7 / 25
6
しおりを挟む
宿を出発して早三時間。
「ねぇ、あれから町どころか村も見当たらないんだけど?」
「この辺りは一大穀倉地なので、町や村はちょっと離れてるんです。この道は作物を植えたり、収穫時に運ぶための道路なんです」
そんなことを話していると大きな道が横に走っていた。
「ここを曲がって領都に向かうの?」
「いいえ、この大きな道を使って集積地の町へ運ぶんです。そして、その町で商人たちが買付を行います。領都は品物は多いですけど、この先の町の方が作物を保管する大きな倉庫もあって大きいですよ」
「何故そこを領都にしなかったのでしょうか?」
「……元々、領都が今の場所にあったからだと思います。この先の町には代官がいて、価格の管理も大体はその人がやってくれてますから、どちらも領地にとっては重要な場所ですね」
良いことを聞いたわ。そいつの素性や素行も調べておかないとね。邪魔をされてはたまったものじゃないわ。
「テレサ、代官もリストに追加しといて」
「はい」
全く、いつになったら薔薇色生活が訪れることやら。それから二時間もかけてようやく領都についた。
「これもう昼って言っても終わってるわよね。どんだけ遠いのよ! しかも、この先って山があるだけで未開拓だし、やっぱり領都の場所自体がおかしいわ」
「流石に私もこれは擁護が難しいですね。通り道はほぼ村だけでいきなり町になるなんて」
「……やっぱりですか。私も侯爵領に入ってから街道沿いに一定の距離で町があるって聞いて、うちがおかしいのかなとは思ったんです」
「とにかくまずはご飯ね。食べないとやってられないわ」
「ではお邸までの道を案内します」
「いいわ、そんなの後で。今優先すべきは街の状態の確認なんだから、その辺の店に入りましょう」
そう言って、テレサも連れて店に入っていく。店はちょっとした貴族でも入れるような作りでセンスも中々だ。
「いらっしゃいませ」
へぇ、執事っぽい恰好で迎えたと思ったら仕草もそれっぽい。貴族からは別邸みたいな感じ、平民からは貴族気分を味わえるってことかしら。料理を注文して運ばれてきた物を一口食べてみる。
「うん? これは……」
「隣の地区で取れた野菜に我が領で栽培された桃を使用したサラダです」
いやそれは分かってる。分かってるんだけど……。
「ケイト、あの倉庫のある町ってなんていう名前?」
「クレーヒルです」
「じゃあ、これはクレーヒルから届いたものを使用しているのですね」
店員に聞こえないように都市の名前を聞いてから質問する。
「左様でございます」
……呆れた。隣の地区で取れた野菜すら集積地のクレーヒルを経由して領都に来ているだなんて。普通は領都の消費分くらい融通させるでしょうに。この鮮度の落ちた野菜をこの町では我が領で取れたものですと貴族に出すのだろうか? この店の姿勢も良くないけれど、食材の流通を動かすことはできないだろうから、ある意味まだここは言うだけ誠実よね。
「イリス様何か?」
「いいえ、流石は食料生産に力を入れている領地だと思っただけよ」
まあ、食事自体はなかなか良かったし、この店にあれこれ言っても仕方ないわね。
「それじゃあ、食事も済んだし邸に向かって」
「はい」
そうして馬車を走らせること十五分で邸に着いた。普通この規模の領地なら二十分はかかるはずだけど……。ん? 何で詳しいかって? お見合いするには相手の領地に行くことも必要なのよ。
「ここが邸です」
「ここ? 豪華すぎない?」
それは伯爵家でも稀なほど豪華な作りだった。ちなみにうちの領地では到底無理なレベルだ。
「あの時の収入で作ったので……」
「そりゃ、恨みも買うわ」
人が飢えに苦しんでる中、目の前にこんなもん建てられりゃあね。大工とかからも噂は広まっただろうし。
「誰だ、ここは領主様の屋敷だぞ!」
馬車の紋章も見ずに上から目線減点一。
「あの、私です」
「ケ、ケイトさまでしたか。何用で?」
主の家族。しかも、格上の家に嫁いだのに用事をわざわざ聞く。減点一。
「先触れを出していたのですが、お父様や兄さまにお話があって……」
「分かりました。確認してまいります」
顔すら知っている相手にただのマニュアル対応。減点一。
「確認いたしました。先ほど文の方が来たばかりとのことです。どうぞお入りください」
取次ぎをしただけか! そこは領主がすぐ対応できるように話をしてるんだろうな……。
「こちらでございます」
通された客間には案の定、誰もいなかった。いやいや、何のために知らせに行ったんだ。それより私が誰かも気づいてない。ケイトと一つ席、空けられてるんだけど。確かにケイトが侯爵夫人で私はただの侯爵令嬢だけど、元の家格を考えたらおかしいでしょ!
