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あの後、ぼーぜんとして帰ってきた私だったが、事態は待ってくれない。神父様からもお話を聞いたけれど、このままここに留まることは、ここの子たちも危険にさらすかもしれないとのこと。
「エリー、ケイトさんあの子たちを頼みます」
「行っちゃうのねライザ…」
「こういう日が来るとは思ってたけど、私より早いなんてね。ルークとロイドには私から伝えるよ」
「ありがとうございます。本当は手紙とかも書きたいんですけど、それもない方がいいって…」
あまりの急な出来事にまた涙が出てくる。
「わかってるよ。あいつらにはこっちに来るように言っとくから」
ケイトさんに撫でられるままに私は数分泣き続けた。それからは上へ下への大騒ぎ。まずは食事の時間の時に、魔力判定の結果、急だけど王都に行くことになったと子供たちに伝え、わんわん大泣きされて、私ももらい泣き。メアリーさんにも抱きしめられ、また泣いた。そして泣きながらご飯を食べ、今日は最後という事でみんなと一緒に寝ることなった。明日必要なものはメアリーさんとケイトさんに詰めてもらった。
「おねえちゃんほんとに行っちゃうの?」
「ごめんね…」
「また、帰ってくる?」
「きっと、きっと帰ってくるわ!」
「やくそく…だよ」
「うん」
そして、私たちは泣き疲れてそのまま眠ったのだった。
「メアリー、ライザは、あの子を私が育てたことはよかったのだろうか…」
「どうされたのです…」
「あれだけの才能を持つものをここに閉じ込めていたそれが良かったことなのか…」
「彼女ほど才能があればどこにいようと中央教会へと行っていたでしょう。何も知らないまま行けば素晴らしい聖女となったかもしれません。ですが、彼女はただ祈り利用されるだけの人生を送ったことでしょう」
「そうか…そうだな。伯爵様のおかげでこれからもしばらくはある程度自由に動けるようだし、よかったと思おう」
「それにそんなことを考える暇はありませんよ。ここには彼女以外にも手のかかる元気な子たちがいっぱいいますから」
「確かに、あの子たちが大きくなれるよう。ライザたち巣だったものが戻ってこられるようにしておかなければな」
「うん…朝か」
とうとう今日は旅立ちの日だ。まだ夜明け前だけど見つからずに王都まで行かなくてはならないから、みんなを起こすことなく準備をする。今日でここともお別れだと思うと感慨深い。だけど、そんな時間も私には残されていない。
下に降りると、ケイトさんとメアリーさんそれに神父様が待っていた。
「おはようございます」
「おはよう、寂しくなるが向こうでも頑張りなさい」
「はい」
「すでに、領主様の馬車は外に来ておられます。準備はいいですね?」
私は無言でうなずく。
「荷物は私が持っていくから…」
ケイトさんが詰めてくれたバッグを持ってくれ、私と一緒に外に出る。神父様たちは一緒にいるところを見られるとまずいので、家から出てこられない。
「元気でな」
「ケイトさんも、冒険者になっても元気で」
「おう!きっと名を上げて、お前のとこに乗り込んでやるよ」
「ふふっ、期待してます」
「じゃあ、行ってきな」
「行ってきます!」
元気に挨拶して私は領主様の馬車に乗り込む、馬車の中には夫人とヴェイン様が乗っていた。
「よろしくお願いします」
「ええ、こちらこそ」
「ああ、別れはいいのか?」
「大丈夫です。それに騒ぎになると教会に迷惑が掛かりますので…」
「そうか」
そして、ゆっくりと馬車が動き出す。私は今度いつみられるか判らない教会を最後に見たいと思い窓から顔を出す。するとそこには二階から静かに手を振るみんなの姿があった。
「ありがとう…ごめん」
