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「おい、本当にここに置いていくのか?」
「散々言ったじゃない。私たちのところじゃこの子は育てられないって」
「しかし…」
「それにこの子ならきっと大丈夫だよ。だってこの子は…」
声が聞こえる。男と女の声だ何かを言い争っているようだけどなんだろう
「仕方ない、元気にな」
「ごめんなさい、恨むなら私を恨んでね」
どうやら生まれてそうそう捨てられるらしい。途中で目覚めるんじゃなくて、赤ん坊から記憶ありか。そして捨てられるとは。でも何かきちんとしたところに置かれるっぽい。生んでくれた恩はあるわけだし、何かの時のために印でもつけようかな。そういえば魔法が使えるはずだから、試しに心の中で唱えてみる。
(マーキング)
見えないけれどなんだかチェックできた気がする。そして2人が離れていく気配もした。さよなら…。
とりあえず身の危険があるかもしれないし、人を呼んでって話せないんだった。仕方ない―――。
「おぎゃー、おぎゃー」
20秒ほど泣いているとバタバタと音が聞こえる。どうやら気づいてくれたようだ。
「あらあら、なんの声かしら…。まあ!赤ん坊。そう…今年は不作続きだったけれどもう3人目なのね」
かわいそうにと女性らしきその人が俺を抱えてくれる。
「院長先生ー、またです。お願いします」
こうして俺は新たな一歩を踏みだしたのだった。
あれから半年がたった。ようやく目が開き、周りが認識できるようになった。魔力の関係か少し遅い成長なのかもしれない。それから、俺の引き取られたところは孤児院だった。ただし、この世界は教会が孤児院の経営もしていることが多いので併設だ。ここは地方都市なのでどちらもこじんまりとしているのだが。
「ふえぇ」
「あらあらどうしたのお腹がすいたのかしら?」
メアリーというシスターがご飯を取りに行ってくれる。彼女が俺を拾ってくれた人らしい。なかなか感覚も思い通りにいかず寝てばかりだけど、とりあえず人がいないときに魔法の練習をしないとな。そう思って木の器に力を込める。
「あー」
上手くいったようで木の器がふわりと浮き上がる。あとはこの器を思い通りに動かせればと。
ビュンビュン
面白いほど簡単に器が動く。しかし、どういう原理で動いているんだろう。とりあえず慣れておくことに越したことはないだろうけど。そう思っているとメアリーさんが帰ってきた。やばい!
「ただいまー、って…え」
とっさに器を戻そうとするも、結構離れているところにあったので空中で止まってしまう。怒られるかな…。
「この子ひょっとして…院長―」
メアリーさんは食事を置いたまま院長を呼びに行ってしまった。院長さんは神父も兼ねているが、田舎で結婚式も費用が掛かるため、不作続きの最近ではめったに教会に来客もないので、基本的には孤児院にずっといる。このため、院長としか呼ばれているところを見たことがない。そんなことよりご飯だ。さっきの要領でご飯を食べよう、実はお腹ペコペコなんだ。
「んまー」
さっきの力で難なく、手元に持ってくると器用にスプーンを使って食事を食べる。赤ちゃんにはできないけれど、転生した俺ならこれぐらい簡単だ。そんな猫まっしぐらな俺は院長たちが戻ってきたことも気づかなかった。
「どうしたメアリー、あの子が何か?」
「見てもらったらわかります」
ばっとドアを開けてあの子の方を見る。見ると器用にスプーンを使って食事を口に運んでいる。ただし手を使わずに…。宙に食器もスプーンも浮いている。
「なんということだ」
「きっとこの力のせいで捨てられたんですわ。魔力持ちは平民には扱いが難しいですから」
「しかし、この年ですでにここまで使えるとは」
「やはり報告を…」
「いや、このことが知れたら上へ下への大騒ぎになるかもしれん。できる限り秘匿しよう」
そんな会話もつゆ知らず、完全に食事を楽しむ俺だった。どうやら、子供になったことで完全に幼児退行しているらしい。そういえば女神さまもすべてを引き継ぐわけじゃないって言ってたし、そういうものなんだろう。
「散々言ったじゃない。私たちのところじゃこの子は育てられないって」
「しかし…」
「それにこの子ならきっと大丈夫だよ。だってこの子は…」
声が聞こえる。男と女の声だ何かを言い争っているようだけどなんだろう
「仕方ない、元気にな」
「ごめんなさい、恨むなら私を恨んでね」
どうやら生まれてそうそう捨てられるらしい。途中で目覚めるんじゃなくて、赤ん坊から記憶ありか。そして捨てられるとは。でも何かきちんとしたところに置かれるっぽい。生んでくれた恩はあるわけだし、何かの時のために印でもつけようかな。そういえば魔法が使えるはずだから、試しに心の中で唱えてみる。
(マーキング)
見えないけれどなんだかチェックできた気がする。そして2人が離れていく気配もした。さよなら…。
とりあえず身の危険があるかもしれないし、人を呼んでって話せないんだった。仕方ない―――。
「おぎゃー、おぎゃー」
20秒ほど泣いているとバタバタと音が聞こえる。どうやら気づいてくれたようだ。
「あらあら、なんの声かしら…。まあ!赤ん坊。そう…今年は不作続きだったけれどもう3人目なのね」
かわいそうにと女性らしきその人が俺を抱えてくれる。
「院長先生ー、またです。お願いします」
こうして俺は新たな一歩を踏みだしたのだった。
あれから半年がたった。ようやく目が開き、周りが認識できるようになった。魔力の関係か少し遅い成長なのかもしれない。それから、俺の引き取られたところは孤児院だった。ただし、この世界は教会が孤児院の経営もしていることが多いので併設だ。ここは地方都市なのでどちらもこじんまりとしているのだが。
「ふえぇ」
「あらあらどうしたのお腹がすいたのかしら?」
メアリーというシスターがご飯を取りに行ってくれる。彼女が俺を拾ってくれた人らしい。なかなか感覚も思い通りにいかず寝てばかりだけど、とりあえず人がいないときに魔法の練習をしないとな。そう思って木の器に力を込める。
「あー」
上手くいったようで木の器がふわりと浮き上がる。あとはこの器を思い通りに動かせればと。
ビュンビュン
面白いほど簡単に器が動く。しかし、どういう原理で動いているんだろう。とりあえず慣れておくことに越したことはないだろうけど。そう思っているとメアリーさんが帰ってきた。やばい!
「ただいまー、って…え」
とっさに器を戻そうとするも、結構離れているところにあったので空中で止まってしまう。怒られるかな…。
「この子ひょっとして…院長―」
メアリーさんは食事を置いたまま院長を呼びに行ってしまった。院長さんは神父も兼ねているが、田舎で結婚式も費用が掛かるため、不作続きの最近ではめったに教会に来客もないので、基本的には孤児院にずっといる。このため、院長としか呼ばれているところを見たことがない。そんなことよりご飯だ。さっきの要領でご飯を食べよう、実はお腹ペコペコなんだ。
「んまー」
さっきの力で難なく、手元に持ってくると器用にスプーンを使って食事を食べる。赤ちゃんにはできないけれど、転生した俺ならこれぐらい簡単だ。そんな猫まっしぐらな俺は院長たちが戻ってきたことも気づかなかった。
「どうしたメアリー、あの子が何か?」
「見てもらったらわかります」
ばっとドアを開けてあの子の方を見る。見ると器用にスプーンを使って食事を口に運んでいる。ただし手を使わずに…。宙に食器もスプーンも浮いている。
「なんということだ」
「きっとこの力のせいで捨てられたんですわ。魔力持ちは平民には扱いが難しいですから」
「しかし、この年ですでにここまで使えるとは」
「やはり報告を…」
「いや、このことが知れたら上へ下への大騒ぎになるかもしれん。できる限り秘匿しよう」
そんな会話もつゆ知らず、完全に食事を楽しむ俺だった。どうやら、子供になったことで完全に幼児退行しているらしい。そういえば女神さまもすべてを引き継ぐわけじゃないって言ってたし、そういうものなんだろう。
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