転生特典に魔力をいただきました

弓立歩

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始まりいつも突然だ―――。

俺、木川啓二は出勤途中に横断歩道で立ち止まっていた。ふと下に目を向けると幼女が渡ろうとしている。

「なんだ青か」

しかし、けたたましくクラクションが鳴り響く。

「やばっ」

考えるより先に幼女を引き寄せる。しかし思ったより勢いがあったようで代わりに自分が投げ出された。

ブーーーーー。

運があったかなかったか、ここまでのようだ。そして意識が途切れた。


「お目覚めください」

誰かの声がする。俺は死んだはずなのに…。

「お目覚めください」

再び呼び起こされる。まさかあの状況で助かったのか?

「いいえ、残念ながらあなたは幼女を助けてお亡くなりになりました」

「助かったならいい」

確認できたことで冷静になってきた。返事をして目を開ける。真っ白な何もない空間、これはまさか…。

「あなたの思っている通り、幼女を救ったことにより転生の権利が与えられます」

「そうか、この手の話を読んでいてよかった。やっぱり地球には戻れないのか?」

「残念ですが、転生には一定の記憶を引き継ぐため元の世界に返すのはできないのです。転生というのは時期を選ばずにするものですので。過去には時代をさかのぼって転生したため厄介なことに…」

そりゃそうだな。金を持つのも権力者になるのも時代によっちゃやりたい放題だ。

「そこで、転生を行うあなたたちに私たち女神は1つだけ祝福を授けることができるのです」

「女神さまっていっぱいいるのか?」

「各世界に1人はいます。本当は女神ではありませんが、わかりやすくイメージできるのが女神なのでこの形をとっています。」

そういって女神さまは神々しい衣装をくるり回転させる。確かにこのビジュアルならひねくれものだっておとなしく話を聞くだろう。

「ちなみに行先はどんな世界なんだ?」

「残念ながら転生特典は世界が決まる前に言っていただく必要があるのです。そのあとその特典が無駄にならないようにセットされます。確かにあなたたちは不幸にも命を終えられた方です。しかし、急に世界に介入されて一代で帝国を築かれても元居た方がかわいそうですし」

「わかった、じゃあできるかわからないけど今から言うことを頼めるか?」

「はい、かなえられるかは私が判断しますからどうぞ仰ってください」

「じゃあ、言うぞ。女神様ぐらいの魔法が使えるようになりたい」

なんでもいいと言われれば最大限の譲歩を欲しい。生きてるうちはRPGを据え置き・スマホとやり続けていた俺からすれば、魔法…それも賢者って呼ばれるくらいに使ってみたいと思った。

「ふむ、魔法ですか。私も使えますしそういった世界もありますが…。あまり強い力は…えっ問題ないです?はあ、いやいや責任は持てませんよ。いいからサインをもらえ?仕方ないですね…」

女神さまの方はさっきから誰かと話している様だ。あまり強い力はダメといっていたから、ダメもとだったけど何とか大丈夫っぽい。

「わかりました。あなたの申請は通りましたので今から新たな世界へといざないます。注意していただきたいのは転生者の方たちは5歳まではその身の安全が保障されますが、その先はご自分の力で生き抜いてください。私たちも生まれる先は分かりませんので。どうかお元気で」

「その世界の説明とかはないんですか?」

「ズルは無しです。自分の目で確かめてください」

そういうと俺の意識は途切れた。

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