妹を想いながら転生したら

弓立歩

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本編

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私はカリンに案内してもらった小屋へとエミリー、カークスと一緒に来ていた。

「確かにしばらく使ってないみたいね。埃っぽいわ」

「だね~。換気とかしないといけないかな」

「だろうな。窓は開けるから掃除道具がないか探してくれ」

テーブルの上の埃を払いながらカークスが言う。

「そうね。ちょっと気が引けるけど家探ししてみるわ」

調べてみると奥の部屋に道具が一式そろっていた。ほうきも長柄と短柄で2本あり、結構細かい性格だったのだろうか?せっかく2本あるのでエミリーと手分けして掃除することにしよう。

「カークス。ほうきが2本と雑巾みたいなのがあったわ。2人で掃くから簡単でいいからテーブルとか拭いてくれる?」

「わかった。じゃあ、床の方は頼む」

3人で手分けして掃除をする。家は入り口からリビングダイニング、その右にちょっとした仕切りを挟んでスペースがある。さらに奥には寝室がある。一人で住んでいたという割にはなかなかしっかりとしている家のようだ。ちなみに掃除道具は寝室に入ってすぐ横のスペースに引き戸があり、そこに仕舞えるようになっている。20分ほど掃除して割と見られるようになってきたので、その後は持ってきたバッグに入れたものを出していき並べていく。

「そう言えばこのバッグにも飛竜のうろこ入ってたのね。ここで加工とかって難しいのかしら?」

「さすがにここでは無理だろう。あれだけの硬さのうろこだ。残念だが王都に帰ってからだろうな」

「残念ね。ここですぐに使えたらちょっとは安全に戦えるかもしれないのに」

「確かにそれはあるな。俺もフォルトもこういう難度の高い依頼を受けるとなると、これまでの武具では対応しきれないだろう」

「2人とも大変だね~。わたしたちはそこまで高い防具とか使わないし、武器も杖だからそこまで重要じゃないし」

「エミリー。これからは今までより危険な旅になるんだから、少なくとも防具は今のローブに何か付ける形になるわよ」

「えっ、でもそこまで重たいのつけられないし…」

「そうね。だからこの依頼はあなたや私にとっても重要なのよ。飛竜のうろこは硬いけど金属よりは軽いから。もしこの依頼中にある程度確保出来たら、みんなにお願いして私たちの防具の分を分けてもらうよう言おうと思ってたの」

「でも、鎧の加工とかって高いんでしょ?」

「まあ確かにある程度するけれど命には代えられないでしょう?それに知り合いの工房に頼む予定だから少しぐらいは安くなるかも」

「なんだ、ティアは工房の知り合いがいるのか。なら、俺やフォルトにも紹介してくれないか?」

「いいわよ。フォルトとも約束してるから帰ったら一緒に行きましょう」

「なんだフォルトは知ってたのか。水臭いな」

「野営の時に偶々話題に上がっただけよ。そういうわけだからエミリーも帰ったら行きましょうね」

「できるだけ重たくないのにしてね」

「それは会って直接言ってみないとね。ちょっと口うるさいから下手なこと言ったら怒られるかも」

「そんな~」

「ティアいる?」

「あら、カリンどうしたの?」

「キルドたちが返ってきたみたいだよ。村の人もびっくりしている見たい」

「どうしてなの?」

「飛竜のうろことか肉とかなんて村で見たことはないからね」

精々、飛竜同士や人間との戦いで見る程度だったという事らしい。

「さあ、みんなも広場へ行って。といっても見えないように林の中だけど」

案内された場所は確かに広場というには木が多い場所だ。これでは走り回ったりはできないが、空に生きる彼女たちには当然なのだろう。

「ティア、帰ったよ。しかし、帰ってきたとたん目立ってしょうがないねこれは」

キルドも今の状況に戸惑いを隠せないようだ。一緒についていったと思われるハーピーの人からは尊敬のまなざしで見られてるし、村の人からもどうやって倒したのかと目が語っている。

「これは、私がやったとは言わない方がよさそうね」

「そうだね…きっとティアは押しつぶされちゃうよ」

話をするタイミングを今か今かと待っているようだが、どうやら長老を待っているらしい。少しして長老がやってきた。

「みんな、聴いてくれ。すでに知っていると思うが、今日ここに来た人間の冒険者はそこの飛竜を2体倒された。どちらも子供ではあるが、最近わしらを苦しめていた飛竜を倒してくれたのだ。それも襲われていたカリンを助け、手当までしてくれておる」

そこで長老がいったん言葉を区切る。村人たちもうっぷんがたまっていたのかオォーという声も聞こえる。

「そこで今日は村でささやかながら彼女たちを歓迎したい。しばらく滞在されるので皆もそのつもりで頼む。何かあればわしのところまで来るとよい」

比較的若い子たちは分かりましたと答え、さっきの話の通り大人たちの中にはキィーと鳴き声で返事したものもいた。簡単に周りを見た感じでは其処まで警戒されてはないみたいだ。やはり以前にいた詩人のおかげだろう。まだ見ぬ彼へありがとうと心の中で思っておこう。そんな風に長老の話を話半分で聞いていたのだが―。

「では、ここでカリンを助け飛竜を倒したものに簡単だが、挨拶をしてもらおうと思う」

ん?今何かとてもめんど…大変なことを言われたような気がする。そ~っと長老の方を見ると手招きされた。打ち合わせもなしに思いつきでそういうのは困る。打ち合わせていたらいいわけでもないけれど。このまま立っていても仕方ないので、長老のいるところに行く。

それにしても今更ながらだが、ほとんどのハーピーたちは林の木の枝につかまっている状態だ。カリンたちハーピーにとっては普通のことなんだろう。でも、視線がずっと上からくるのでちょっと怖い。

「え、ええと。先ほど長老様より紹介されたティアです。カリンを助けたのは全くの偶然なのでそんな感謝されることでもないんですが…。飛竜のことも私たち人間の方でも問題視していて今回来たわけで…」

だめだ、全くまとまらない。考え事をしていたのが悪かったのだろう。全然言葉が出てこない。

「ティアはカリンを助けてくれたの。飛竜を倒してくれたし、高いところも怖いのに飛んで、安全なところに避難させてくれたんだよ。遠慮がちだからこういってるけどみんなよろしくね!」

見かねたカリンが私の代わりに言ってくれた。エミリーより小さな感じだったが結構しっかりしているようだ。ハーピーたちもカリンの話を聞いてうんうんと頷いている。でも、こんな大勢からみられると恥ずかしい…。

「ほらね、今もみんなが見てるから照れちゃってるんだ」

「ホントだ、ティア」

エミリーにまでからかわれて頬をつつかれる。それで空気も和んだのか、その後は今日の予定について簡単に話があった。この後、簡単な歓迎の宴をしたいから30分後にまたここへ集まって欲しいとのことだった。私たちは了承して、フォルトとキルドを小屋へと案内する。

「へぇ~。思ったより広いかな」

「そうだな。1人暮らしと聞いていたからもう少し狭いと思ったが、これなら全員寝れそうだな」

「部屋割りとかも今決めましょうか」

「いや、ティアとエミリーが寝室を使うといいよ。僕たちはリビングかその横のところで眠れそうだし」

「それだと床で寝ることになって、疲れが取れないんじゃないの?」

「私たちは野宿にも慣れているからな。前は野営道具すら持たずに移動している時もあったぐらいだ」

「そうだな。雨風が凌げるだけでも贅沢だな」

「全員が男の人のパーティーってそんな感じなの?」

「どうだろうな。野営の道具も消耗品だし見張りを立てているとはいえ、すぐに対応することを考えたら野宿同然の方がいいって意見もあるだろう」

「僕はヤダって言ったんだけどね。1人で野営道具を持ち運びするのも大変だったから、泣く泣くあきらめたんだよ」

「キルドはきれい好きだものね。そこは大いに同情するわ」

「じゃあ持ってきた荷物を一旦分けようか」

「分けるといってもどうするの?」

「とりあえず、うろこは品質ごとに袋で分けるようにして、袋の口に色でも付けて識別しよう。今は持ち運ぶ予定がないから後で寝室にでも運んでもらおうかな?」

「そういうことね、分かったわ。そうそう、さっきカークスと話をしていたんだけど、今回の依頼でうろこが今後の活動の収益分以上にあったら少し置いてもらえないかしら?前に言ってた工房でエミリーと私の防具を作りたいの」

「それは構わないが…」

「なんだフォルト。何かあるのか?」

「ああ、実は私も同じことを考えていてな。プレートメイルは少し重すぎてな。先の戦いでも少し傷んでしまったので新調するのにちょうどいいかなと」

「なら、余った量によって決めましょうか。私たちは最悪報酬分から買い取りでもいいわ。さすがに今ろくな防具が無いから心もとなくって」

「今の量じゃ微妙なところだな。一定以上のサイズ以外は加工し辛くて買取もできないからな。それにハーピーたちにも聞いたんだが、やはり今回の飛竜は小さいらしい。うろこも一部のものは強度があまりないのもあって報告にはいいが、商品としての価値はないものも多かった」

「それは困るわね。良質の素材を求めれば危険だし、依頼だけだと思い通りには進まないし…」

「その辺は今後次第だな。少なくともまだ依頼は終わっていないんだし、まずは依頼を片付けてからだ」

「そうよね。とりあえず今は選別の作業をしましょう」

作業を続けようと横を見るとエミリーがうんうん頷きながらキルドから選別方法を教えてもらっていた。やけに静かだと思ったら真面目に作業をしていたのね。エミリーはこの依頼を受ける時からかなり前向きな姿勢が出てきた。うれしいと思う反面、寂しさもちょっとある。でも、こうやって様々なことができるようになるのはとてもいいと思う。カリンに風の流れのとらえ方を習ったり、自分の可能性が広がっていくのが楽しく感じたのかもしれない。

「そろそろ時間かしら」

その後は選別作業をやっていたが、気づくと宴の始まる時間が近づいていた。

「そうだな。早いかもしれないがこれ以上何かすることもないし、向かうとするか」

「じゃあ、選別の終わったところまでで一旦、寝室に運んでおいてよ」

「分かったわ。残りの分は混ざらないようにそっちで保管しておいてね」

「はいよ」

作業分を寝室へ、まだの分をキルドが運んで私たちは広場へと向かった。
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