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悪意の巣窟
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バサバサバサー!
登校して、教室について、授業前にとトイレに行って戻ってきた俺が、授業の準備のために机に手を突っ込んだ瞬間、大小様々な紙が勢い良く落ちて来た。
「……は?」
「真尋、大丈夫?」
「散らばった」
「ああ、うん、そうだね」
イラっとして、膝に乗っていた紙を捲ると真っ赤なインクでB5サイズの用紙にデカデカと『死ね』と書いてあった。
それにさらに苛立って違う紙を拾うと、『お前なんか相応しくない!』だの、『別れろ!』だの好き勝手な言葉が目に入る。倖人も拾いながら見ているようで、「うわぁ…」と引きつった声を漏らしてるから、同じように罵詈雑言が書いてあるんだろうなぁ。
「全部燃やしてやる」
適当に集めて机に積み上げた紙を腕に抱え立ち上がる。恐らくはこのクラスの奴らも参戦してるだろうし、俺は周りを睨み付けながら教室の扉を足で開け飛び出した。
「え、ちょ、真尋! 待って待って!」
「うっせぇ! こんな事されて俺が黙ってられると思うか!」
「思わないけど! どこで燃やす気!?」
「知らん! けど燃やす!」
「真尋ー!」
あー、クソ! アイツのせいでマジで散々な目にしか遭わねぇ!
別にこれくらいはどうって事ねぇよ? でもな、高校生になってまでこんなガキくせぇ事してんじゃねぇよって話!
さすがに物隠されたりしたら遠慮なく仕返しはするけど、こんなもんはゴミ箱に捨てるより燃やした方がスッキリする。
焼却炉とかねぇのか、この学校。
「僕ー、ここは三年生の棟だよー」
「あ?」
現在進行形で虫の居所が悪い俺に揶揄するような声がかけられ、怒りのままに振り向くとニヤニヤと気持ち悪い顔をしている野郎が二人腕を組んで立ってた。茶髪と濃い茶髪。
うわ、適当に走り回ってたら三年棟にまで来ちまったのかよ。アイツに見つかんねぇうちに戻んないと。
「あれ、ってかコイツあれじゃね? 会長の」
「……ああ! オモチャ!」
「ちっげぇよ、ペットだよ」
ああ、はいはい。そんなノリウザイだけだから。大体、俺はアイツのオモチャでもペットでも恋人でもねぇんだ。
無視して燃やせる場所を探しに行こうとした俺の肩を、茶髪野郎が掴んで止める。
「……離してくれませんかねぇ?」
「俺らにも愛想良く尻尾振ってくれよ」
「アイツに振った覚えもねぇわ!」
「おーおー、狂犬かよ」
「生意気なペットだな。会長サマのために躾ねぇと…なぁ?」
壁に押し付けられ紙が何枚か落ちる。結構な力だったから背中痛いし、紙抱えてる腕も怠くなって来たし、俺のイライラゲージがどんどん上がってく。
「ふっざけんな! 俺はこれを燃やしに行くんだよ! 離せ!」
「何これ。……ぶはっ、お前嫌われてんなー」
「俺のせいじゃねぇ!」
「可哀想になぁ。モテモテの会長サマに目ぇ付けられて」
「もうヤった?」
「何をだよ!」
俺だってこんな事されたくないし、むしろ友達は欲しいんだ!
どうにか引き剥がそうとするけど、悲しいかな体格差と力の差と二対一の状況に為す術がない。
どいつもこいつも、この学校にいる奴はろくでもねぇのばっかだな!
「……あれ? これ…」
「何? ……へぇ、何だ、ヤる事ヤってんじゃん」
「だから何をだよ!」
「こんなんつけてて知らないとかそりゃねぇだろ」
制服の襟元がグイッと広げられ首から鎖骨のとこが剥き出しになる。女の子じゃないし別に見られても恥ずかしくもないけど、コイツらがジロジロ見てくるのが気に食わない。
何言ってんのかも分かんねぇし、もうすぐ本鈴鳴るし。
「あのさー、俺はこれを燃やしに行きたいんだよ。アンタらに構ってる暇ねーの!」
「どこで燃やすつもりなんだよ」
「どっかにはあるだろ、燃やせる場所」
「ねぇだろ、馬鹿かコイツ」
「はぁ?」
カッチーン。もうさ、マジで何なの? 俺が何した?
アイツにあんな宣言されてから腹立つ事のオンパレードなんだけど。
「なぁ、俺らにも振れよ」
「何を!」
「ケツ。会長サマにも可愛く振ってんだろ? アンアン鳴きながらさぁ」
「こんだけ顔可愛けりゃ俺も抱けるわ」
馬鹿なのか、コイツらは。何で俺がアイツに尻尾どころかケツ振んなきゃなんねぇんだよ。
っつか何、俺に欲情してんの? キモいんだけど。
眉尻を上げて怒鳴りつけようとした俺のケツが無遠慮に撫でられ、気持ち悪さで鳥肌が立った。
「てっめ…触んな! このクソ変態野郎!」
人が抵抗出来ないのをいい事に!