「おう、ケイト。よく帰ってきたな! よもや侯爵様に捨てられでもしてはいないだろうな?」
横柄な態度にでっぷりとした体つき、終わってるわ。結婚三条件を満たしててもこれは考えるわね。
「今日はそれとは別で……」
「ほう? よく見れば奥にいる女はなかなかの見栄えだな。さてはわしに紹介しに来たのか?」
「なっ、イリス様はそのような目的で連れてきてはいません!」
急にケイトが大声を出すからちょっとびっくりした。こんなに声を張り上げたりもするのね。
「い、イリス? まさか、侯爵様の娘か。だが、生まれの素性も知れぬというではないか。別に構わんだろう?」
こ、こいつ……許さん!
「あら、子爵様ともあろうものが侯爵家に盾突くおつもりですか? 私自身はただの令嬢とはいえ隣にいるのは侯爵夫人ですよ?」
「ふん! ケイトは我が子爵家の娘だ」
「私たちは結婚すればその家に入るもの。もはやケイトは子爵の道具ではなくて、侯爵家を預かる身です。そのような無礼を働けばただではすみませんよ!」
「ぐっ、それでケイト、何しに来たのだ!」
私からの反撃を受けて話題を逸らす子爵。あの件をさておいてもろくな親じゃないわね。
「は、はい。兄さまに会いに来たのですが、お父様にも聞いていただきたいことがあって……」
「なに、侯爵様からの追加援助か? 待っていろ」
何もまだ言っていないのに勝手に決めつけて、子爵は息子を呼びに行った。
「ちょっと、待ってください父上。話が分かりません」
「いいから来い!」
無理やりに連れてこられたのがケイトの『兄さま』なのだろう。
「それで、アレンを連れてきたがどういった話だ。ケイト?」
「それが、お話はイリス様からなのですが……」
ちらりとケイトが私の方を見る。これまでのやり取りからどうなるか心配なのだろう。
「では、イリス嬢だったかな。説明を」
「ええ、まずは我が侯爵家の話になってしまうのですが、引退が決まっているとはいえ、侯爵が子爵家の娘を後妻に迎え、さらにはその見返りとして子爵に援助をしたと噂になっております」
「噂などではなく事実だぞ。そんなこともやつらは知らんのか?」
普通そういうのは隠すんだよ! 金で婚姻を取り付けられるなんてこっちにはメリットがないの。花街の身請けじゃないんだよ!
「それなのですが、他の貴族から金で身請けのように引き取って、侯爵家には後妻以外何も残らないとなれば、侮られかねないという話しが親族より上がっているのです」
「そ、それは侯爵様も納得されているはずだ!」
お金の話しになったからか焦りだす子爵。これはもうかなり手を付けているな。
「ですが、このまま醜聞のように付きまとうのは侯爵家としては容認できません。そこで、お互いの子息子女を婚姻させることで、貴族たちに交換条件として成立させたという事ではどうかと話が上がっているのです……」
私という一人の親族からの話だけどね。本当はまだ嫌だけど、話しをしに来て提案ゼロっていうのは私の沽券に関わるし。
「ふむ、なるほどな。しかし、それでは我が方は追加で条件を飲むという形になるが……」
「そこはこちらも考えてあります。聞けばこの邸はもう七年も前の建物というではありませんか。侯爵家が新たな邸を建設しますので、そちらに移られるのはいかがです?」
「ほう、確かにこの邸も安くはなかったからな。新しく建ててもらえるならありがたい」
「それと道中お聞きしましたが、クレーヒルの町には代官を立てられているとか。子爵もこれを機に領都の運営も代官に任せてみてはどうでしょう? 我が侯爵家が責任をもって紹介しますよ。そうすれば新しい邸で悠々自適に暮らせますわ」
「ほほう、侯爵家お墨付きの代官か。いいだろう! してそれはすぐに行えるものなのか?」
「建設については早速、取り掛かりたいのですが、貴族邸の建て替えとなれば、陛下に知らせるべきだと思われます。幸いにも私は何度か会わせていただいておりますので、こちらから取り次げばスムーズにいくかと」
「そうかそうか! 馬鹿どもが騒ぎ立てた時は面倒になったと思ったが、侯爵様のおかげでわしも運が向いてきたわい。ああ、アレンとは適当に話しておいてくれ。そちらはわしには関係ないのでな」
「そうですわね。では、書類を持ってきているのでサインをお願いします」
「ああ、別室で書いて渡す。執事に持ってこさせるから後は自由にしろ」
そういうとガハハと笑いながら子爵は去っていった。後に残されたアレン? はとても気まずそうだ。
「ねぇ、あれから町どころか村も見当たらないんだけど?」
「この辺りは一大穀倉地なので、町や村はちょっと離れてるんです。この道は作物を植えたり、収穫時に運ぶための道路なんです」
そんなことを話していると大きな道が横に走っていた。
「ここを曲がって領都に向かうの?」
「いいえ、この大きな道を使って集積地の町へ運ぶんです。そして、その町で商人たちが買付を行います。領都は品物は多いですけど、この先の町の方が作物を保管する大きな倉庫もあって大きいですよ」
「何故そこを領都にしなかったのでしょうか?」
「……元々、領都が今の場所にあったからだと思います。この先の町には代官がいて、価格の管理も大体はその人がやってくれてますから、どちらも領地にとっては重要な場所ですね」
良いことを聞いたわ。そいつの素性や素行も調べておかないとね。邪魔をされてはたまったものじゃないわ。
「テレサ、代官もリストに追加しといて」
「はい」
全く、いつになったら薔薇色生活が訪れることやら。それから二時間もかけてようやく領都についた。
「これもう昼って言っても終わってるわよね。どんだけ遠いのよ! しかも、この先って山があるだけで未開拓だし、やっぱり領都の場所自体がおかしいわ」
「流石に私もこれは擁護が難しいですね。通り道はほぼ村だけでいきなり町になるなんて」
「……やっぱりですか。私も侯爵領に入ってから街道沿いに一定の距離で町があるって聞いて、うちがおかしいのかなとは思ったんです」
「とにかくまずはご飯ね。食べないとやってられないわ」
「ではお邸までの道を案内します」
「いいわ、そんなの後で。今優先すべきは街の状態の確認なんだから、その辺の店に入りましょう」
そう言って、テレサも連れて店に入っていく。店はちょっとした貴族でも入れるような作りでセンスも中々だ。
「いらっしゃいませ」
へぇ、執事っぽい恰好で迎えたと思ったら仕草もそれっぽい。貴族からは別邸みたいな感じ、平民からは貴族気分を味わえるってことかしら。料理を注文して運ばれてきた物を一口食べてみる。
「うん? これは……」
「隣の地区で取れた野菜に我が領で栽培された桃を使用したサラダです」
いやそれは分かってる。分かってるんだけど……。
「ケイト、あの倉庫のある町ってなんていう名前?」
「クレーヒルです」
「じゃあ、これはクレーヒルから届いたものを使用しているのですね」
店員に聞こえないように都市の名前を聞いてから質問する。
「左様でございます」
……呆れた。隣の地区で取れた野菜すら集積地のクレーヒルを経由して領都に来ているだなんて。普通は領都の消費分くらい融通させるでしょうに。この鮮度の落ちた野菜をこの町では我が領で取れたものですと貴族に出すのだろうか? この店の姿勢も良くないけれど、食材の流通を動かすことはできないだろうから、ある意味まだここは言うだけ誠実よね。
「イリス様何か?」
「いいえ、流石は食料生産に力を入れている領地だと思っただけよ」
まあ、食事自体はなかなか良かったし、この店にあれこれ言っても仕方ないわね。
「それじゃあ、食事も済んだし邸に向かって」
「はい」
そうして馬車を走らせること十五分で邸に着いた。普通この規模の領地なら二十分はかかるはずだけど……。ん? 何で詳しいかって? お見合いするには相手の領地に行くことも必要なのよ。
「ここが邸です」
「ここ? 豪華すぎない?」
それは伯爵家でも稀なほど豪華な作りだった。ちなみにうちの領地では到底無理なレベルだ。
「あの時の収入で作ったので……」
「そりゃ、恨みも買うわ」
人が飢えに苦しんでる中、目の前にこんなもん建てられりゃあね。大工とかからも噂は広まっただろうし。
「誰だ、ここは領主様の屋敷だぞ!」
馬車の紋章も見ずに上から目線減点一。
「あの、私です」
「ケ、ケイトさまでしたか。何用で?」
主の家族。しかも、格上の家に嫁いだのに用事をわざわざ聞く。減点一。
「先触れを出していたのですが、お父様や兄さまにお話があって……」
「分かりました。確認してまいります」
顔すら知っている相手にただのマニュアル対応。減点一。
「確認いたしました。先ほど文の方が来たばかりとのことです。どうぞお入りください」
取次ぎをしただけか! そこは領主がすぐ対応できるように話をしてるんだろうな……。
「こちらでございます」
通された客間には案の定、誰もいなかった。いやいや、何のために知らせに行ったんだ。それより私が誰かも気づいてない。ケイトと一つ席、空けられてるんだけど。確かにケイトが侯爵夫人で私はただの侯爵令嬢だけど、元の家格を考えたらおかしいでしょ!
「おう、ケイト。よく帰ってきたな! よもや侯爵様に捨てられでもしてはいないだろうな?」
横柄な態度にでっぷりとした体つき、終わってるわ。結婚三条件を満たしててもこれは考えるわね。
「今日はそれとは別で……」
「ほう? よく見れば奥にいる女はなかなかの見栄えだな。さてはわしに紹介しに来たのか?」
「なっ、イリス様はそのような目的で連れてきてはいません!」
急にケイトが大声を出すからちょっとびっくりした。こんなに声を張り上げたりもするのね。
「い、イリス? まさか、侯爵様の娘か。だが、生まれの素性も知れぬというではないか。別に構わんだろう?」
こ、こいつ……許さん!
「あら、子爵様ともあろうものが侯爵家に盾突くおつもりですか? 私自身はただの令嬢とはいえ隣にいるのは侯爵夫人ですよ?」
「ふん! ケイトは我が子爵家の娘だ」
「私たちは結婚すればその家に入るもの。もはやケイトは子爵の道具ではなくて、侯爵家を預かる身です。そのような無礼を働けばただではすみませんよ!」
「ぐっ、それでケイト、何しに来たのだ!」
私からの反撃を受けて話題を逸らす子爵。あの件をさておいてもろくな親じゃないわね。
「は、はい。兄さまに会いに来たのですが、お父様にも聞いていただきたいことがあって……」
「なに、侯爵様からの追加援助か? 待っていろ」
何もまだ言っていないのに勝手に決めつけて、子爵は息子を呼びに行った。
「ちょっと、待ってください父上。話が分かりません」
「いいから来い!」
無理やりに連れてこられたのがケイトの『兄さま』なのだろう。
「それで、アレンを連れてきたがどういった話だ。ケイト?」
「それが、お話はイリス様からなのですが……」
ちらりとケイトが私の方を見る。これまでのやり取りからどうなるか心配なのだろう。
「では、イリス嬢だったかな。説明を」
「ええ、まずは我が侯爵家の話になってしまうのですが、引退が決まっているとはいえ、侯爵が子爵家の娘を後妻に迎え、さらにはその見返りとして子爵に援助をしたと噂になっております」
「噂などではなく事実だぞ。そんなこともやつらは知らんのか?」
普通そういうのは隠すんだよ! 金で婚姻を取り付けられるなんてこっちにはメリットがないの。花街の身請けじゃないんだよ!
「それなのですが、他の貴族から金で身請けのように引き取って、侯爵家には後妻以外何も残らないとなれば、侮られかねないという話しが親族より上がっているのです」
「そ、それは侯爵様も納得されているはずだ!」
お金の話しになったからか焦りだす子爵。これはもうかなり手を付けているな。
「ですが、このまま醜聞のように付きまとうのは侯爵家としては容認できません。そこで、お互いの子息子女を婚姻させることで、貴族たちに交換条件として成立させたという事ではどうかと話が上がっているのです……」
私という一人の親族からの話だけどね。本当はまだ嫌だけど、話しをしに来て提案ゼロっていうのは私の沽券に関わるし。
「ふむ、なるほどな。しかし、それでは我が方は追加で条件を飲むという形になるが……」
「そこはこちらも考えてあります。聞けばこの邸はもう七年も前の建物というではありませんか。侯爵家が新たな邸を建設しますので、そちらに移られるのはいかがです?」
「ほう、確かにこの邸も安くはなかったからな。新しく建ててもらえるならありがたい」
「それと道中お聞きしましたが、クレーヒルの町には代官を立てられているとか。子爵もこれを機に領都の運営も代官に任せてみてはどうでしょう? 我が侯爵家が責任をもって紹介しますよ。そうすれば新しい邸で悠々自適に暮らせますわ」
「ほほう、侯爵家お墨付きの代官か。いいだろう! してそれはすぐに行えるものなのか?」
「建設については早速、取り掛かりたいのですが、貴族邸の建て替えとなれば、陛下に知らせるべきだと思われます。幸いにも私は何度か会わせていただいておりますので、こちらから取り次げばスムーズにいくかと」
「そうかそうか! 馬鹿どもが騒ぎ立てた時は面倒になったと思ったが、侯爵様のおかげでわしも運が向いてきたわい。ああ、アレンとは適当に話しておいてくれ。そちらはわしには関係ないのでな」
「そうですわね。では、書類を持ってきているのでサインをお願いします」
「ああ、別室で書いて渡す。執事に持ってこさせるから後は自由にしろ」
そういうとガハハと笑いながら子爵は去っていった。後に残されたアレン? はとても気まずそうだ。
80
あなたにおすすめの小説
「最高の縁談なのでしょう?なら、かわってあげたら喜んでくれますよね!」
みっちぇる。
恋愛
侯爵令嬢のリコリスは20歳。立派な嫁きおくれである。
というのも、義母がなかなかデビューさせてくれないのだ。
なにか意図を感じつつも、周りは義母の味方ばかり。
そん中、急にデビュタントの許可と婚約を告げられる。
何か裏がある――
相手の家がどういうものかを知り、何とかしようとするリコリス。
でも、非力なリコリスには何も手段がない。
しかし、そんな彼女にも救いの手が……?
白い結婚で結構ですわ。殿下より、私の自由のほうが大事ですので
鍛高譚
恋愛
「第二王子との婚約? でも殿下には平民の恋人がいるらしいんですけど?
――なら、私たち“白い結婚”で結構ですわ。お好きになさってくださいな、殿下」
自由気ままに読書とお茶を楽しむのがモットーの侯爵令嬢・ルージュ。
ある日、突然“第二王子リオネルとの政略結婚”を押しつけられてしまう。
ところが当の殿下は平民の恋人に夢中で、
「形式上の夫婦だから干渉しないでほしい」などと言い出す始末。
むしろ好都合とばかりに、ルージュは優雅な“独身気分”を満喫するはずが……
いつしか、リナという愛人と妙に仲良くなり、
彼女を巡る宮廷スキャンダルに巻き込まれ、
しまいには婚約が白紙になってしまって――!?
けれどこれは、ルージュが本当の幸せを掴む始まりにすぎなかった。
自分を心から大切にしてくれる“新しい旦那様”候補が現れて、
さあ、思い切り自由に愛されましょう!
……そして、かの王子様の結末は“ざまぁ”なのか“自業自得”なのか?
自由気ままな侯爵令嬢が切り開く、
“白い結婚破談”からの痛快ざまぁ&本当の恋愛譚、はじまります。
公爵閣下、社交界の常識を学び直しては?
碧井 汐桜香
ファンタジー
若い娘好きの公爵は、気弱な令嬢メリシアルゼに声をかけた。
助けを求めるメリシアルゼに、救いの手は差し出されない。
母ですら、上手くやりなさいと言わんばかりに視線をおくってくる。
そこに現れた貴婦人が声をかける。
メリシアルゼの救いの声なのか、非難の声なのか。
夫婦という名の協力者、敵は令嬢
にゃみ3
恋愛
齢十二歳にして公爵夫人となった、セレスティア。
常に命を狙われる危険と、露骨な敵意に晒される立場。
同年代の令嬢たちからは妬みと侮蔑を向けられ、年長の貴婦人たちからは距離を置かれる。
そんな生活を送り始めて、早くも六年が経った頃。
「私、公爵様とお近づきになりたいんです!」
夫に好意を寄せる、自らが公爵夫人の座に就きたいと言い出した令嬢が現れて……。
黒く爛れた世界でたった二人の幼い夫婦が、どれほど苦しい思いをして生きてきたか。それは、当人である二人にしか分からないことだ。
99番目の花嫁 ~呪われた王の秘密と異世界の陰謀~
星森 永羽
恋愛
王に嫁いだその日、リツカに与えられたのは質素な部屋と死の予感。
──これまで王の花嫁となった98人は、すでに全員死亡。
「王は呪われている」と噂される中、99番目の花嫁として選ばれたのが、平民の少女リツカだった。
だが彼女には、誰にも明かしていない秘密がある。
それは、“日本”から転生してきたということ。
そして、彼女の知識が、王国の運命を大きく変えていく──。
⚠️本作はAIが生成した文章を、一部に使っています。
王位は更新制です ―失効した王太子は選ばれ直す―
しおしお
恋愛
「王位は、永久ではありません。三年ごとに更新されます」
この王国では、王位も王太子の地位も“期限付き”。
契約を守れなければ、たとえ王家の血を引いていても――失効。
ある日、王太子ルシアンは外交契約の期限を軽んじたことで、公の場で王位継承権を失う。
それは断罪でも陰謀でもなく、ただ“規則通り”の失効だった。
そして彼の前に立ったのは、監査を担当する公爵令嬢レティシア。
「感情では判断いたしません。基準で判断いたします」
冷静で、揺るがず、例外を許さない令嬢。
彼女は王太子に半年間の再審査期間を与える。
失効した王太子は、再び選ばれる資格を得られるのか。
王位は血統か、それとも継続か。
やがて制度は王国そのものを変え、
王と王妃でさえ“更新対象”となる新しい時代が始まる。
これは、断罪の物語ではない。
失敗から始まる再評価の物語。
王位も、結婚も、愛も――
選ばれ続ける覚悟がなければ、続かない。
更新制王国で紡がれる、静かなざまあと成熟の恋愛政治劇。
『婚約破棄されたので王太子女となります。殿下より上位です』
鷹 綾
恋愛
「君は王太子妃に相応しくない」
その一言で、私は婚約を破棄されました。
理由は“真実の愛”。選ばれたのは、可憐な令嬢。
……ええ、どうぞご自由に。
私は泣きません。縋りません。
なぜなら——王家は、私を手放せないから。
婚約は解消。
けれど家格、支持、実務能力、そして民の信頼。
失ったのは殿下の隣の席だけ。
代わりに私は、王太子女として王政補佐の任を命じられます。
最初は誰もが疑いました。
若い、女だ、感情的だ、と。
ならば証明しましょう。
怒らず、怯えず、排除せず。
反対も忠誠も受け止めながら、国を揺らさずに保つことを。
派手な革命は起こしません。
大逆転も叫びません。
ただ、静かに積み上げます。
そして気づけば——
“殿下の元婚約者”ではなく、
“揺れない王”と呼ばれるようになるのです。
これは、婚約破棄から始まる静かな逆転譚。
王冠の重みを受け入れた一人の女性が、
国を、そして自分の立場を塗り替えていく物語です。
触れれば石。魔女にされた公爵令嬢は、王国の価値を塗り替える
ふわふわ
恋愛
「触れれば石になりますわ。それでもお触れになりますか?」
公爵令嬢レフィリアは、ある日突然“触れたものを石に変える力”を持ったとして、王太子から魔女の烙印を押され、婚約を破棄される。
名誉も立場も奪われ、追放。
けれど彼女は気づく。
この力は呪いではない。
――ただの“法則”だと。
素手で触れれば石になる。
だが、境界を守れば問題は起きない。
さらに彼女は知る。
石は、選べる。
強く念じれば、望んだ種類の石へと変わることを。
宝石にも。
やがて王国は凶作に見舞われ、国庫は逼迫。
一方、辺境に追いやられたはずのレフィリアは、その力を制御し、価値を生み出していた。
「触れ方を誤れば、石になりますわ」
かつて彼女を断罪した王家は揺らぎ、
触れてはならない境界を越えた者から、静かに砕けていく。
これは――
魔女と呼ばれた令嬢が、王国の“価値”そのものを書き換えていく物語。
境界を知る者だけが、未来に触れられる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる