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本編
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しおりを挟む「いらっしゃいま…皆さんお戻りになったんですね!」
「リサちゃんただいま」
「おかえりなさいティアさん。皆さんも。心配してたんですよ、中々帰ってこないから」
「ごめんね。僕らも思ったより、かかちゃってびっくりしてるよ。食事6人分できる?」
「ちょっと待ってくださいね。そちらの方は何にします?肉と野菜とバランスありますけど」
「じゃあ、野菜中心で」
「畏まりました。ああ、お部屋ちゃんと空いてますよ。2部屋で大丈夫ですか?」
「ええ。でも、リライアの分も布団をお願いね」
「分かりました。女将さんに話しておきます」
リサはもろもろを伝えに奥に引っ込んでいった。
「部屋が空いててよかったね。今から部屋探しも大変だし」
「そうだな」
「ここの部屋ってずっと取ってるんじゃないんですか?」
「王都にいる間は取っているが、今回は泊まりだったからな。普段から荷物も持ち歩かないから一旦、引き払うんだ」
「期間契約してるパーティーもあるけど、10日とか空けてるのに宿泊費取られると、結構大変なのよね」
「そうそう。行った先でも食費とか宿泊費とか別にかかっちゃうから、ランクの低い間はどこもそうするんだよ」
「思ったより大変なんですね」
「依頼だって失敗すれば、無報酬だ。そこに武器も傷むとくれば、慣れるまではつらいのは確かだな」
「それより明日からの予定を決めようよ」
「予定ね。私はとりあえず、午前中は家に行ってうろこの件と目の件について話をしてくるわ。午後は店の見学に立ち会うつもりよ」
「わたしは昼までここにいるよ。午後になったらティアと一緒にリライアさんの店を見に行って、その後は食べ歩く予定」
「カークスたちはどうするの?」
「俺は武具の手入れをする。正直、傷んでいるだろうから買い替えが必要か見ないとな」
「私も同じだな。今回の戦いで少なくとも鎧はダメだろうし、槍の方も一回見てみる必要がありそうだ」
「みんな、つまらないなあ。王都に帰ってきたんだからパーッと遊べばいいのに」
「キルドはそういうことね。なら、リライアは午後になったら必ずここにいて。エミリーと一緒に行くから」
「分かりました。でも、私も王都はまだ慣れていないので、ティアさんについて行ってもいいですか?」
「良いけど、店のところで待っててもらうわよ?」
「ええ、ぜひ。並べ方とか参考にできるかもしれませんし」
「そういうことなら歓迎するわ。じゃあ、一緒に行きましょう」
私たちはその後も打ち合わせをする。2日目はフォルト、カークスを連れて工房へ行くことになった。明日は帰ってきたらちゃんと用意を済ませないと。ついでにエミリーも連れて行こう。これまでは守りをおろそかにしていたため、この収入を使って一気にそろえてしまおう。頭の中で次々と予定が埋まっていく。
「あの、食べないんですか?」
気づいたらリライアにのぞき込まれていた。目の前にはすでに料理が置かれている。いつの間に来たのだろうか?
「ほっといていいよ。ティアは考え事し始めたら、すぐこうなるから」
「はあ、では頂きます」
テーブルを見ると、全員分すでにそろっており、みんな食べ始めている。
「頂きます」
私もちょっと遅れて食べ始める。いけないいけない。考え事をしていて料理が冷めるところだった。食事もそこそこに済ませ、リサに部屋の方へと案内してもらう。
「でも、リサ。都合よく部屋空いてたわね?」
「実は女将さんたちがすぐ戻ってくるかもしれないからって、1日単位しか泊まらせてないんですよ。結構、依頼の内容とかも別の方が言ってて心配してましたよ」
「そうだったの。ごめんなさいね」
「いえいえ。皆さんにはいつも利用していただいてますからね!」
「そうだ良かったらこれ」
「なんですかこれ?」
「飛竜の干し肉とうろこのネックレスよ。ネックレスは完全にただの飾りだけど」
「頂けるんですか。ありがとうございます。2人もきっと喜びます」
「日持ちもするから、女将さんの息子さんが帰ってきたら渡してあげなさい」
「そうですね。いつも、夜食は美味しくないって嘆いてますから」
兵士をしている息子さんは、城壁の見張りも行っている。夜は食事が出るが、不味いと王都中で評判だ。これを食べればちょっとはましだろう。
「じゃあ、お布団持ってきますね」
布団を取りにリアは一度、階下に降りて行った。しばらくして布団が部屋に届く。
「はい、どうぞ」
「ありがとう。ところで、今日はお風呂入れる?」
「大丈夫ですよ。いま、2人ほど入ってますから、次ですね。取っておきますから10分ほどしたら降りてきてください」
「ありがとう。2人とも聞いた。1人待つけどどうする?」
「わたしはあとでいいよ。ちょっと食べすぎたみたい」
「なら、リライア一緒に行きましょう」
「はい。ところで着替えとか…あったりします?」
「明日買いに行きましょう」
人のことは言えないが、もう少し身なりに気を使ってもらわないと。商売をする上で最低限のマナーだしね。
「じゃあ、明日の店の見学終わったら一緒に行こう!」
「そうね。買い物をするのも久しぶりだし、そうしましょう」
わいわいと話をする。その内、時間になったのでリライアと2人でお風呂に入る。こっちでお風呂に入るのも久しぶりで、とっても気持ちがいい。
「ふ~。エミリー上がったわよ」
「お帰り2人とも。どうだった?」
「こっちのは久しぶりだったけど、ゆっくり出来てよかったわ」
「そう、じゃあ行ってくるね」
エミリーもベッドから飛び降りてお風呂へと向かっていった。部屋には私たち2人だけになる。いざ、2人きりになるとどうしても気まずい。
「あ、あの」
「何かしら?」
お互い気まずいと思っていたけれど、リライアの方から話しかけてきてくれる。
「なにか、私にできることって今あります?」
「特には…そうね。飛竜のうろこがしばらくはメインの売り物になるでしょうから、品質の確認をお願いしようかしら」
そう言って私は袋から、大小色々なうろこを出す。基本的には大きいものは質の高いもの。小さいのはちょっと悪いものも混じっている。
「これが飛竜のうろこなんですね。思ったより軽くてきれいですね」
「大きい方はかなり質のいいものだから。それ一枚でも結構するわよ」
「ですね。アクセサリーで見たことはあるんですけど、ちょっと傷もあったしもっと鈍い色をしてました」
「一応、委託販売ってことになるのかしら。変に安く売られたら私たちも困るから注意してね」
「分かってます。その辺は任せてください」
「絡まれたらすぐに言うのよ。いないときはギルドに駆け込みなさい。言い出したのはギルドマスターなんだから責任もってもらうといいわ」
「そんな、そこまでしていただいてはギルドにも迷惑が…」
「良いのよ。そうすれば商人だろうと冒険者だろうと簡単には手を出せないから。出だしは扱えるものも少ないんだから頑張らないとね」
「…分かりました。何とかやって見せます」
「そうそう。で、この品質なんだけど」
実際に物を見せながら、これはこの部分がダメなので少し安くしてもいい。これは絶対にダメなど適切な品質の管理を教える。
「大体こんな感じだけどどう?」
「すっごく分かり易いです。ありがとうございました」
「ちなみに今のは冒険者基準だから、商人が来たときは目的をちゃんと聞きなさい」
「冒険者基準ですか?」
「そうよ。私たちは多少の傷よりどれだけ丈夫かや、軽さなど実際の使い勝手だけど、宝石やアクセサリーは逆になるから目的で売り方を変えないとね」
「じゃあ、このうろこなんかもある程度仕分けておいた方がいいんですか?」
「あんまり分けすぎると、管理が難しいけどまずはそこをきっちりしないと、商人たちは食いつかないかもね」
「お詳しいですね」
「実家の店の番をしていた時に言われたことそのままだけどね」
「私もそのお店に追いつかなきゃですね」
「つぶさないようにだけお願いするわ」
お互い笑いあいながら話を続ける。今回の素材に関しては問題なく取り扱えることを確認して他のことも話す。彼女は何でも屋をしていただけのことはあり、武器から小物までかなりの商品を見たことがあるようだ。小さい村のため高額なものは見たことが無いとのことだが、かなりの経験だ。
「じゃあ、あの細工物廃れたと思っていたらそっちで売られてたのね」
「そうなんです。王都から今流行りのものだって、村の女の子たちがすぐ買って売れちゃいました。もう一度持ってきたときは断りましたけど」
「それがいいわ。あれは王都でもすぐに飽きられてしまって2個目を買いに来た人なんてほとんどいなかったもの」
「近くの街じゃ大量に仕入れた人もいるみたいで、わざわざ村にも来てました。もう、だれも買いませんでしたけどね」
「なになに、なんのはなし~」
「あらエミリー、お風呂あがったのね」
「エミリーさんおかえりなさい」
「ただいま~。ねえねえ何の話?」
「リライアは何でも屋をしているって言ってたでしょ。私の実家の店にも売っていたものが売られてたみたいでその話をしてたの」
「そうなんだ。ティアの実家でも扱うなら結構売れたの?」
「最初だけ売れる商品だったんですよ」
「勢いで大量に作って、今でも周りの街なんかじゃ捨て値で売られてるあれよ」
「あれかあ~。確かに一杯残ってる店あったよね。他にはどんなの売ってたの?」
「他ですか。基本的には日常生活で使うものですね。傷薬などの薬類とか金属類です。鍛冶屋はありませんから」
「じゃあ、この辺の店とは結構違うんだね」
「そうですね。王都はそれぞれ専門的な店がありますが、うちはそれぞれ少しずつって感じです」
「そうなってくると仕入れが大変よね。商人といっても何でも扱ってるわけでもないし」
「ですね。こちらから出向くこともあって、危険なんです。街道も盗賊とかの噂もあって怖いですね。護衛とか雇うお金もありませんから」
「ここなら安心して商売できるからそこはいいところね」
「そうですね。将来的に売るものを増やすときには、皆さんに手伝ってもらうこともあるかもしれませんが」
「その時は、みんなで受けようね」
「依頼料が見合えばね」
そんな冗談を言いながら私たちはいろいろなことを話した。
「あら、もうこんな時間ね。明日もあるし今日は休みましょう。リライア、ごめんなさいベッドが無くて」
「いいですよ。布団も用意していただけましたし」
「明日には店で寝られるようにしましょう」
「そうですね。おやすみなさい」
「おやすみ、ティア、リライアさん」
「お休み、エミリー、リライア」
私たちは、明日に向けて床につく。
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