だけどそう声を上げた瞬間、茶髪の拳が振り上げられ俺の顔の横にある壁を殴った。ビクッとして目を瞑った俺は、突然の暴力に言葉を失う。
え、普通に手ぇ上げるじゃん。
「俺ら先輩だぜ? あんま生意気な口利いてると、優しく出来なくなるけどいいの?」
「そうそう、いい子にしてねぇと痛いよー?」
こんなん脅しだろ! そう言いたいけど、さっきの躊躇いなく奮われた拳に身が竦む。
俺は口は悪いし負けん気強いけど、暴力だけは駄目なんだ。痛いし、怖いじゃん。直接殴られた事はないけど、それに近い事は何度も遭ってるから分かるんだ。
「はは、急に物分り良くなった」
「可愛い~」
「…っ……」
顔が近付きビクッとする。コイツらは人を殴る事を何とも思ってない。俺がちょっとでも抵抗すれば遠慮なく手を上げてくるだろうからどうしても口ごもってしまう。
正直怖い。
「じゃ、あっち行こっか~」
肩を抱かれつんのめりながら歩き出した時、ガァン!! と物凄く大きな音がして三人共に体が跳ね上がった。
なんだなんだと振り向いた濃い茶髪の頭がガシッと誰かの手に掴まれる。
「ひっ……か、会長…っ」
「え…?」
茶髪の怯えた声に驚いて後ろを見上げると、それはもうとんでもなく怖い顔をした廉がギリギリと濃い茶髪の頭を締め付けながら立ってた。
「何してやがる」
「い、いや、あの…」
「っ…何もしてねぇって…!」
「こんだけ怯えさせといて何もしてねぇは通用しねぇんだよ」
「いってぇ! 離せ…っ、頭割れる…!」
うわぁ、本当に痛そう。コイツの頭がどうなろうと俺には関係ないんだけど、万が一グロテスクな展開になっても困るため、茶髪の手が離れたのをいい事に廉へと体当たりする。
勢いはつけてないから廉はよろけもしなかったけど、俺を見下ろすなりパッと手を離してぐちゃぐちゃになったままの襟を直してくれた。
「あ…サンキュ」
「何もされてねぇの?」
「されてねぇよ。…殴られそうにはなったけど」
「……殺す」
アイツらに腹が立ってたから告げ口みたいに言えば途端に廉の目がつり上がった。一歩足を踏み出すと茶髪がその分後退る。濃い茶髪は掴まれてた頭を押さえてしゃがみ込んでるから、よっぽど痛かったんだと思う。
「廉」
「…………何だ」
「俺、これ燃やしたいんだけど、どっかない?」
いい加減抱えているのも疲れて来た俺は、アイツらなんてもうどうでもいいとばかりに話を変える。廉は訝しんだ後、束から一枚抜いて見るなり溜め息を零した。
「お前これ…」
「あ、俺気にしてねぇから。こんな幼稚園児みたいな嫌がらせに屈するほど弱くねぇからな?」
「………」
むしろこれくらいなら全然いい。コソコソ悪口言われるよりはまだハッキリしてるからな。
落ちていた紙も拾い廉を見上げると、紙の束を全部取り上げられた。
「あ、おい」
「これは俺がどうにかしとく。お前は教室戻れ」
「え、でも…」
「いいから。……もう平気か?」
長くて節榑た指が俺の頬を撫でる。そういえば、いつの間にか強張っていた体から力が抜けてた。
コイツが来たから? ……何で?
