63 / 105
第八章 迷宮行進曲
地下一階
しおりを挟む
盗賊のパムを仲間に加え健太郎達はともかくダンジョンに潜り、現在、迷宮がどんな様子かを探る事にした。
そんな訳で一行はパムの案内で街外れにある迷宮の入り口へとやって来ていた。
入り口は石造りの四角い建物でその周囲には兵士の詰め所らしき物が建てられており、入り口の前には兵士が二人、中に入る冒険者をチェックしている。
「次」
現在、魔物が溢れているという大魔導士の地下迷宮。
にもかかわらず入り口には冒険者パーティーの行列が出来ていた。
「よし次」
何組かのチェックを終え、ようやく健太郎達の番が回ってくる。
「ん? あんた達はフルメンバーじゃないな? 大丈夫なのか?」
「フルメンバーって、六人じゃなきゃ入れて貰えないのかい?」
「いや、そういう訳じゃないが……まぁ、あんた等がそれでいいってんなら俺達が口を出す事じゃない……クルベストの冒険者か……」
ミラルダが差し出したギルド証を確認した兵士は小さく呟き、手にした名簿にミラルダの名前を記すとギルド証をミラルダに返した。
「分かっているだろうが現在、迷宮は魔物の巣窟と化している。もしあんた等が迷宮で倒れても、そのギルド証を回収する事さえ困難な状況だ。それでも入るかね?」
「ああ、あたし等はダンジョン探索が目的じゃなくて、このダンジョンで行方不明になった冒険者の捜索が目的なんだ。入らないと仕事になんないよ」
「そうかい、まっ、命あっての物種だ。無理だと思うんならすぐに引き返すんだな。お仲間さんもギルド証を」
兵士は健太郎達にもギルド証の提示を求め、それぞれが差し出したギルド証に刻印された名前と所属を名簿に記していく。
「よし、これで全員だな。一応、一ヶ月、迷宮から出た記載の無い者は死亡、もしくは迷宮に飲まれたという事で所属ギルドに連絡が行く事になってる。だから迷宮から出た際は俺達に一声掛けてくれ」
「了解だよ」
「そんじゃあ、まぁ頑張ってくれ。次」
兵士は健太郎達を顎で促し、次の冒険者を呼んだ。
「コホー……」
典型的なお役所仕事だなぁ……。
「まぁ、こんだけいたらそうもなるさ」
そう言ってミラルダが振り向いた先、冒険者たちの行列は三十組程続いている。
「ふむ……逆に言えばこれだけ冒険者がいても迷宮内の魔物は狩り尽くせんという事か」
「あのねあのね、迷宮は凄く広いんだ。それに皆、目的の階層はそれぞれだから沢山いてもあんまり会う事はないんだよッ!」
グリゼルダの疑問にパムが即座に答える。
「とにかく、後ろもつっかえてるし潜るとしようか?」
「だな、久々に思い切り剣を振れそうだぜ」
ニヤッと笑みを浮かべるギャガンを横目に健太郎達はダンジョン「大魔導士の迷宮」へと足を踏み入れた。
■◇■◇■◇■
石の階段を降りた先、迷宮の地下一階は石造りの壁に囲まれた広大な空間だった。
ミラルダが杖に魔法の明かりを灯し、クニエダから貰った地図を頼りに迷宮を進む。
ちなみに地図は完璧では無かったのでマッピングが出来るというパムに渡していた。
「この先を左に折れると大広間があるよ。それでね、その大広間を超えるとソロ魔術師がいた場所みたい」
パムの言葉に従い街の大通りより広い通路を暫く歩き左に折れた先には、明かりの届かない暗い闇が広がっている。
ただ、健太郎にはその闇の先の大広間だという空間に、子供サイズで緑色の肌をしたいわゆる小鬼の姿がはっきりと見えていた。
「コホーッ?」
ミラルダ、通路の先にゴブリンが凄く一杯いるんだが?
「えっ? ミシマ、あんた見えるのかい?」
「コホーッ」
見えるよ。どうする?
