記臆

ナナ

文字の大きさ
1 / 1

幼少期

しおりを挟む

私の記憶は、児童公園の公衆トイレ内から始まる。

首からさげてる鍵の紐で自ら首を絞めている記憶だ。
今思えば、幼い頃から自傷癖があったのだろう。ある種、自慰行為のようなものだったのかもしれない。とさえ思っている。

家に帰れば祖父と母が喧嘩をしている。母方の祖父だが、関係は最悪。
お互いに早く死ねばいいと思っているに違いない。

何事もないかのように自室へ向かう。この二人の喧嘩なら、ほっとけばすぐに終わる。

問題は、仕事だと嘘をついて出かけている父(あいつ)が、もうじき帰ってくるってこと。

我が家は、祖父、両親、弟の5人家族だが、父に女がいるのを知らない者はいない。恐らく飼い猫のキキも知っているだろう。

バレてないと思って、手土産を片手に帰ってくるのが馬鹿みたいだ。


父は、母の再婚相手。つまり私は連れ子、弟とは異父姉弟(きょうだい)ということになる。

それを知ることになったのは、学校の道徳の授業で母子手帳が必要になり、探したときのこと。

父の名前の欄に、知らない人の名前。
一緒に暮らしている父の名前ではなかった。

1歳の時、性格の不一致での離婚だったらしいが、今となってはその理由も本当であったのかはわからない。

だが、その事実が判明したことで合点が行くこともあった。

父は、幼い私をストレスを解消するための玩具(どうぐ)として扱った。蹴られ殴られ、そんなの日常茶飯事だった。

スクーターのヘルメットで殴られた時には、流石に頭から血が出て、自分は死んでしまうんだ。とさえ思った。

殴られるだけならまだよかった。

父はやたらと一緒に風呂に入りたがった。その事実を知るまでは、普通の事だと思っていた。でも違った。そういうのが好みだったのだろう。

寝るときはいつも隣で寝かせられた。が好きだったから嬉しかった。父も、として私のことを好きでいてくれてるのだと。

だから毎晩、下着の中に手が伸びてくることも、寝間着の上から撫で回されることもだと思っていた。


数年経って、母は父から別れを切り出され離婚した。私としては、赤の他人で気味の悪い趣味を持つ、父と離れられて心から嬉しかった。だが、そこから母は変わってしまった。

父を愛していた母は、前夫との子供である私が、憎かったのだろう。

お前は誰だ。なぜ家にいる。
死んでしまえ。
私から父を奪ったのはお前だ。


毎日罵られた。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

遊び人の侯爵嫡男がお茶会で婚約者に言われた意外なひと言

夢見楽土
恋愛
侯爵嫡男のエドワードは、何かと悪ぶる遊び人。勢いで、今後も女遊びをする旨を婚約者に言ってしまいます。それに対する婚約者の反応は意外なもので…… 短く拙いお話ですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。 このお話は小説家になろう様にも掲載しています。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

処理中です...