「大、丈夫……」
「そうか。何かあったら俺に言えよ。〝恋人〟なんだから」
そうは言うけど、俺は廉を恋人だとは思っていない。っつか、この学校独自の風習で恋人になるって何だよ。
恋人ってのはこう、好き同士がお互いの気持ちを知ってやっとくっつくもんだろ? その場で「俺のもんになれ」って言って来たコイツが俺を好きとか有り得ねぇし、俺もそういう意味では好きじゃない。
俺はふいっと視線を逸らし一年棟の方へ足を向けると、顔だけ振り返って廉に向かってべっと舌を出した。それを見た廉は一瞬呆けた後ふっと笑い、長い腕を伸ばして俺の頭をくしゃっと撫でる。
「気を付けて戻れよ」
「お前も、その紙ちゃんと燃やしとけよ」
「分かった分かった」
軽くあしらわれムッとしながらも、すでに本鈴が鳴った後のため俺は急いで戻る事にした。
その背中を、見えなくなるまで廉が見ていた事も知らないで。
登校して、教室について、授業前にとトイレに行って戻ってきた俺が、授業の準備のために机に手を突っ込んだ瞬間、大小様々な紙が勢い良く落ちて来た。
「……は?」
「真尋、大丈夫?」
「散らばった」
「ああ、うん、そうだね」
イラっとして、膝に乗っていた紙を捲ると真っ赤なインクでB5サイズの用紙にデカデカと『死ね』と書いてあった。
それにさらに苛立って違う紙を拾うと、『お前なんか相応しくない!』だの、『別れろ!』だの好き勝手な言葉が目に入る。倖人も拾いながら見ているようで、「うわぁ…」と引きつった声を漏らしてるから、同じように罵詈雑言が書いてあるんだろうなぁ。
「全部燃やしてやる」
適当に集めて机に積み上げた紙を腕に抱え立ち上がる。恐らくはこのクラスの奴らも参戦してるだろうし、俺は周りを睨み付けながら教室の扉を足で開け飛び出した。
「え、ちょ、真尋! 待って待って!」
「うっせぇ! こんな事されて俺が黙ってられると思うか!」
「思わないけど! どこで燃やす気!?」
「知らん! けど燃やす!」
「真尋ー!」
あー、クソ! アイツのせいでマジで散々な目にしか遭わねぇ!
別にこれくらいはどうって事ねぇよ? でもな、高校生になってまでこんなガキくせぇ事してんじゃねぇよって話!
さすがに物隠されたりしたら遠慮なく仕返しはするけど、こんなもんはゴミ箱に捨てるより燃やした方がスッキリする。
焼却炉とかねぇのか、この学校。
「僕ー、ここは三年生の棟だよー」
「あ?」
現在進行形で虫の居所が悪い俺に揶揄するような声がかけられ、怒りのままに振り向くとニヤニヤと気持ち悪い顔をしている野郎が二人腕を組んで立ってた。茶髪と濃い茶髪。
うわ、適当に走り回ってたら三年棟にまで来ちまったのかよ。アイツに見つかんねぇうちに戻んないと。
「あれ、ってかコイツあれじゃね? 会長の」
「……ああ! オモチャ!」
「ちっげぇよ、ペットだよ」
ああ、はいはい。そんなノリウザイだけだから。大体、俺はアイツのオモチャでもペットでも恋人でもねぇんだ。
無視して燃やせる場所を探しに行こうとした俺の肩を、茶髪野郎が掴んで止める。
「……離してくれませんかねぇ?」
「俺らにも愛想良く尻尾振ってくれよ」
「アイツに振った覚えもねぇわ!」
「おーおー、狂犬かよ」
「生意気なペットだな。会長サマのために躾ねぇと…なぁ?」
壁に押し付けられ紙が何枚か落ちる。結構な力だったから背中痛いし、紙抱えてる腕も怠くなって来たし、俺のイライラゲージがどんどん上がってく。
「ふっざけんな! 俺はこれを燃やしに行くんだよ! 離せ!」
「何これ。……ぶはっ、お前嫌われてんなー」
「俺のせいじゃねぇ!」
「可哀想になぁ。モテモテの会長サマに目ぇ付けられて」
「もうヤった?」
「何をだよ!」
俺だってこんな事されたくないし、むしろ友達は欲しいんだ!
どうにか引き剥がそうとするけど、悲しいかな体格差と力の差と二対一の状況に為す術がない。
どいつもこいつも、この学校にいる奴はろくでもねぇのばっかだな!
「……あれ? これ…」
「何? ……へぇ、何だ、ヤる事ヤってんじゃん」
「だから何をだよ!」
「こんなんつけてて知らないとかそりゃねぇだろ」
制服の襟元がグイッと広げられ首から鎖骨のとこが剥き出しになる。女の子じゃないし別に見られても恥ずかしくもないけど、コイツらがジロジロ見てくるのが気に食わない。
何言ってんのかも分かんねぇし、もうすぐ本鈴鳴るし。
「あのさー、俺はこれを燃やしに行きたいんだよ。アンタらに構ってる暇ねーの!」
「どこで燃やすつもりなんだよ」
「どっかにはあるだろ、燃やせる場所」
「ねぇだろ、馬鹿かコイツ」
「はぁ?」
カッチーン。もうさ、マジで何なの? 俺が何した?
アイツにあんな宣言されてから腹立つ事のオンパレードなんだけど。
「なぁ、俺らにも振れよ」
「何を!」
「ケツ。会長サマにも可愛く振ってんだろ? アンアン鳴きながらさぁ」
「こんだけ顔可愛けりゃ俺も抱けるわ」
馬鹿なのか、コイツらは。何で俺がアイツに尻尾どころかケツ振んなきゃなんねぇんだよ。
っつか何、俺に欲情してんの? キモいんだけど。
眉尻を上げて怒鳴りつけようとした俺のケツが無遠慮に撫でられ、気持ち悪さで鳥肌が立った。
「てっめ…触んな! このクソ変態野郎!」
人が抵抗出来ないのをいい事に!
