転生特典に魔力をいただきました

弓立歩

文字の大きさ
4 / 19
1

4

しおりを挟む
僕はリンゼルク伯爵領主の長男。ヴェイン=リンゼルク。今日は父に連れられて初めての魔物狩りだ。伯爵領はやせた土地が多く、町も魔物のいる森や山とつながっている。そのため定期的に魔物がよりつかないようにこうやって魔物狩りをするのだ。

「よく見ておきなさい。これが我が領にて最も重要な任務の一つだ。いずれはなくしたいがな」

そういって、父上と騎士団たちが森へと進んでいく。僕は今日は後方で待機をしているだけという形だ。次第に奥へも連れて行ってもらえるらしい。護衛も2人ついているし、安全だと思いこう言った。

「ねえ、もう少し森の方に行ってもいい?」

単純にできれば魔物の姿を見たいと思っただけだった。

「ですがね。ここにいるように言われてますし…」

「あっちの方ならいいんじゃない?どうせ出ないでしょ」

そんなやり取りをして町のすぐそばの方なら良いということになった。

「よし、魔物が出てきたら僕にも戦わせて」

「さすがにヴェイン様を戦わせたとあっては我々が伯爵様に怒られます。騎士は守るためにいるのです」

「そんなこと言ってこっちには出ないんでしょ?大丈夫だって」

そういって僕はその奥の開けた場所に飛び出した。しかし、そこには町の子供と魔物がいたのである。

「ヴェイン様!」

「魔物が!おいお前たち何をしている!」

孤児院から来たという者たちは何をしに来たのだ。ここは立ち入り禁止のはず。さっさと逃げるように促す。
すぐに2人は逃げて行った。あとはこのワイルドウルフだ。しかし、そこで1匹が逃げ出した少年たちの方に向かっている。まずい―――

「ウインドカッター!」

急に風の刃が出てきたと思うと、子供を追っていたワイルドウルフは切り刻まれた。ここには俺たち以外にも誰かいるのか?目をやると小さな子供がいた。この子が放ったのか?確認しようとすると声が聞こえる。

「ヴェイン様!」

しまった距離をつめられた。もう駄目だと目をつむる……ドンという音とともに体が押される。

「―――っ!…あれ?」

てっきりワイルドウルフに、爪でひっかかれたと思ったが、背中以外痛みがない。恐る恐る目を開けた。そこには腕から血を流す子供がいた。

「いたい…。」

傷を負った少女?が声を出す。見ると傷口がぱっくり裂けている。手当をと思った瞬間、ワイルドウルフの姿が視界に入る。また来る!騎士たちはもう一体の相手でこちらに来れない。ダメか…。

「トルネード!」

少女が立ち上がったと思うと、魔法を唱える。ワイルドウルフが2体ともこちらの方に向かってくる。爪が間近に迫った時、僕と少女の真下から荒々しい風が吹き、ワイルドウルフを上空へと飲み込んでいく。そして、落ちてきたワイルドウルフたちは息絶えていた。

よかったと思う間もなく僕は少女に目を向けた。早く手当てを―――。

「だいじょうぶでしゅ?」

少女に手をつかまれ、けがの心配をされる。こんなに小さくて、僕をかばってケガまでさせて、なんて僕は愚かだったのか…。

「おい、すぐに父さんの部隊と連絡を!お前はこっちだ!さっきの孤児院の方に行ったやつがいないか確認する」

「はっ、はい!」

「彼女をすぐに連れて進む」

「了解しました」

そして僕は供の一人を連れて孤児院へと向かった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪妻と噂の彼女は、前世を思い出したら吹っ切れた

下菊みこと
恋愛
自分のために生きると決めたら早かった。 小説家になろう様でも投稿しています。

うっかり結婚を承諾したら……。

翠月 瑠々奈
恋愛
「結婚しようよ」 なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。 相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。 白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。 実際は思った感じではなくて──?

【完結】魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――

ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。 魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。 ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。 誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。

悪役令息の婚約者になりまして

どくりんご
恋愛
 婚約者に出逢って一秒。  前世の記憶を思い出した。それと同時にこの世界が小説の中だということに気づいた。  その中で、目の前のこの人は悪役、つまり悪役令息だということも同時にわかった。  彼がヒロインに恋をしてしまうことを知っていても思いは止められない。  この思い、どうすれば良いの?

裏庭係の私、いつの間にか偉い人に気に入られていたようです

ルーシャオ
恋愛
宮廷メイドのエイダは、先輩メイドに頼まれ王城裏庭を掃除した——のだが、それが悪かった。「一体全体何をしているのだ! お前はクビだ!」「すみません、すみません!」なんと貴重な薬草や香木があることを知らず、草むしりや剪定をしてしまったのだ。そこへ、薬師のデ・ヴァレスの取りなしのおかげで何とか「裏庭の管理人」として首が繋がった。そこからエイダは学び始め、薬草の知識を増やしていく。その真面目さを買われて、薬師のデ・ヴァレスを通じてリュドミラ王太后に面会することに。そして、お見合いを勧められるのである。一方で、エイダを嵌めた先輩メイドたちは——?

【完結】嫌われ公女が継母になった結果

三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。 わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。

魔法使いとして頑張りますわ!

まるねこ
恋愛
母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。 そこからは家族ごっこの毎日。 私が継ぐはずだった伯爵家。 花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね? これからは母方の方で養女となり、魔法使いとなるよう頑張っていきますわ。 2025年に改編しました。 いつも通り、ふんわり設定です。 ブックマークに入れて頂けると私のテンションが成層圏を超えて月まで行ける気がします。m(._.)m Copyright©︎2020-まるねこ

私と義弟の安全は確保出来たので、ゆっくり恋人を探そうと思います

織り子
恋愛
18歳で処刑された大公家の令嬢、セレノア・グレイス。 目を覚ますと――あの日の6年前に戻っていた。 まだ無邪気な弟ルシアン、笑う両親。 再び訪れる“反逆の運命”を知るのは、彼女だけ。 ――大公家に産まれた時点で、自由な恋愛は諦めていた。だが、本当は他の令嬢達の話を聞くたびにうらやましかった。人生1度きり。もう少し花のある人生を送りたかった。一度でいいから、恋愛をしてみたい。 限られた6年の中で、セレノアは動き出す。 愛する家族を守るため、未来を変えるために。 そして本当の願い(恋愛)を叶えるために。

処理中です...