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「おはよーございます」
元気よく目覚めて神父様とメアリーさんに挨拶をする。今日も孤児院の一日が始まる。だけど今日はちょっと特別な日だ。去年までは関係のない日だったけど今日は特別。私の適性検査の日だ。一体どんな適性なんだろうか。
「おはようライザ、楽しそうね」
「エリー、だって今日でようやく検査受けられるんだもん!」
「私はちょっと憂鬱。きっとないだろうけどちょっとだけ期待もしてるのよ?」
「そっか…」
確かに私みたいにすでに魔力が発現している子からしたら楽しみかもしれないけど、普通はドキドキするよね。あるのか、ないのかって。
「ゴメン」
「いいよ。だって、あんなに楽しみにしてたじゃない。私もどっちかっていうと自分のことよりライザのことが気になってるんだ。きっとすごい結果だよ」
「そうかな~」
あはは、って返しておく。実際、女神さまから力をもらってるわけだから、とんでもないことにならないといいなあ。それより準備しなきゃ。今日は教会が忙しいから朝のうちにテキパキやっちゃわないとね。
「エリー、それじゃあ料理のお皿の準備よろしく。私料理作ってるから」
「はいはい、できたら言ってね」
エリーを見送って私は準備をする。一旦目を閉じて順序を思い描く。
カッ
目を見開き一気に作業を開始する。まずはパン生地を窯に入れて熱する。次は火を魔法でつけフライパンをそこに乗せる。そこに卵を落とし入れ、さらに横のところにも火をおこし、同じようにする。さらに卵を追加する。その間に横の窯に入れておいたパンの焼き具合を見る。あとはお昼の分の、もそっとしたクッキーが焼き上がるようにちょっと浮かせながら窯に入れる。あとは順番待ちだ。
「相変わらずライザはすごいわね」
「あっメアリーさん。もうすぐ準備できると思うのでみんなを起こしてもらえますか。」
「はいはい、わかったわ」
ちなみに私は手を増やしているわけではない。すべて魔法で行っているのだ。私自身はフライパンすら持たずにやっている。最初は魔法の訓練にちょうどいいと思っていたら、エリーに便利だからそれでもうやっちゃいなさいよと言われてから、結構な頻度でやってしまっている。小さい子たちが喜ぶので私もサービス精神を出してやってしまうのだ。
「なんだかロイド兄さんの気持ちがわかるわ」
きっとこんな感じで私に本とか持ってきてくれてたんだろうなぁ。ちなみにルーク兄さんはあの後から冒険者用の酒場で働いている。身近で冒険者を見て決めろという神父様との話し合いの結果だ。ロイド兄さんは近くの商家で見習いとして働いている。穏やかで計算も早いし、当然だけど悪いことしないから商家の人も助かってるみたい。たまにだけど寄付をしてくれるようになった。
「おっ、焼けてきた」
先に焼けた卵をお皿に上げてすぐに別の卵を割り入れる。結局、あれから孤児たちは増えて現在うちは15人いる。どうにかしないと、と神父様も嘆いていらっしゃったけど、一度人がいなくなった土地はやせて大変みたい。
「いただきま~す」
みんな揃って食事をする。ちなみに卵はあまり新鮮ではないからよく焼くように。農作物なんかは有機農法で新鮮だと思っていたら、魔法で保温しているのは貴族ぐらいなもので、ほとんどの商品は農村から運ぶ間に傷むことが多い。卵は比較的持つ方なので、売っているのも使うのも結構ギリギリなものばっかりだ。市場に入ったのがいつかも分からないことが当たり前だしね。
食事を終えて片づけをしていると声がかけられる。今の年長のケイトさんだ。
「いつも悪いなライザ。ここはやっとくから教会へ行きな。適性検査日だろ?」
「ありがとうございます。でも、最後でいいって言われてるから大丈夫です」
「なら、休んどきな。いっつも働きづめなんだから」
「じゃあ、そうします」
はふ~とちょっとお行儀悪くテーブルに突っ伏する。ケイトさんは今年ここを出ていく14歳だ。気さくで一応、火の魔法も使える。火起こしぐらいって本人は残念がってたけど、火を起こせるって結構便利なんだよね。慣れたらそうでもないっていうけど、ちょっとした雨の中でも起こせるしパーティーなんかも組みやすいんだって。
だから、冒険者になるって言いだしたときはみんなびっくりしてた。あの時はルーク兄さんのことがあってすぐだったし、ピリピリしてた。結局ロイド兄さんの商家の商隊に同行してからだって言われて渋っていたけど、ルーク兄さんが今も酒場を抜け出せないことを思うと、結構譲られてるとは思うけどね。
それからゆっくりしていた私だったが、そろそろいい時間になったので行くことにした。
「それじゃあケイトさん、行ってきます」
「はいよ、行ってきな」
元気よく目覚めて神父様とメアリーさんに挨拶をする。今日も孤児院の一日が始まる。だけど今日はちょっと特別な日だ。去年までは関係のない日だったけど今日は特別。私の適性検査の日だ。一体どんな適性なんだろうか。
「おはようライザ、楽しそうね」
「エリー、だって今日でようやく検査受けられるんだもん!」
「私はちょっと憂鬱。きっとないだろうけどちょっとだけ期待もしてるのよ?」
「そっか…」
確かに私みたいにすでに魔力が発現している子からしたら楽しみかもしれないけど、普通はドキドキするよね。あるのか、ないのかって。
「ゴメン」
「いいよ。だって、あんなに楽しみにしてたじゃない。私もどっちかっていうと自分のことよりライザのことが気になってるんだ。きっとすごい結果だよ」
「そうかな~」
あはは、って返しておく。実際、女神さまから力をもらってるわけだから、とんでもないことにならないといいなあ。それより準備しなきゃ。今日は教会が忙しいから朝のうちにテキパキやっちゃわないとね。
「エリー、それじゃあ料理のお皿の準備よろしく。私料理作ってるから」
「はいはい、できたら言ってね」
エリーを見送って私は準備をする。一旦目を閉じて順序を思い描く。
カッ
目を見開き一気に作業を開始する。まずはパン生地を窯に入れて熱する。次は火を魔法でつけフライパンをそこに乗せる。そこに卵を落とし入れ、さらに横のところにも火をおこし、同じようにする。さらに卵を追加する。その間に横の窯に入れておいたパンの焼き具合を見る。あとはお昼の分の、もそっとしたクッキーが焼き上がるようにちょっと浮かせながら窯に入れる。あとは順番待ちだ。
「相変わらずライザはすごいわね」
「あっメアリーさん。もうすぐ準備できると思うのでみんなを起こしてもらえますか。」
「はいはい、わかったわ」
ちなみに私は手を増やしているわけではない。すべて魔法で行っているのだ。私自身はフライパンすら持たずにやっている。最初は魔法の訓練にちょうどいいと思っていたら、エリーに便利だからそれでもうやっちゃいなさいよと言われてから、結構な頻度でやってしまっている。小さい子たちが喜ぶので私もサービス精神を出してやってしまうのだ。
「なんだかロイド兄さんの気持ちがわかるわ」
きっとこんな感じで私に本とか持ってきてくれてたんだろうなぁ。ちなみにルーク兄さんはあの後から冒険者用の酒場で働いている。身近で冒険者を見て決めろという神父様との話し合いの結果だ。ロイド兄さんは近くの商家で見習いとして働いている。穏やかで計算も早いし、当然だけど悪いことしないから商家の人も助かってるみたい。たまにだけど寄付をしてくれるようになった。
「おっ、焼けてきた」
先に焼けた卵をお皿に上げてすぐに別の卵を割り入れる。結局、あれから孤児たちは増えて現在うちは15人いる。どうにかしないと、と神父様も嘆いていらっしゃったけど、一度人がいなくなった土地はやせて大変みたい。
「いただきま~す」
みんな揃って食事をする。ちなみに卵はあまり新鮮ではないからよく焼くように。農作物なんかは有機農法で新鮮だと思っていたら、魔法で保温しているのは貴族ぐらいなもので、ほとんどの商品は農村から運ぶ間に傷むことが多い。卵は比較的持つ方なので、売っているのも使うのも結構ギリギリなものばっかりだ。市場に入ったのがいつかも分からないことが当たり前だしね。
食事を終えて片づけをしていると声がかけられる。今の年長のケイトさんだ。
「いつも悪いなライザ。ここはやっとくから教会へ行きな。適性検査日だろ?」
「ありがとうございます。でも、最後でいいって言われてるから大丈夫です」
「なら、休んどきな。いっつも働きづめなんだから」
「じゃあ、そうします」
はふ~とちょっとお行儀悪くテーブルに突っ伏する。ケイトさんは今年ここを出ていく14歳だ。気さくで一応、火の魔法も使える。火起こしぐらいって本人は残念がってたけど、火を起こせるって結構便利なんだよね。慣れたらそうでもないっていうけど、ちょっとした雨の中でも起こせるしパーティーなんかも組みやすいんだって。
だから、冒険者になるって言いだしたときはみんなびっくりしてた。あの時はルーク兄さんのことがあってすぐだったし、ピリピリしてた。結局ロイド兄さんの商家の商隊に同行してからだって言われて渋っていたけど、ルーク兄さんが今も酒場を抜け出せないことを思うと、結構譲られてるとは思うけどね。
それからゆっくりしていた私だったが、そろそろいい時間になったので行くことにした。
「それじゃあケイトさん、行ってきます」
「はいよ、行ってきな」
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