「ゴブリンの群れねぇ……」
「どうしたミラルダ?」
「いや、ミシマがこっちの通路の先にゴブリンが一杯いるって言うからさ」
「ゴブリンか……ミシマ、何匹ぐらいだ?」
「コホーッ……」
何匹って、そうだな……うーん百匹以上はいると思うけど?
「百匹以上だってさ」
「百匹以上……流石にそんだけいると斬るつっても骨が折れるな。ミシマ、例の赤い光で薙ぎ払え」
「ええッ、ゴブリン百匹なんて殺されちゃうよッ! あいつ等、癖が悪くて女の子とか襲われて散々な目に遭わされた後、なぶり殺しにしちゃうんだよッ!」
健太郎達の事をまだよく知らないパムだけが酷く慌てた様子でブンブンと両手を振る。
「ふむ、では尚更、排除しておいた方がいいだろう……しかし赤い光だと迷宮の壁を破壊して、迷宮自体が崩壊する恐れがあるな……私が大規模魔法を使ってもいいが……」
「コホー……」
ビームは駄目か……うーん、もっと威力の弱いマシンガン的なモノがあればなぁ……。
そう考え、再び通路の先に目をやった健太郎の視界に、無数のターゲット表示が現れる。
「コホーッ!?」
なにこれ、なにこれッ!? 表示が多すぎてまともに先の景色が見えないんですけどッ!!
「何だよ、ミシマ? そんなに慌ててよぉ」
「コホーッ!!」
ギャガン、いや表示がね一杯出て、表示が七分で景色が三分なんだよぉ!!
健太郎はギャガンに必死で訴えるも、彼は「ん?」と首をかしげるのみ。
「何だい表示って?」
「コホー……」
よく分かんないけど……うぅ、コレってばもしかしてターゲットロック的な……。
「ミラルダ、ミシマに何が起きてんだ?」
「あたしにも分からないけど、表示が一杯出たってさ。ターゲットロック? とか言ってるねぇ」
「ターゲットロック? ……つまり標的を捉えたという事か?」
「捉えたんならぶちかましゃあいいじゃねぇか、ミシマ、サッサとやれよ」
「えっ、えっ? 何が起きるのッ!?」
「いいから見てろ、ミシマやれ」
慌てるパムにそう言うとギャガンは健太郎に顎をしゃくる。
「……コホー」
……分かった。どうなるか分かんないけどやってみる。
健太郎は通路の先、大広間へと視線を向け、意識を表示されたターゲットの一つへと向けた。
表示が白から赤へと変わり、なにやら文字が表示され点滅を繰り返す。
「コホー……コホーッ!!」
えーっと……取り敢えずファイアーッ!!
パシュッという軽い音と共に健太郎の頭部に二つ並んだ穴から何かが発射され、遠く大広間にいたゴブリンの頭が弾け飛んだ。
「コホー……」
ずっと謎だった穴の正体はコレだったのか……。
そんな健太郎の独白を他所に仲間が突然倒れた事でゴブリンたちは騒めき、キョロキョロと周囲を探り始める。
やがてそのゴブリンの一団の中の一人が健太郎達の姿を確認し「グギャァァァ!!」と叫び声を上げた。
「ワワッ、見つかっちゃったようッ!? 早く逃げようッ!!」
「落ち着けパム、ミシマ、標的は捉えてんだろ? んじゃ、後はやるだけだぜ」
「コッ、コホーッ」
わっ、分かった。
健太郎は表示された全ての表示に意識を向ける、視界全体が赤く染まり、その赤い表示は確実にこちらに向かって来ていた。
ゴブリン達の瞳は爛々と輝き、獲物を見つけた喜びに満ちている。
「コホー……コホーッ!!」
ゴブリン、お前達に直接的な恨みは無いが、女の子を襲うのは許せない……ミシバルカンッ!!
