人気アイドルになった美形幼馴染みに溺愛されています

ミヅハ

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番外編

【中編】小旅行

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 夕方までデートしてたくさん写真撮ってお土産も買って。途中で声をかけられることが多々ありつつも楽しんだオレたちは旅館に戻って室内露天風呂に入ってた。
 歩き疲れた身体に温泉の温かさが染み渡る。

「はー…最高…」
「ね。湯加減も丁度いいし」

 檜の浴槽の縁に腕を乗せてだらんとしてたオレはまだ明るい空を見上げて息を吐いた。露天風呂なのに人の声がしなくて、時々鳥の鳴き声とか葉の擦れる音が聞こえるくらいだから物凄く落ち着く。
 力が抜けてベタっと頬を腕にくっつけて目を閉じてると、水面が揺れて水音がしたと同時にお腹に真那の腕が回され抱き寄せられた。
 後ろ向きで真那の膝の間に座る事になり少し戸惑う。

「温泉っていいね。お風呂にあんまり一緒に入ってくれないヒナと入れるし、広いから何でも出来る」
「家のお風呂だって広いだろ。ってか、ここでは何もするな」
「何もって……ヒナ、何を想像したの?」
「へ!? や、そ、想像なんか…」

 しまった墓穴を掘ったか。
 意地の悪い笑みを浮かべる真那からさっと目を逸らし膝を抱える。
 これじゃあオレがそんな事ばっかり考えてるみたいじゃんか。

「ヒナ、こっち向いて」
「……やだ」
「可愛い」

 お湯に浸かっているのとは別の意味で赤くなってる顔を見られたくなくて首を振ったら、項に唇が触れピクッと肩が跳ねた。そのまま何度もキスされるのはいいんだけど、静かな空間に音が響いて恥ずかしい。

「…ん…っ」
「ヒナ」

 時々吸われて出そうになる声を押さえていると、優しい声で呼ばれ少しの間のあとおずおずと振り向く。柔らかく微笑んだ真那と目が合い、息を吐いたオレは膝を抱えたまま横向きになり寄り掛かった。
 いつも思うけど、真那ってオレを宥めるのが上手いよな。

「明日は早めにチェックアウトしてどこか行く?」
「んー、近場に何かあったっけ?」
「一時間くらい車走らせたら遊園地あるよ」
「行きたい、けど。…絶対大変な事になるだろうなぁ…」
「周りなんて気にしなくていいんだよ。恋人とデートしに来てるだけなんだから」

 その恋人が目立って仕方ないんだけど。
 でも確かに真那の言う通り、他の人たちみたいにデートしてるだけなんだから周りに遠慮する必要はない…よな。

「じゃあ遊園地行きたい」
「うん、行こう」

 凭れていた身体を起こし真那を見上げて頷くと、同じように頷いてくれた真那の顔が近付きキスされる。
 触れるだけだったのがだんだんと舌を絡ませ合うキスになり、気持ち良さと湯気で逆上せてしまって真那がアタフタしてたのはちょっと面白かった。

 ちなみに甘やかすと宣言された通り、浴衣を着せて貰ったオレは食事も真那の膝の上で手ずから食べさせられ、手や足のマッサージまでされてしまった。でも、これでもまだ足りないらしい。
 真那の甘やかしの範囲ってどのくらい広いんだ?




 朝早めに起きたオレたちは身支度を整え、朝ご飯を食べてからチェックアウトし、車に乗り込むとさっそく遊園地へと向かった。
 どうにか開演前には到着したけど、入場口前には平日にも関わらずそれなりに人がいて列が出来てる。えーっと、チケット売り場は…。

「ヒナ、こっち」
「? チケットは?」
「昨日のうちにネットで買っておいた」
「さすが文明の利器」

 いや、ホント便利だな。
 オレは入場口の列に向かおうとする真那の手を握りスマホの画面を覗き込む。へぇ、QRコードなんだ。

「え…ちょっとあれ…」
「…嘘。【soar】の真那じゃん」
「え、え、待って。何でいるの? 撮影?」

 前に並んでた高校生っぽい女の子四人組のうちの一人が、後ろの子に話し掛けようとして振り向き真那に気付いて呆然とする。真那は背が高いから、どこに並んでも頭が飛び出てんだよな。しかもナチュラルに真那だからそりゃまぁバレますよね。
 ちなみにオレは一般男性よりは低いので埋もれてるから、あの子たちからは見えてないようだ。

