フランス料理店パティシエ

ひまじん

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フランス料理店パティシエ

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ある所にパティシエという名前のフランス料理店がありました。

なんでも噂では、ちょっと…
いや、かなり変わったお店だけど、味はとても美味しいと評判なのです。

ある日、毎日の献立を考える事にちょっと疲れてしまったママが、パパに言いました。
「ねぇ、パパ?たまには外に食べに行きましょうよ。」
パパもうなずきます。
「うん、そうだね。じゃあ、パティシエに行こう。」
「あの噂のお店?」
「そうだよ。どんな風に変わってるのか見るのも面白そうだし、味はとても美味しいと言うじゃないか。一つ行ってみよう。」


こうしてパパとママと、子供の陸くんと佳奈ちゃんを連れて、フランス料理店パティシエに行きました。

まずはお店に入って消毒っと…

するとお店のマスターが飛んできました。
「ダメ!お客様、ダメですよ!」

パパはマスターに聞きます。
「何がダメなんだい?ちゃんと消毒したよ?」

マスターは怒りながら言います。
「頭を消毒してないじゃないですか!」

みんなビックリします。
「頭!?」

仕方なく頭を消毒すると、またマスターが言います。
「足もですよ。」

またまたみんなビックリ。
パパは思います。
「変わってるっていうのは手も、頭も、足も消毒させる事だったのか。」

ようやくテーブルにつくと注文しました。
パパはお店の店員さんに聞きました。
「なんでこんなに消毒させるんだい?」
店員さんは答えます。
「全部、料理の為ですよ。料理にバイ菌が入ったら大変じゃありませんか。」
「前に食中毒を起こしたとか…?」
「逆ですよ。一度もそんな事はありません。」
「でも、こんなに消毒しなくても…?」
「皆さん、そうおっしゃいます。でもこのお店では、これが普通なんです。」

パパはつぶやきました。
「普通…ねぇ。」

しばらくすると料理がやってきました。
パパもママも、陸くんも佳奈ちゃんもお腹ぺこぺこです。

一口食べてビックリ!
それはもう口では言い表せないくらい美味しいのです。
あれも!
これも!
それも!
どの料理もとても美味しいです。

パパも納得しました。
「こんなに美味しい料理にバイ菌が入ったら大変だ。二度と食べれなくなる…。」

そこにお店のマスターがやってきます。
「理解して頂けましたか?」
パパもうなずきます。
「理解したとも。」
「お客様は初めて来たのでしょう?次からも消毒をお願いしますよ。」


それからというもの、パパの家ではお外に食べに行く時は、必ずパティシエです。
パパが
「外へ食べに行こう。」
と言うと、陸くんも佳奈ちゃんも
「パティシエ!」
と大声で言うほどでした。

ママもお昼ご飯にお友達とパティシエに行く事が多くなりました。

噂はどんどん広がって、毎日パティシエにはお客様がいっぱいです。

ある時なんて、マスターがお店を閉めてまで、お店まるごと消毒したほどでした。
それも噂になりました。


そして、いつものようにパパが
「パティシエに行くぞ。」
と言ってお店に入った時に事件が起こりました。

なんとパティシエにゴキブリが出たのです。

みんな大騒ぎです。
なんとかゴキブリは退治したものの、マスターはすっかり気を落としてしまいました。
「ハハ…。ウチでゴキブリが出るなんて…。もうおしまいだ…。ハハ…。」

マスターが元気を無くしていると、店員さんが一人の男を突き出してきました。
「違いますよ、マスター。コイツです。この男がゴキブリを持ち込んだのです。」

男はパティシエのライバル店の店長でした。
「お前の店のせいでウチの店はつぶれそうなんだ。へへっ、ざまぁみろってんだ。」
マスターはガッカリします。
「そんなぁ…。」

落ち込んでるマスターに代わり、パパがおまわりさんを呼んで、男を捕まえてもらいました。

でも、マスターはまだ元気がありません。
「こんなにお店が汚れては、お客様に料理を出すなんて、とてもじゃないですが出来ません。」
お客様みんなが顔を見合わせます。
「よし!みんなで消毒しよう!」

そう決まると、誰一人文句も言わずに協力しあって消毒します。

陸くんも佳奈ちゃんもお手伝いします。
「消毒、消毒っと。」

マスターはポロポロ泣きます。
「ありがとうございます…。ありがとうございます…。」

こうしてパティシエは前以上にキレイになり、ますます繁盛しました。


~完~
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