少女勇者、女神の依頼はお断り

弓立歩

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物語の始まり

山菜採り

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「さ~て、今日は何が見つかるかな~」

 わぅ~

 木の実や食べられる植物も含めて、私はリキラとともに森を探索していく。

 ガサッ

「むっ! 反応あり」

 私は茂みに隠れて様子を見る。

「あれは……オーガかぁ。じゃあ、要らないや。次々」

 私はオーガに気づかれないようにその場を離れる。オーガは牙と角は使えるものの、どちらも短いからそこまで使い勝手はよくない。商人さんがいれば買ってはくれるけど、毎回持ち歩くの面倒だしね。

「それに何といっても、煮込んでも中々柔らかくならないんだよね~」

 本当に筋張っていて固いのだ。焼いても煮ても私にはどうしようもなかったので、今は出遭っても気づかれないようにこうして離れるようにしている。

「大体、好戦的でこっちに向かってくるのがいけないんだよね。勝てないんだから来なければいいのに……。ウルフ種なんかはちょっとリキラが吠えれば逃げてくれるのにね!」

 わふっ

「まあ、あっちはそこまでの味じゃないけど食べられなくはないし、毛皮も取れるもんね。小さい時はあれで毛布と服と寝袋を兼ねてたからお世話になったなぁ」

 今は防寒着にしか使っていないので、食料難以外の時は倒していない。とりあえず、オーガの索敵範囲から離れて、別の方向に向かう。

「こっちは植物エリアだし、また生えてないかな?」

 前に行った時に山菜は結構とっちゃったからなぁ。少し、北側にずれて探してみよう。


「あっ、こっちにもある!やった~」

 うんうん、たまには探索地域を変えてみるものだ。

「ニオサクにタケノコまで!ウドやユバウリが終わりかけてたから助かる~。あっちは…ゼンマイか~。悪くはないんだけど、手間がね。でも、保存食にもなるし一応採っておこうかな?」

 山菜とかでもあんまりアクの強いものは好きじゃないんだけどな~。ゆでるのにも塩使うし、手間がね。

 わぅ~

「リキラも野菜は興味ないし、自分の分だけだから余計にね」

 料理は食べてくれる人が少ないほど、手を抜いてしまう。山菜は私しか食べないので、面倒な工程が必要なものはあんまり取りたくない。

「とはいっても、保存食は大事だし取っておこうか」

 狩りに行くのが面倒な時とかにあれば助かるし。まあ、リキラのご飯もあるから保存食っていっても大した価値はないんだけど。

 ガサッ

「うん? 獲物かな?」

 ガァァ

「あっ、熊さんだ。でも、油は余ってるんだよね。帰って帰って」

 しっしっと帰るようにうながす。どうやら、向こうも植物狙いでここに来ているようだ。

「しょうがないなぁ。えいっ!」

 私は持って来ていた光の杖で熊さんの真横に魔法を放つ。これでどうかな?

 ガゥゥ

 突然の魔法に驚いて熊さんは逃げていった。

「よしよし、あんまり油ばっかり多くてもね」

 脂身ばかりは体に悪いからバランスを取らないとね。狩ったら狩ったでもったいないから、毛皮も油も肉も消化しないといけないから、結構大変なのだ。

「毛皮もなめすのに何日もかかるし」

 毛皮のコート一着でも何か月も持つのだ。これ以上は供給過多になってしまう。自然は大切にしないとね!

「とはいえ、肉は欲しいんだよね~。大鹿さんの住処は近くないのかなぁ~」

 鹿さんの角なら形次第で槍にも近い形に加工できるかもしれないし、肉も多いから出てきて欲しいんだけどな~。

 わぅ

「リキラ、どうしたの?何か匂うって?」

 わぅわぅ

「さっき逃げた熊さんの向こうに人がいるの? あ~、それはかわいそうかな?」

 別に人がどうなってもいいけど、逃げた方向にいるなら一応ケアしておこう。

「ライトレーン!」

 私は地面の上にレーンを設置するとその上を一気に滑っていく。これが今一番早い移動なんだよね。森とかだと、どんなに早く走っても木の影響は受けるけど、直線なら空を飛ぶより早い自信がある。

「っとと。あの~、大丈夫ですか?」

「ひぃっ!バーサーカーベアーに見たことのない子どもまで…! 子ども? ここは危険だ、逃げるんだ!」

「あっ、いえ。私は…」

 ガルルルル

 熊さんは二度も私に獲物を横取りされると思ったのか、今度は悠然と立ち向かってきた。

「こうなっては致し方なし! いくよ、リキラ!」

 わぅ!

 私に向かう熊さんの意識をリキラが引き付ける。その隙に私は魔法を唱える。

「いけっ! シャインジャベリン」

 ヒュン

 ガァァァ

 私が投げたジャベリンを掴もうとするが、その速さに追いつけず槍は熊さんを貫通して、奥の木に当たり霧散する。

「残念だったね。この槍は私の中で一番早いんだから!」

「バ、バーサーカーベアーを一撃で…ひょっとして、大森林の妖精?」

「へ? なんですかそれ?」

「い、いえ、大森林では幸運な迷い人に妖精が手を差し伸べると、商人の間で噂になっていまして。その妖精は金髪だという話で…」

「妖精だなんて。あっ、商人さんですか?」

「い、一応は」

「塩とか持ってません?」

「ありますが、ご入り用ですか?」

「はいっ! ちょっと、残りが少ないのでいっぱい欲しいです! こっちのお肉とかいりませんから!」

 私はガッと熊さんの首根っこを掴んで、商人さんの方に突き出す。

「ひえっ!? ち、近づけないでくださいよ。では、少しお待ちください。奥に馬車がありますので」

「そういえば、商人さん。護衛は?」

「ははは、もうすでに逃げてしまいましたよ。バーサーカーベアー相手に四人では勝てないですからね」

「ん~。それじゃあ、森の出口まで送りますよ」

「構わないのですか? 妖精はすぐに消えるということですが…」

「たまにはね。あっ、それとこの先の空き地でちょっと待っててください」

 妖精ではないということを見せないといけないし、ここは送ってあげよう。

「はぁ」

 私は困惑する商人さんをすぐ先にある空き地に連れていき、リキラを見張りにつけて一度洞窟に戻る。

「これ、しばらくは使う予定なかったしね。あとは形はいいけど、使えなさそうな大鹿さんの角かな?」

 さっきの熊さんだけでも色々交換してもらえるとは思うけど、要らないものも引き取ってもらおう。他にも何かもらえるかもしれないし。

「この辺だと角か牙か毛皮ぐらいしかないのが残念だけどね。そういえば、牙も余ってたなぁ」

 牙に関してはサイズが小さいものがほとんどなので、私には不要だ。ちょっと大きめなのをナイフに加工するぐらいで足りてるからね。

「それじゃあ、マジックバッグに入れていこう。毛皮と角と牙と…」

 洞窟の中にためてたものを適当に放り込んでいく。

「よしっ! このぐらいかな? あんまり待たせても悪いし、持っていこう」


「お待たせしました!」

「ああ、妖精さん。お帰りなさい」

「はいっ!」

 わぅ

「リキラも護衛ありがとね。それで、引き取ってもらいたいものなんですけど…」

「ええっと、物は何になりますかな?」

「ほとんどが毛皮とかになっちゃうんですけど、構いませんか?」

「もちろんです。では、シートを敷きますのでそちらに並べて行ってもらえますか?」

「分かりました!」

 私は商人さんの指示通りに次々と並べていったのだった。


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