だけどそう声を上げた瞬間、茶髪の拳が振り上げられ俺の顔の横にある壁を殴った。ビクッとして目を瞑った俺は、突然の暴力に言葉を失う。
え、普通に手ぇ上げるじゃん。
「俺ら先輩だぜ? あんま生意気な口利いてると、優しく出来なくなるけどいいの?」
「そうそう、いい子にしてねぇと痛いよー?」
こんなん脅しだろ! そう言いたいけど、さっきの躊躇いなく奮われた拳に身が竦む。
俺は口は悪いし負けん気強いけど、暴力だけは駄目なんだ。痛いし、怖いじゃん。直接殴られた事はないけど、それに近い事は何度も遭ってるから分かるんだ。
「はは、急に物分り良くなった」
「可愛い~」
「…っ……」
顔が近付きビクッとする。コイツらは人を殴る事を何とも思ってない。俺がちょっとでも抵抗すれば遠慮なく手を上げてくるだろうからどうしても口ごもってしまう。
正直怖い。
「じゃ、あっち行こっか~」
肩を抱かれつんのめりながら歩き出した時、ガァン!! と物凄く大きな音がして三人共に体が跳ね上がった。
なんだなんだと振り向いた濃い茶髪の頭がガシッと誰かの手に掴まれる。
「ひっ……か、会長…っ」
「え…?」
茶髪の怯えた声に驚いて後ろを見上げると、それはもうとんでもなく怖い顔をした廉がギリギリと濃い茶髪の頭を締め付けながら立ってた。
「何してやがる」
「い、いや、あの…」
「っ…何もしてねぇって…!」
「こんだけ怯えさせといて何もしてねぇは通用しねぇんだよ」
「いってぇ! 離せ…っ、頭割れる…!」
うわぁ、本当に痛そう。コイツの頭がどうなろうと俺には関係ないんだけど、万が一グロテスクな展開になっても困るため、茶髪の手が離れたのをいい事に廉へと体当たりする。
勢いはつけてないから廉はよろけもしなかったけど、俺を見下ろすなりパッと手を離してぐちゃぐちゃになったままの襟を直してくれた。
「あ…サンキュ」
「何もされてねぇの?」
「されてねぇよ。…殴られそうにはなったけど」
「……殺す」
アイツらに腹が立ってたから告げ口みたいに言えば途端に廉の目がつり上がった。一歩足を踏み出すと茶髪がその分後退る。濃い茶髪は掴まれてた頭を押さえてしゃがみ込んでるから、よっぽど痛かったんだと思う。
「廉」
「…………何だ」
「俺、これ燃やしたいんだけど、どっかない?」
いい加減抱えているのも疲れて来た俺は、アイツらなんてもうどうでもいいとばかりに話を変える。廉は訝しんだ後、束から一枚抜いて見るなり溜め息を零した。
「お前これ…」
「あ、俺気にしてねぇから。こんな幼稚園児みたいな嫌がらせに屈するほど弱くねぇからな?」
「………」
むしろこれくらいなら全然いい。コソコソ悪口言われるよりはまだハッキリしてるからな。
落ちていた紙も拾い廉を見上げると、紙の束を全部取り上げられた。
「あ、おい」
「これは俺がどうにかしとく。お前は教室戻れ」
「え、でも…」
「いいから。……もう平気か?」
長くて節榑た指が俺の頬を撫でる。そういえば、いつの間にか強張っていた体から力が抜けてた。
コイツが来たから? ……何で?
「大、丈夫……」
「そうか。何かあったら俺に言えよ。〝恋人〟なんだから」
そうは言うけど、俺は廉を恋人だとは思っていない。っつか、この学校独自の風習で恋人になるって何だよ。
恋人ってのはこう、好き同士がお互いの気持ちを知ってやっとくっつくもんだろ? その場で「俺のもんになれ」って言って来たコイツが俺を好きとか有り得ねぇし、俺もそういう意味では好きじゃない。
俺はふいっと視線を逸らし一年棟の方へ足を向けると、顔だけ振り返って廉に向かってべっと舌を出した。それを見た廉は一瞬呆けた後ふっと笑い、長い腕を伸ばして俺の頭をくしゃっと撫でる。
「気を付けて戻れよ」
「お前も、その紙ちゃんと燃やしとけよ」
「分かった分かった」
軽くあしらわれムッとしながらも、すでに本鈴が鳴った後のため俺は急いで戻る事にした。
その背中を、見えなくなるまで廉が見ていた事も知らないで。
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