パパパパパッ!! 連続したそんな音が迷宮に鳴り響き、ゴブリン達は次々に頭を打ち抜かれた。
そして音が鳴りやんだ時には、ゴブリン達は一匹残らず迷宮の床に倒れていた。
ゴブリンの群れの掃討を確認した一行は大広間へと足を進める。
「うぉ、すげえなこりゃ……」
「信じられないよ……ゴブリンの群れが一瞬で……」
「コホー……」
うわぁ……コレじゃ虐殺じゃないか……。
身体の示したあまりの力に健太郎はショックを受け、その場にへたり込んでしまった。
そんな健太郎の肩にミラルダはそっと手を添える。
「ミシマ、あんたが優しいのは知ってる。けどゴブリン達は人を襲って肉を食べて、女を襲う魔物だよ……」
「その通りだ。お前が躊躇すれば、私もミラルダもパムもゴブリン達の慰み者になっていたかもしれん」
「うんうん、その通りだよミシマッ! だから落ち込まないでッ!」
「そうだぜ。魔物ってのは大体が俺達を餌として見てるからよぉ。遠慮はいらねぇぜ」
「…………コホーッ……」
…………そうだな……赤竜のいたダンジョンで魔物は散々倒して来たしな……すまん、人型って事と簡単に倒せすぎてしまって……少し凹んでしまったみたいだ。
健太郎は立ち上がると両頬をパンッと打ち気持ちを切り替えた。
目的は剣士ディランの捜索と救出、それを邪魔する者は排除する。色々、思う所はあるけど今はそれを優先しよう。
「ふぅ……大丈夫かいミシマ?」
「コホーッ!!」
うんッ!! もう大丈夫だッ!!
健太郎がギュッと右手の親指を立てると同時に、ゴブリン達から光の粒子が立ち登り、胸部装甲の下のスリットがフィーンと音を立てた。
「コッ、コホーッ!?」
あっ、コレってばッ!?
粒子はスリットに吸い込まれ、視界の端にあるローディングバーが右端迄貯る。
その瞬間、健太郎の体は眩い閃光を放った。
「グワッ、眩しいッ!?」
「そっ、そういえばミシマは魔物を倒すと光るんだったッ!!」
「クッ、目がッ!?」
「ひえっ、チカチカするッ!?」
「コホー……」
みんな、すまん……。
ゴブリンの群れが倒れた大広間、健太郎の発した呼吸音が仲間のうめき声の中、静かに響き渡った。
そんな訳で一行はパムの案内で街外れにある迷宮の入り口へとやって来ていた。
入り口は石造りの四角い建物でその周囲には兵士の詰め所らしき物が建てられており、入り口の前には兵士が二人、中に入る冒険者をチェックしている。
「次」
現在、魔物が溢れているという大魔導士の地下迷宮。
にもかかわらず入り口には冒険者パーティーの行列が出来ていた。
「よし次」
何組かのチェックを終え、ようやく健太郎達の番が回ってくる。
「ん? あんた達はフルメンバーじゃないな? 大丈夫なのか?」
「フルメンバーって、六人じゃなきゃ入れて貰えないのかい?」
「いや、そういう訳じゃないが……まぁ、あんた等がそれでいいってんなら俺達が口を出す事じゃない……クルベストの冒険者か……」
ミラルダが差し出したギルド証を確認した兵士は小さく呟き、手にした名簿にミラルダの名前を記すとギルド証をミラルダに返した。
「分かっているだろうが現在、迷宮は魔物の巣窟と化している。もしあんた等が迷宮で倒れても、そのギルド証を回収する事さえ困難な状況だ。それでも入るかね?」
「ああ、あたし等はダンジョン探索が目的じゃなくて、このダンジョンで行方不明になった冒険者の捜索が目的なんだ。入らないと仕事になんないよ」
「そうかい、まっ、命あっての物種だ。無理だと思うんならすぐに引き返すんだな。お仲間さんもギルド証を」
兵士は健太郎達にもギルド証の提示を求め、それぞれが差し出したギルド証に刻印された名前と所属を名簿に記していく。
「よし、これで全員だな。一応、一ヶ月、迷宮から出た記載の無い者は死亡、もしくは迷宮に飲まれたという事で所属ギルドに連絡が行く事になってる。だから迷宮から出た際は俺達に一声掛けてくれ」
「了解だよ」
「そんじゃあ、まぁ頑張ってくれ。次」
兵士は健太郎達を顎で促し、次の冒険者を呼んだ。
「コホー……」
典型的なお役所仕事だなぁ……。
「まぁ、こんだけいたらそうもなるさ」
そう言ってミラルダが振り向いた先、冒険者たちの行列は三十組程続いている。
「ふむ……逆に言えばこれだけ冒険者がいても迷宮内の魔物は狩り尽くせんという事か」
「あのねあのね、迷宮は凄く広いんだ。それに皆、目的の階層はそれぞれだから沢山いてもあんまり会う事はないんだよッ!」
グリゼルダの疑問にパムが即座に答える。
「とにかく、後ろもつっかえてるし潜るとしようか?」
「だな、久々に思い切り剣を振れそうだぜ」
ニヤッと笑みを浮かべるギャガンを横目に健太郎達はダンジョン「大魔導士の迷宮」へと足を踏み入れた。
■◇■◇■◇■
石の階段を降りた先、迷宮の地下一階は石造りの壁に囲まれた広大な空間だった。
ミラルダが杖に魔法の明かりを灯し、クニエダから貰った地図を頼りに迷宮を進む。
ちなみに地図は完璧では無かったのでマッピングが出来るというパムに渡していた。
「この先を左に折れると大広間があるよ。それでね、その大広間を超えるとソロ魔術師がいた場所みたい」
パムの言葉に従い街の大通りより広い通路を暫く歩き左に折れた先には、明かりの届かない暗い闇が広がっている。
ただ、健太郎にはその闇の先の大広間だという空間に、子供サイズで緑色の肌をしたいわゆる小鬼の姿がはっきりと見えていた。
「コホーッ?」
ミラルダ、通路の先にゴブリンが凄く一杯いるんだが?
「えっ? ミシマ、あんた見えるのかい?」
「コホーッ」
見えるよ。どうする?
「ゴブリンの群れねぇ……」
「どうしたミラルダ?」
「いや、ミシマがこっちの通路の先にゴブリンが一杯いるって言うからさ」
「ゴブリンか……ミシマ、何匹ぐらいだ?」
「コホーッ……」
何匹って、そうだな……うーん百匹以上はいると思うけど?
「百匹以上だってさ」
「百匹以上……流石にそんだけいると斬るつっても骨が折れるな。ミシマ、例の赤い光で薙ぎ払え」
「ええッ、ゴブリン百匹なんて殺されちゃうよッ! あいつ等、癖が悪くて女の子とか襲われて散々な目に遭わされた後、なぶり殺しにしちゃうんだよッ!」
健太郎達の事をまだよく知らないパムだけが酷く慌てた様子でブンブンと両手を振る。
「ふむ、では尚更、排除しておいた方がいいだろう……しかし赤い光だと迷宮の壁を破壊して、迷宮自体が崩壊する恐れがあるな……私が大規模魔法を使ってもいいが……」
「コホー……」
ビームは駄目か……うーん、もっと威力の弱いマシンガン的なモノがあればなぁ……。
そう考え、再び通路の先に目をやった健太郎の視界に、無数のターゲット表示が現れる。
「コホーッ!?」
なにこれ、なにこれッ!? 表示が多すぎてまともに先の景色が見えないんですけどッ!!
「何だよ、ミシマ? そんなに慌ててよぉ」
「コホーッ!!」
ギャガン、いや表示がね一杯出て、表示が七分で景色が三分なんだよぉ!!
健太郎はギャガンに必死で訴えるも、彼は「ん?」と首をかしげるのみ。
「何だい表示って?」
「コホー……」
よく分かんないけど……うぅ、コレってばもしかしてターゲットロック的な……。
「ミラルダ、ミシマに何が起きてんだ?」
「あたしにも分からないけど、表示が一杯出たってさ。ターゲットロック? とか言ってるねぇ」
「ターゲットロック? ……つまり標的を捉えたという事か?」
「捉えたんならぶちかましゃあいいじゃねぇか、ミシマ、サッサとやれよ」
「えっ、えっ? 何が起きるのッ!?」
「いいから見てろ、ミシマやれ」
慌てるパムにそう言うとギャガンは健太郎に顎をしゃくる。
「……コホー」
……分かった。どうなるか分かんないけどやってみる。
健太郎は通路の先、大広間へと視線を向け、意識を表示されたターゲットの一つへと向けた。
表示が白から赤へと変わり、なにやら文字が表示され点滅を繰り返す。
「コホー……コホーッ!!」
えーっと……取り敢えずファイアーッ!!
パシュッという軽い音と共に健太郎の頭部に二つ並んだ穴から何かが発射され、遠く大広間にいたゴブリンの頭が弾け飛んだ。
「コホー……」
ずっと謎だった穴の正体はコレだったのか……。
そんな健太郎の独白を他所に仲間が突然倒れた事でゴブリンたちは騒めき、キョロキョロと周囲を探り始める。
やがてそのゴブリンの一団の中の一人が健太郎達の姿を確認し「グギャァァァ!!」と叫び声を上げた。
「ワワッ、見つかっちゃったようッ!? 早く逃げようッ!!」
「落ち着けパム、ミシマ、標的は捉えてんだろ? んじゃ、後はやるだけだぜ」
「コッ、コホーッ」
わっ、分かった。
健太郎は表示された全ての表示に意識を向ける、視界全体が赤く染まり、その赤い表示は確実にこちらに向かって来ていた。
ゴブリン達の瞳は爛々と輝き、獲物を見つけた喜びに満ちている。
「コホー……コホーッ!!」
ゴブリン、お前達に直接的な恨みは無いが、女の子を襲うのは許せない……ミシバルカンッ!!
パパパパパッ!! 連続したそんな音が迷宮に鳴り響き、ゴブリン達は次々に頭を打ち抜かれた。
そして音が鳴りやんだ時には、ゴブリン達は一匹残らず迷宮の床に倒れていた。
ゴブリンの群れの掃討を確認した一行は大広間へと足を進める。
「うぉ、すげえなこりゃ……」
「信じられないよ……ゴブリンの群れが一瞬で……」
「コホー……」
うわぁ……コレじゃ虐殺じゃないか……。
身体の示したあまりの力に健太郎はショックを受け、その場にへたり込んでしまった。
そんな健太郎の肩にミラルダはそっと手を添える。
「ミシマ、あんたが優しいのは知ってる。けどゴブリン達は人を襲って肉を食べて、女を襲う魔物だよ……」
「その通りだ。お前が躊躇すれば、私もミラルダもパムもゴブリン達の慰み者になっていたかもしれん」
「うんうん、その通りだよミシマッ! だから落ち込まないでッ!」
「そうだぜ。魔物ってのは大体が俺達を餌として見てるからよぉ。遠慮はいらねぇぜ」
「…………コホーッ……」
…………そうだな……赤竜のいたダンジョンで魔物は散々倒して来たしな……すまん、人型って事と簡単に倒せすぎてしまって……少し凹んでしまったみたいだ。
健太郎は立ち上がると両頬をパンッと打ち気持ちを切り替えた。
目的は剣士ディランの捜索と救出、それを邪魔する者は排除する。色々、思う所はあるけど今はそれを優先しよう。
「ふぅ……大丈夫かいミシマ?」
「コホーッ!!」
うんッ!! もう大丈夫だッ!!
健太郎がギュッと右手の親指を立てると同時に、ゴブリン達から光の粒子が立ち登り、胸部装甲の下のスリットがフィーンと音を立てた。
「コッ、コホーッ!?」
あっ、コレってばッ!?
粒子はスリットに吸い込まれ、視界の端にあるローディングバーが右端迄貯る。
その瞬間、健太郎の体は眩い閃光を放った。
「グワッ、眩しいッ!?」
「そっ、そういえばミシマは魔物を倒すと光るんだったッ!!」
「クッ、目がッ!?」
「ひえっ、チカチカするッ!?」
「コホー……」
みんな、すまん……。
ゴブリンの群れが倒れた大広間、健太郎の発した呼吸音が仲間のうめき声の中、静かに響き渡った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる