学園最強と言われている術師に何故か好かれている

イケのタコ

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おまけ

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今回はレオン様の許しがあっただけ。今度、変なものを渡してみなさい。忠告じゃ済まないから」とまだ勘違いされたままカナリヤは走り去ってしまった。何度も言わせてもらうが、手紙の送り主は俺じゃない。

「さて、行こうか」
「どこに?」
「礼はすると言ったからね。俺の部屋になるけどいいかな」
「ようかんっ……」
「そうそう、羊羹あるから」

こういう甘い誘いには行かないのが鉄則なのだが、目の前で甘い物がぶら下がっているとなるとーーー、頭が途端に軽くなって決断が鈍る。

「じゃあ、こっち」

有無を言う前にレオンは、イーナの腕を引いて歩き出した。
あわあわと悩んでいるうちに小高い丘を越えて、知らない階段を登り、レオンの部屋の前に来ていた。

「どうぞ、中に」
「お邪魔しますー」

部屋の扉は開かれ手招きされるまま、イーナは奥へと入っていく。足元をついて来ていた黒兎も跳ねては部屋の中に入る。
一人と一匹を見届けてから、レオンは部屋の扉を閉めた。
部屋は、無駄物が一切置かれていない洗礼された綺麗な部屋だった。

「あそこに座って待ってて」

レオンが、指したのは窓際にある机と椅子。丸い机に対面になるよう二つの席があった。
そこに座れば窓から学園の外、綺麗な煉瓦の街並みを一望できた。
ゆったり休憩するには最高の場所である。
すると、黒兎が膝に飛んできては机に上り。鼻をヒクヒクとさせて窓に小さな前足を引っ付ける。まるで街を見ているように見えた。

「なんだ? 景色、見たかったのか」

黒兎はこちらを向いては頷いた。そのあまりにも人のような自然な反応にイーナは口を開け無言になる。

「お茶と羊羹もってきたよ……どうしたの? 驚いた顔をして」
「いえ、あの……あまりにも魔物が自然な反応をしたので」
「へー、それは。黒兎の知能は人間並みかもしれないね」

持ってきた金属のトレーから、羊羹とお茶を慣れた手つきで机に並べ、レオンはイーナと対面に座る。

「くっ、ようかんがめのまえに」
「どうぞ」
「いただきます!」

星が降り注ぐくらい目をキラキラとさせ、手を合わせてから小さなフォークを手に取り、羊羹を切り分ける。
音なく突き刺さるフォーク。プリンとはまた違う硬めの食感。そして、口の中に入れた瞬間、丁寧に濾された豆がじんわりと溶けていき上品な甘さが広がる。
うん、あまい。

「どう?」
「美味しいです。やっぱり、異国のお菓子はまた違って良いですね」
「それはよかった。ーーー黒兎の話の続きになるけいいかな」
「はい? 黒兎がどうしました」
「黒兎が黒兎でよかったと思うよ」

内容が掴めないイーナはフォークを咥えたまま頭を傾けた。

「そうだね。言ってしまえば、もし黒兎が角の生えた兎ではなく、人間の形をしていたとする。その場合、一匹……、たった一人だけでも被害の大きさは言わずとも分かるね」
「黒兎が人間と考えると」

考えたくない。
あの時の魔物同士の戦いを人間に置き換えると、更に悲惨な状況になることは聞き返さずとも魔術音痴でも理解できる。

「そうなれば、軍隊を持っているのと何も変わらない。君は国一つくらい簡単に支配して滅ぼせるだろうね」

「全部もしもの話だけど」と微笑する先輩。大袈裟な話だと笑いたいが、黒兎と一緒に練習してきたからこそ口が薄く開くだけで、口端が引き攣る。

「とにかく、このままが一番可愛いって事ですね。あっ、レオンさんも羊羹、どうぞ」

小さく切り分けた羊羹をフォークで刺しては、口元に差し出した。
差し出したのは良いが、レオンは食べることを躊躇っているようで、ーーーそこでイーナはとんでもない間違いをした事に気がついた。
これは、いつも弟にやっている事。目の前にはいるのは学園の先輩、配慮のかけらもない事をしてしまったと恥じる。
「すいません、なんでもないです」と腕をぎごちなく納めようとした時に、レオンに手首を掴まれる。

「うん、ありがとう」

掴んだ手首を自身引き寄せては、レオンは羊羹を食べた。

「どうもです?」

そう言うと「ふふっ」と嬉しそうに鼻でレオンは笑う。

「それより、羊羹をよく知っていたね。作られているのは遠い異国の方だと聞いているし、なかなか手に入りにくい物だから」
「……その、ですね。信じてもらえないと思うですが、弟が困っている人を助けたのですが、その人に逆に怒られて羊羹を貰ってきて、それから知りました」
「うん、どういうこと。というか、弟がいるんだね」

いつだったか。弟が学校から帰ってきたと思えば、穴が空いた菓子袋を持って帰ってきた。服も汚れ、明らかな事件性があった為に問い詰めてみると、街で絡まれている人を助けたと、後ろ頭を掻きながら白状する。
その末に少し押し問答となり菓子袋に穴が空いたらしい。助けた人も、楽しみにしていたぐちゃぐちゃになった羊羹にみて、弟に投げつけてどこかに行ったらしい。

「捨てるのも勿体無いからって持って帰ってきて、二人でぐちゃぐちゃの羊羹をつつきあったなー」
「弟君もなかなかだけど、助けた方もなかなかの人だったんだね」
「まぁ、弟が羊羹を盾にしたのが悪いんですけどね」
「……そう。もっと羊羹が奥にあるからお土産に持って帰ってよ。弟君にもお土産としてどうぞ」
「いいですかっ! 遠慮なく、もらいます」
「ほんと、良い返事だね」
 

先輩と二人のお茶会。なんだがお腹の辺りがいつもよりポカポカと熱を持っているような気がした。

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