「でも一人っぽくない?」
「さすがにそれはないでしょ」
「生真那だぁ…」
「待って、もう少しちゃんとメイクすれば良かった…!」

 聞こえてるだろうにピクリとも反応しないのさすがだな。
 でも、いくら見えないとはいえ一人だと判断されるのはナンパの恐れがあるから、少しでも気付いて貰えるよう真那の腕に身を寄せるとその手が肩に回り抱き寄せられた。
 チラチラ見ていた人たちも「あ」って顔をして慌てて顔を逸らしてる。

「ま、真那…」
「人がたくさんいるからはぐれないようにしないと」

 当たり障りない理由をつけてくれたけど、たぶんオレの為なんだろうなぁ。胸がギュッとして真那の腰元に抱き着くと肩に触れてた手で頭を撫でられた。

「か、彼氏くんと一緒だったんだ…」
「わー、ラブラブだぁ」
「普通にデートしてる」
「そりゃ恋人ならするでしょ」

 は、早く開園時間にならないかな。恥ずかしすぎる。
 オレはあちこちから感じる視線を、真那の胸元に顔を埋め目を瞑る事で必死に耐えてた。
 そんなオレの行動に真那は嬉しそうだったけど。


 それでも中に入れば恥ずかしかった事も忘れるくらい楽しくて、オレはいつになくはしゃいでるって自分でも分かった。

「こういう、如何にもな遊園地って久し振りだな」
「そうだね。懐かしい」
「どこ行く?」
「ヒナはどこ行きたい?」

 真那が入口で貰った園内マップを広げて見せてくれる。ジェットコースターとかメリーゴーランドとかの定番の乗り物から、子供でも楽しめるような緩い乗り物まであって親子連れも充分遊べそうだ。
 真那絶叫系苦手だし、大人しめのにしようかな。

「お化け屋敷行く?」
「…喧嘩売ってるのか?」
「冗談だよ」

 よりにもよって一番選びたくない場所をチョイスされじろりと真那を睨む。
 俺は心霊番組は見れても、ホラー映画とお化け屋敷は死ぬほど嫌いだ。あのびっくりさせられるのが物凄く嫌なんだよ。
 真那だってびっくり系ダメなくせに。

「決めた。ジェットコースター行く」
「ヒナは意地悪だなぁ」
「真那が言うか」

 最初にお化け屋敷云々言ってきたのは誰だ、まったく。でも真那を一人にするのは色んな意味で危ないから絶叫系は完全除外だ。
 一番近くにあるのは…サイクルモノレールか。高いところは二人とも大丈夫だからよさそう。

「あれにしよ」
「ジェットコースターはいいの?」
「真那が乗れないものに一人で乗ったってつまんないだろ? それに、真那とならどんな乗り物でも楽しいから」

 真那の手を引き列の最後尾に向かう。園内を一周してる感じらしく結構距離あるっぽい。

「……ホント、嬉しい事ばっかり言ってくれるよね」

 サイクルモノレールの看板を見てたオレは、周りが賑やかなのもあり真那がそんな事を呟いたなんて気付かなかった。


 なかなかにスリリングだったサイクルモノレールを降りたオレと真那は次はコーヒーカップに乗った。グルグル回してちょっと気持ち悪くなったりしたけど楽しくて、時々写真を撮りつつ他の乗り物にも乗って、絶叫系とお化け屋敷以外はあと少しで制覇するくらい楽しんだ。
 少し休憩しようかと売店の列に並んだんだけど、いきなり真那が俺の肩を抱き寄せ目を瞬く。

「?」
「ヒナが楽しそうで嬉しいなって」
「すっごく楽しい。真那は?」
「俺も楽しいよ。ヒナが笑ってくれるだけで幸せになる」
「真那がいればオレはずっと笑ってられるから、真那はずっと幸せだな」
「ヒナ」

 昔からオレが楽しいって思えるのは真那の隣にいる時だけだった。友達はいても、真那といる方が幸せだったし。
 いつも真那がオレを笑顔にしてくれてたんだ。

「うん、ずっと傍にいるよ」

 柔らかく微笑んだ真那はオレの左手を取り指輪の嵌った薬指に口付けると、そう言って肩を抱く力を強め耳元で「大好きだよ」って囁いてくれた。
 オレの顔が熱くなったのは言うまでもない。





~おまけ・列にいたモブの心境~

(甘~…)
(何この可愛いカップル!)
(マナヒナ推せる…!)
(あー、ホント今日来て良かったー!)
(真那くん可愛い~)
(リア充滅べ!)

 この日、再び〝マナ×ヒナ〟というワードがトレンド入りし、新しい扉を開いた人が多数いたとかいないとか。
 知らぬは本人たちばかりなり。
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