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「お嬢さんの命はもって後、一年でしょう」
両親と医者がそんな話をしていたのは三ヶ月前の事だった。いつも妹に会って帰る前に容態を医者に確認する。体が弱くて入退院を繰り返していた妹のお見舞いの時はいつもこうしていた。でも、僕は少しでも妹と一緒にいたくて病室にずっといるようにしていた。だけど、この日だけは何故かそこにいた。ちょっと両親をびっくりさせたくて扉を開けずに聞き耳を立てていたら聞いてしまったのだ。
僕の名前は木崎 歩、中学三年生だ。妹の名前は雪夏。家は両親と僕と妹の四人暮らし。妹は幼い頃から病弱で入退院を繰り返していた。病弱な妹は友人と触れ合う時間もあまりなく、一人でいることも多かった。それでも、病気に負けることなく明るい妹が大好きで、元気な時は外で遊び、病院にいる時は本を読んだりゲームをして一緒に遊んでいた。
そんな僕の夢は医者になること。もし、僕が大人になるまで妹の病気が治らなかったら、僕が治す。その時、治っていたなら同じ思いをしている子の為に頑張る。そう思っていたのに…神様がいるなら残酷だ。でも、いるならどうか妹を助けてください。僕の命より大切な雪夏を。
そして、あの日から三ヶ月たった今日は妹、雪夏の外出日だ。でも、雪夏の顔色は良いとはいえない。三ヶ月も家に帰れなかったこともこれまではなかった。もしかするとこれが最後の外出かもしれない。そう思ったら泣きそうになるけど、今日は絶対笑顔だ。
「雪夏、今日は久々の外出だよ?忘れ物してない?」
「お兄ちゃん。準備万端だよ!」
満面の笑みで答える雪夏を父さんと二人で車イスに乗せ病室からいざ出発。エレベーターを降り、病院の自動ドアを抜け外へと繰り出す。父さんと母さんを早く早くと促す。時間は限られているのだから…。
結局、急いだものの病院前の信号待ちで僕らは渋々待つ。こっちは一秒でも早く変わって欲しいのに。振り返るとやっと両親が追い付いて来ていた。もう一度前を向こうとして視界に車が見えた。えらく早い車だなぁ、そう思っているとこっちに来た。ヤバい!
「雪夏を!」
それだけ叫んで雪夏を父さんの方へ投げる。僕は…もう間に合わないな。僕がいなくなったら雪夏はどうなるんだろう。僕があれを押し退けられたら、雪夏を治す事ができたなら。雪夏…
『君は生まれ変わったならなにをしたい?僕はその手伝いをしよう』
『誰だ。生まれ変わるとかそんな事はどうでも良い。雪夏を……』
『そなたのその思いしかと受け取った。あのものにも祝福を』
淡い光に包まれ僕の魂は天へと登り、再び目を開けると僕は幼女になっていた。その顔は雪夏にそっくりだった。
『妹を助けてとは言ったけど、妹みたいになりたいなんて言ってない!!』
両親と医者がそんな話をしていたのは三ヶ月前の事だった。いつも妹に会って帰る前に容態を医者に確認する。体が弱くて入退院を繰り返していた妹のお見舞いの時はいつもこうしていた。でも、僕は少しでも妹と一緒にいたくて病室にずっといるようにしていた。だけど、この日だけは何故かそこにいた。ちょっと両親をびっくりさせたくて扉を開けずに聞き耳を立てていたら聞いてしまったのだ。
僕の名前は木崎 歩、中学三年生だ。妹の名前は雪夏。家は両親と僕と妹の四人暮らし。妹は幼い頃から病弱で入退院を繰り返していた。病弱な妹は友人と触れ合う時間もあまりなく、一人でいることも多かった。それでも、病気に負けることなく明るい妹が大好きで、元気な時は外で遊び、病院にいる時は本を読んだりゲームをして一緒に遊んでいた。
そんな僕の夢は医者になること。もし、僕が大人になるまで妹の病気が治らなかったら、僕が治す。その時、治っていたなら同じ思いをしている子の為に頑張る。そう思っていたのに…神様がいるなら残酷だ。でも、いるならどうか妹を助けてください。僕の命より大切な雪夏を。
そして、あの日から三ヶ月たった今日は妹、雪夏の外出日だ。でも、雪夏の顔色は良いとはいえない。三ヶ月も家に帰れなかったこともこれまではなかった。もしかするとこれが最後の外出かもしれない。そう思ったら泣きそうになるけど、今日は絶対笑顔だ。
「雪夏、今日は久々の外出だよ?忘れ物してない?」
「お兄ちゃん。準備万端だよ!」
満面の笑みで答える雪夏を父さんと二人で車イスに乗せ病室からいざ出発。エレベーターを降り、病院の自動ドアを抜け外へと繰り出す。父さんと母さんを早く早くと促す。時間は限られているのだから…。
結局、急いだものの病院前の信号待ちで僕らは渋々待つ。こっちは一秒でも早く変わって欲しいのに。振り返るとやっと両親が追い付いて来ていた。もう一度前を向こうとして視界に車が見えた。えらく早い車だなぁ、そう思っているとこっちに来た。ヤバい!
「雪夏を!」
それだけ叫んで雪夏を父さんの方へ投げる。僕は…もう間に合わないな。僕がいなくなったら雪夏はどうなるんだろう。僕があれを押し退けられたら、雪夏を治す事ができたなら。雪夏…
『君は生まれ変わったならなにをしたい?僕はその手伝いをしよう』
『誰だ。生まれ変わるとかそんな事はどうでも良い。雪夏を……』
『そなたのその思いしかと受け取った。あのものにも祝福を』
淡い光に包まれ僕の魂は天へと登り、再び目を開けると僕は幼女になっていた。その顔は雪夏にそっくりだった。
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