホー?」
ん、虫? ああ、あのウンコに集ってる金色のデカいブイブイね。見えるけど、よくあんな物に集るよね。ほんと信じらんないよ。
虫の大きさはバスケットボール程で、彼らは一心不乱に竜の糞を貪っていた。
『いいかい、あの虫は黄金コガネ。一匹、金貨五枚で取引されてる超が付くほど貴重で希少な虫なんだ』
「コホー……コホーッ!?」
へぇ、金貨五枚で……えっ!? 嘘!! あんなウンコに集ってる虫がそんなにすんの!?
『黄金コガネの生態はよく分かっていなかったけど、そうか、竜の糞を餌にしてたんだね……見つからない訳だよ』
ミラルダは得心入ったという様子でうんうんと頷いている。
そんなミラルダに健太郎はじゃあ、アレを捕まえればいいんだなとジェスチャーで尋ねた。
『ああ、出来るだけ殺さないように捕まえておくれ。死んだコガネは半値以下になっちまうからね』
「コホーッ!」
了解だ! ……ただ、俺、虫が苦手なんだよな……子供の頃は素手でいけたんだけど……。
『それじゃあ、今から眠りの魔法でコガネを眠らせるからミシマは、鞄に詰め込んでおくれ。その鞄、冷気魔法が付与されてるから、入れれば多分、冬眠状態になる筈だよ』
「コッ、コホー……」
ウッ、分かった……そうだな、これもこの夢世界で自由に生きる為だ。……ふぅ……なるべく腹側は見ない様にしよう……。
■◇■◇■◇■
それから数時間後、一帯にいたコガネをあらかた捕り終えた健太郎とミラルダは、ドラゴンの糞で汚れてはいたが、金貨五枚の虫を大量に捕まえた事で妙にテンションが上がってしまい、笑い合っていた。
「アハハッ!!」
「コホーッ!!」
『はぁ……しかし、お互い良く汚れたもんだ……そうだ、地底湖に寄って汚れを落とすってのはどうだい?』
「コホーッ」
そうだな。このままだと門衛が入れてくれそうにないしね。
ミラルダの提案に親指を立て、健太郎は彼女と共にブルードラゴンの住処であった地底湖に向かった。
その道中、何体かモンスターが出現したが健太郎が前衛を務め、それをミラルダが魔法でサポートするというスタイルで問題無く対処出来た。
敵から立ち昇る光の粒子、ミラルダが言うには魔素と呼ばれる力の結晶を取り込む事で、この世界の住民は能力を高める事が出来るそうだ。
それによりミラルダも、恐らく健太郎も強くなっているみたいだ。
ほんとにロールプレイングゲームみたいだな。そんな感想を抱きつつ、強くなったからといって魔法的な何かが使えるといった気配は無いけどとボソリを付け加える。
魔素を胸部のスリットが吸う音を聞きながら健太郎は考える。
ロボットならこう、内部に収納されたカッコいい武器とかあってもよさそうなのに……。
そんな事を考えながら変化が無いものかと体をねじり観察していると、それに気付いたミラルダが口を開いた。
「何やってんだい、ミシマ?」
「コホー」
いやね、どっかにカッコいい内蔵武器でもついていないもんかと……ほら、額からビームが出たりさ。
そう言って健太郎が額を両手で指差すとカメラアイの上、丁度、額の真ん中にある赤いセンサーっぽい何かが、淡く赤く光り始めた。
「ん? なんだい、それ? なんか光ってるけど……」
赤い輝きは強さを増していき、健太郎の視界に突然スナイパーライフルの照準の様な物とゲージらしき物が表示された。
「コッ、コホーッ!?」
えっ、えっ!? なにこれ!?
「なんだか、どんどん光が強くなってるよ……それ、もしかしてヤバいやつじゃ……」
ヤバいやつ!? 健太郎の脳裏に額からビームを放つ光の巨人やロボットが次々と浮かんでは消えた。
どうしようかと迷いアタフタしている間にも、照準横に表示されたゲージは貯まっていき、やがて一杯になると点滅し始めた。
クッ、仕方が無い、イチかバチかだ。
健太郎は取り敢えず、光の巨人の様に両手の人差し指と中指を額に翳すと、ダンジョンの壁に向けて思い切り叫んだ。
「コホーッ!!!!」
ミシマビィィィイイイイムッ!!!!
叫びと共に健太郎の額にあったセンサーっぽい物から細く赤い輝きが放たれる。
その赤い輝きは固い岩の壁を溶かしながら、斜め上に向けて真っすぐ進み、直径二メートル程の穴を穿った。
その斜め上に伸びた穴の先には、白い光が小さく見える。どうやら地上まで穴を開けてしまったらしい。
いや確かに額からビームって言ったけど、強力過ぎるだろッ!?
「ブシュー」
誰も巻き込まれていなければいいのだが……そんな事を考えていた健太郎にはお構いなしに、背中の放熱板が開き蒸気を勢いよく放出する。
「……あんた、そんな隠し技が……」
「……コホーッ」
はぁ……隠してた訳じゃないよ。この体は色々勝手に動くんだよ……他にもなんかヤバい物、装備されてないだろうな……。
再度、体をねじり確認を始めた健太郎を見て、ミラルダは彼の肩に手を置くと瞳を閉じて静かに首を振った。
呆れと哀愁を漂わせるミラルダの顔を見て、心の中でハハハッと乾いた笑いを上げた健太郎は取り敢えず体を洗う為、地底湖へと足を向けた。
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