私はみんなの気持ちがうれしくて静かに泣いた。夫人が背中をさすってくれ、ヴェイン様が頭を撫でてくれる。私はなんて幸せ者なんだろう。王都へ向かう私に不安はなかった。
「エリー、ケイトさんあの子たちを頼みます」
「行っちゃうのねライザ…」
「こういう日が来るとは思ってたけど、私より早いなんてね。ルークとロイドには私から伝えるよ」
「ありがとうございます。本当は手紙とかも書きたいんですけど、それもない方がいいって…」
あまりの急な出来事にまた涙が出てくる。
「わかってるよ。あいつらにはこっちに来るように言っとくから」
ケイトさんに撫でられるままに私は数分泣き続けた。それからは上へ下への大騒ぎ。まずは食事の時間の時に、魔力判定の結果、急だけど王都に行くことになったと子供たちに伝え、わんわん大泣きされて、私ももらい泣き。メアリーさんにも抱きしめられ、また泣いた。そして泣きながらご飯を食べ、今日は最後という事でみんなと一緒に寝ることなった。明日必要なものはメアリーさんとケイトさんに詰めてもらった。
「おねえちゃんほんとに行っちゃうの?」
「ごめんね…」
「また、帰ってくる?」
「きっと、きっと帰ってくるわ!」
「やくそく…だよ」
「うん」
そして、私たちは泣き疲れてそのまま眠ったのだった。
「メアリー、ライザは、あの子を私が育てたことはよかったのだろうか…」
「どうされたのです…」
「あれだけの才能を持つものをここに閉じ込めていたそれが良かったことなのか…」
「彼女ほど才能があればどこにいようと中央教会へと行っていたでしょう。何も知らないまま行けば素晴らしい聖女となったかもしれません。ですが、彼女はただ祈り利用されるだけの人生を送ったことでしょう」
「そうか…そうだな。伯爵様のおかげでこれからもしばらくはある程度自由に動けるようだし、よかったと思おう」
「それにそんなことを考える暇はありませんよ。ここには彼女以外にも手のかかる元気な子たちがいっぱいいますから」
「確かに、あの子たちが大きくなれるよう。ライザたち巣だったものが戻ってこられるようにしておかなければな」
「うん…朝か」
とうとう今日は旅立ちの日だ。まだ夜明け前だけど見つからずに王都まで行かなくてはならないから、みんなを起こすことなく準備をする。今日でここともお別れだと思うと感慨深い。だけど、そんな時間も私には残されていない。
下に降りると、ケイトさんとメアリーさんそれに神父様が待っていた。
「おはようございます」
「おはよう、寂しくなるが向こうでも頑張りなさい」
「はい」
「すでに、領主様の馬車は外に来ておられます。準備はいいですね?」
私は無言でうなずく。
「荷物は私が持っていくから…」
ケイトさんが詰めてくれたバッグを持ってくれ、私と一緒に外に出る。神父様たちは一緒にいるところを見られるとまずいので、家から出てこられない。
「元気でな」
「ケイトさんも、冒険者になっても元気で」
「おう!きっと名を上げて、お前のとこに乗り込んでやるよ」
「ふふっ、期待してます」
「じゃあ、行ってきな」
「行ってきます!」
元気に挨拶して私は領主様の馬車に乗り込む、馬車の中には夫人とヴェイン様が乗っていた。
「よろしくお願いします」
「ええ、こちらこそ」
「ああ、別れはいいのか?」
「大丈夫です。それに騒ぎになると教会に迷惑が掛かりますので…」
「そうか」
そして、ゆっくりと馬車が動き出す。私は今度いつみられるか判らない教会を最後に見たいと思い窓から顔を出す。するとそこには二階から静かに手を振るみんなの姿があった。
「ありがとう…ごめん」
私はみんなの気持ちがうれしくて静かに泣いた。夫人が背中をさすってくれ、ヴェイン様が頭を撫でてくれる。私はなんて幸せ者なんだろう。王都へ向かう私に不安はなかった。
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