転生特典に魔力をいただきました

弓立歩

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「ここは?」

「気が付いたか?」

「しんぷさま?」

「よかった、ライザ。お前は森でワイルドウルフに襲われて、魔法を使った後に気を失ってしまったんだ。」

「そういえば、男の子…」

「俺は大丈夫だ。お前のおかげで傷一つない」

「よかった…」

「この度は息子が大変迷惑をかけた、許してほしい」

「?きしさんたちたすけてくれました」

「だが、治癒師が言うには傷が残るとのこと。今後のこともあるし週末に一度家に来なさい」

「はい」

「では傷を確認しますねライザ」

そういってメアリーさんが左腕をめくる。そこにはうっすらとではあるが縦に傷跡が残っていた。これがオオカミに襲われた後なのだろう。でも、傷口がふさがっていることを見ると誰かが直してくれたんだろう。

「なおしてくれたでしゅ?」

「ああ、うちの治癒師がな」

「ライザこの方は領主様だよ」

「りょうしゅさま?」

って、領主様なの!だいじょうぶ?粗相してないよね。こんななりだけど礼儀がなってないとか言わないよねさすがに…。

「ああ気にしなくてもいい。それより痛みはないか?」

そういわれて体をあっちへこっちへ動かしてみるが特に痛みは感じられない。魔法って便利だなあ。さすがに向こうだったらかなりかかってしまっただろう。

「たぶんだいじょうぶ」

「それならよかった。それじゃ、また週末会おう」

そういって領主様たちは孤児院を出ていかれた。あとに残った私たちは帰ってきたルークも交えてお説教タイムだ。

「森に言った事情は分かった。しかし、なぜ立ち入り禁止かも知っていったはずだ。お前たちがするということは、下の子たちも真似しかねないということだ」

「「すみません」」

「それだけではないわ。この子のことまで知られてしまって。ここの領主様に限ってないとは思うけれど、孤児院の魔力持ちは連れ去られたりすることも多いのよ」

「そんな…」

「残念ながら事実だ。私も同僚の神父に聞いたこともある。孤児院では情けないが捜索の費用も出すことができない。ライザだけではない、これからのことも考えていかなくては」

「わたしは…」

「ライザもよ。危ないことはしないようにね」

頭を撫でられてそう言われては何も言うこともできない。きっと、メアリーさんや神父様のもとで巣立っていった人の中にも、今日みたいに魔物に襲われて冒険者として死んでいった人もいるんだろう。

「それでも俺…」

「ルーク、焦ることはない。お前の体はまだ小さい。急いでしまったらロイドやライザだけじゃない。ここにいる子たちも、もちろん私たちも悲しむことを忘れないでくれ…」

最後は神父様も寂しげだった。ここ10年でこの国は隣国との戦争・魔物の発生・飢饉と多くの死者を出した。それに伴って孤児たちも増えている。ここにいるのは12人だけだけれど、ここに連れてこられない子だってたくさんいるとメアリーさんは嘆いていた。

私に…。この世界で命をつないでくれたこの人たちのためにもできることはないのだろうか。私は次第にそう思うようになっていった。

そして、この週の週末に私は予定通り領主様の使いの方と一緒に邸へと向かった。邸ではこの前見た少年、ヴェインさま(領主様の息子)と領主様の奥さまに出迎えてもらった。これからは魔法の勉強を教えてくださるそうだ。願ったりかなったりだったが、お金がないことを相談すると、ヴェイン様が一緒に受けるからいらないし、そもそも奥様が教えてくださるそうだ。私は未知の魔法が見られるとわくわくして二つ返事で了承した。


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