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11.決闘①
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ある昼休み、イアンとレイは食堂で平和に昼食を取っていた。
食事中はいつも通り、レイが授業の内容や王都でのニュースなどといった話題を投げ、それに対してイアンが適当に相槌を打つ。
そんな日常の光景であったが、そこに人影が近づき、イアンの前で足を止めた。
「食事中に失礼しますわ。貴方がイアンで間違いないですか?」
イアンが食事の手を止めて振り向くと、いかにも貴族らしいオーラを纏った女子生徒が立っていた。
制服のピンバッジは一年生のもので、イアンたちとは違うクラスの生徒のようだった。
イアンはレイに声を抑えて話しかける。
「こいつ誰だ?」
「知らないのかい?彼女、入学式で代表挨拶していたんだけど」
「…記憶にないな。で、結局のところ誰なんだ?」
「セシリア・ベレスフォード。ベレスフォード公爵家の御令嬢で、文武両道の才女だって有名だよ。イアン、彼女に何かしたの?」
「さあ?身に覚えはないけどな…」
「貴方たち、こそこそと話すのは止めてくださる?」
イアンたちの会話にセシリアが口を挟む。
少し苛立っているいるようで、こめかみにうっすらと青筋が浮かんでいた。
追い返すのは無理そうだとイアンは観念して、セシリアに返答する。
「俺がイアンだけど、何の用なんだ?」
そう問いかけると、セシリアはビシッとイアンを指差す。
そして、食堂に響き渡る声で高らかに宣言した。
「わたくし、セシリア・ベレスフォードはイアンに決闘を申し込みます!」
「……は?」
突然の申し出にイアンは呆気にとられる。
理解が追いつかないイアンに代わって、レイが口を開いた。
「決闘だって?本気で言っているのかい?」
「ええ。わたくしは冗談は言いません」
「そうか…イアン、無理に受ける必要はないよ」
「余計な口を挟まないでほしいのですが?」
「僕は彼の友だちだ。助言くらいはいいだろう?」
「決闘を受けるかどうか決めるのは彼自身ではないですか?」
イアンを放って、レイとセシリアが言い合いを始める。
セシリアの声が大きかったため、食堂にいた他の生徒からも注目を集めていた。
二人の言い争いを見て逆に冷静になったイアンは、この面倒な状況を早く終わらせようと口を開く。
「二人とも待ってくれ。まず、決闘って何のことなんだ?」
「聞いたことがないかな?この学園には決闘制度というものがあるんだ」
「何だそれ?」
「揉め事に決着を付けるときや相手に要求を呑ませたいときに生徒同士で勝負するんだよ。その方法は剣術でも学問でも、勝敗が決まるものなら何でもいいんだ」
「絶対に受けないといけないのか?」
「いや、決闘の成立には、両者の合意と勝負方法の指定、教師の立ち会いが必要だから、絶対ではないはずだけど…」
「じゃあ、俺は決闘を受けない」
「なっ!?逃げるというの!?」
イアンの宣言にセシリアはわめき立てる。
貴族の間では、挑まれた決闘を断ることは恥とされていた。
だが、平民のイアンには関係ない。
「理由が必要か?一つ、俺に決闘を受けるメリットがない。二つ、お前の相手をするのがめんどくさい。三つ、昼飯の邪魔をするな。以上だ」
そう言い放ち、イアンは食事を再開する。
セシリアに付き合ったせいで、料理は冷めてしまっていた。
イアンに粗雑にあしらわれ、セシリアはわなわなと震え出す。
「わたくしを侮辱しているのですか!?」
「うるさいなあ。いい加減にしてくれ。そもそも、どうして俺に決闘を申し込むんだ?お前と話す以前に、会ったこともないよな?」
「それは…貴方がギルバート先生を独占するからですわ!」
「……ん?」
イアンはセシリアが何を言っているのかまったく理解できなかった。
思わずレイを見るが、レイも同じような反応をしている。
そんな二人に構わず、セシリアは続けた。
「ギルバート先生がどういう御方かはご存じ?イレース戦線での大勝、ワイバーンの単独討伐、反乱貴族の制圧、功績を挙げればキリがありませんわ。そして、誉れ高い王室騎士団の副団長を立派に勤め上げ、国内外にその名を轟かせておりますのよ。それ程の御方がわたくしを差し置いて、貴方のような下賎な平民に目をかけられるのはおかしいとは思いません?大人しくギルバート先生から離れて、わたくしに譲りなさい」
「それは言い過ぎ…!」
「レイ、落ち着け」
セシリアに抗議しようとしたレイをイアンは止めた。
そして、食事をしながら、セシリアに話しかける。
「要するにお前が言いたいのは、ギルバート先生に構ってもらえる俺に嫉妬しているということか?」
「なっ…!」
イアンの問いかけにセシリアは顔を赤くする。
どうやら図星だったようだ。
「くだらない。そんなに構ってほしければ、自分から頼めばいいだろ。アホか、お前」
「こ、公爵家のわたくしをアホ呼ばわりとは不敬ですわ!」
「不敬って、この学園じゃ身分は関係ないんだろ?公爵家だとか持ち出して、恥ずかしくないのか?」
「…っ!」
イアンの言葉に、セシリアは耳まで真っ赤になる。
セシリアは恥ずかしさか怒りかで全身が震えていた。
「レイ、行こうぜ。この後、図書室に寄りたいんだ」
「あ、うん。分かった」
食事を終えたので、イアンたちは立ち上がる。
「お待ちなさい!」
「何だよ?決闘は受けないって言っただろ?」
「貴方、わたくしに負けるのが怖いのかしら?」
「…それは挑発のつもりか?ガキの方がもっと上手くやるぞ」
イアンはそう煽り返して、その場を去ろうとする。
「…恥知らず!腰抜け!意気地なし!」
セシリアはイアンの背中に罵倒を浴びせ始めた。
イアンは無視を決め込んでいたが、セシリアはなりふり構わず続ける。
「決闘から逃げるなんて臆病者のやることですわ!そんな貴方の家族も友人も師匠も、どうせ大した人間ではないのでしょうね!」
セシリアから放たれた言葉に、イアンは足を止めた。
イアンには自分がどんな顔をしているかは分からない。
ただ、その顔を見たレイは青ざめていた。
イアンはゆっくりと息を吐き出し、セシリアに向き合った。
「…いいだろう。その決闘受けてやる」
「ふん、ようやく分かったよう…」
「ただし、やるからには只じゃ済まさない。覚悟しておけ」
そう吐き捨て、イアンは食堂を後にした。
食事中はいつも通り、レイが授業の内容や王都でのニュースなどといった話題を投げ、それに対してイアンが適当に相槌を打つ。
そんな日常の光景であったが、そこに人影が近づき、イアンの前で足を止めた。
「食事中に失礼しますわ。貴方がイアンで間違いないですか?」
イアンが食事の手を止めて振り向くと、いかにも貴族らしいオーラを纏った女子生徒が立っていた。
制服のピンバッジは一年生のもので、イアンたちとは違うクラスの生徒のようだった。
イアンはレイに声を抑えて話しかける。
「こいつ誰だ?」
「知らないのかい?彼女、入学式で代表挨拶していたんだけど」
「…記憶にないな。で、結局のところ誰なんだ?」
「セシリア・ベレスフォード。ベレスフォード公爵家の御令嬢で、文武両道の才女だって有名だよ。イアン、彼女に何かしたの?」
「さあ?身に覚えはないけどな…」
「貴方たち、こそこそと話すのは止めてくださる?」
イアンたちの会話にセシリアが口を挟む。
少し苛立っているいるようで、こめかみにうっすらと青筋が浮かんでいた。
追い返すのは無理そうだとイアンは観念して、セシリアに返答する。
「俺がイアンだけど、何の用なんだ?」
そう問いかけると、セシリアはビシッとイアンを指差す。
そして、食堂に響き渡る声で高らかに宣言した。
「わたくし、セシリア・ベレスフォードはイアンに決闘を申し込みます!」
「……は?」
突然の申し出にイアンは呆気にとられる。
理解が追いつかないイアンに代わって、レイが口を開いた。
「決闘だって?本気で言っているのかい?」
「ええ。わたくしは冗談は言いません」
「そうか…イアン、無理に受ける必要はないよ」
「余計な口を挟まないでほしいのですが?」
「僕は彼の友だちだ。助言くらいはいいだろう?」
「決闘を受けるかどうか決めるのは彼自身ではないですか?」
イアンを放って、レイとセシリアが言い合いを始める。
セシリアの声が大きかったため、食堂にいた他の生徒からも注目を集めていた。
二人の言い争いを見て逆に冷静になったイアンは、この面倒な状況を早く終わらせようと口を開く。
「二人とも待ってくれ。まず、決闘って何のことなんだ?」
「聞いたことがないかな?この学園には決闘制度というものがあるんだ」
「何だそれ?」
「揉め事に決着を付けるときや相手に要求を呑ませたいときに生徒同士で勝負するんだよ。その方法は剣術でも学問でも、勝敗が決まるものなら何でもいいんだ」
「絶対に受けないといけないのか?」
「いや、決闘の成立には、両者の合意と勝負方法の指定、教師の立ち会いが必要だから、絶対ではないはずだけど…」
「じゃあ、俺は決闘を受けない」
「なっ!?逃げるというの!?」
イアンの宣言にセシリアはわめき立てる。
貴族の間では、挑まれた決闘を断ることは恥とされていた。
だが、平民のイアンには関係ない。
「理由が必要か?一つ、俺に決闘を受けるメリットがない。二つ、お前の相手をするのがめんどくさい。三つ、昼飯の邪魔をするな。以上だ」
そう言い放ち、イアンは食事を再開する。
セシリアに付き合ったせいで、料理は冷めてしまっていた。
イアンに粗雑にあしらわれ、セシリアはわなわなと震え出す。
「わたくしを侮辱しているのですか!?」
「うるさいなあ。いい加減にしてくれ。そもそも、どうして俺に決闘を申し込むんだ?お前と話す以前に、会ったこともないよな?」
「それは…貴方がギルバート先生を独占するからですわ!」
「……ん?」
イアンはセシリアが何を言っているのかまったく理解できなかった。
思わずレイを見るが、レイも同じような反応をしている。
そんな二人に構わず、セシリアは続けた。
「ギルバート先生がどういう御方かはご存じ?イレース戦線での大勝、ワイバーンの単独討伐、反乱貴族の制圧、功績を挙げればキリがありませんわ。そして、誉れ高い王室騎士団の副団長を立派に勤め上げ、国内外にその名を轟かせておりますのよ。それ程の御方がわたくしを差し置いて、貴方のような下賎な平民に目をかけられるのはおかしいとは思いません?大人しくギルバート先生から離れて、わたくしに譲りなさい」
「それは言い過ぎ…!」
「レイ、落ち着け」
セシリアに抗議しようとしたレイをイアンは止めた。
そして、食事をしながら、セシリアに話しかける。
「要するにお前が言いたいのは、ギルバート先生に構ってもらえる俺に嫉妬しているということか?」
「なっ…!」
イアンの問いかけにセシリアは顔を赤くする。
どうやら図星だったようだ。
「くだらない。そんなに構ってほしければ、自分から頼めばいいだろ。アホか、お前」
「こ、公爵家のわたくしをアホ呼ばわりとは不敬ですわ!」
「不敬って、この学園じゃ身分は関係ないんだろ?公爵家だとか持ち出して、恥ずかしくないのか?」
「…っ!」
イアンの言葉に、セシリアは耳まで真っ赤になる。
セシリアは恥ずかしさか怒りかで全身が震えていた。
「レイ、行こうぜ。この後、図書室に寄りたいんだ」
「あ、うん。分かった」
食事を終えたので、イアンたちは立ち上がる。
「お待ちなさい!」
「何だよ?決闘は受けないって言っただろ?」
「貴方、わたくしに負けるのが怖いのかしら?」
「…それは挑発のつもりか?ガキの方がもっと上手くやるぞ」
イアンはそう煽り返して、その場を去ろうとする。
「…恥知らず!腰抜け!意気地なし!」
セシリアはイアンの背中に罵倒を浴びせ始めた。
イアンは無視を決め込んでいたが、セシリアはなりふり構わず続ける。
「決闘から逃げるなんて臆病者のやることですわ!そんな貴方の家族も友人も師匠も、どうせ大した人間ではないのでしょうね!」
セシリアから放たれた言葉に、イアンは足を止めた。
イアンには自分がどんな顔をしているかは分からない。
ただ、その顔を見たレイは青ざめていた。
イアンはゆっくりと息を吐き出し、セシリアに向き合った。
「…いいだろう。その決闘受けてやる」
「ふん、ようやく分かったよう…」
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